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ゴールデンドロップ

今日、母の手術の退院祝いを兼ねて神保町のティーハウスタカノへ(兄のおごり)

私は先日、子宮体がんの疑いが出てしまって半年後に検査が決まり、かかりつけの鍼灸の先生から

「スイーツ、太っちゃーう。とか、甘いこと言ってる場合ではない!」

と、厳しくも心のこもったアドバイスをいただいたので、泣く泣く甘いものを封印した。

いつもはクリーミーだとか、甘〜いだとか、

ふんわり、しっとりの美味しいお菓子と一緒に紅茶を楽しむのだが、

ストレートティーはストレートティーで大好きだ

私はクラシック音楽を奏者や指揮者の違いで楽しむように

紅茶別の味わいの違いを1人脳内で楽しむのが大好きなのだ。

ダージリンのファーストフラッシュをストレートでいただく事にした。

母は大好きなシナモンミルクティーにお砂糖を入れて、シトラスシフォンケーキを

兄は大好物のストロングティーとチョコレートケーキ

ダージリンのストレートティーは橙色(だいだい色)で春の香りと書いてあったと記憶する

薄い上品な色合いの1杯目を口に含むと優しい渋みと素晴らしい香気が鼻から抜けていく

「あぁ〜なんていい香り、お花畑だわぁ」

ダージリンファーストフラッシュ1杯目

と、くつろいでいると、

な、ななんと!

東のタカノと謳われる高野さん御自身がいらっしゃるではないか!

兄が昔、神保町の本屋さんでアルバイトをしていて、昔から通っていたので

ご挨拶に来てくださったのだ

貴重なお話を伺いながら

「高野さん髪型が変わりましたね。美容院を変えたのですか?前髪がステキですね。」

等と、アホな事を言って冷や汗をかいたりしていた。

高校時代は
お勉強苦手系女子高に通っていたので、
努力、根性、Oh Yeah!

通過儀礼的な難題を習わされたものだが
その中の一つとして

せめてお作法は習いなさいと、茶道の単位が必修科目であり、

とても厳しいご年配のお着物をおめしになった先生に、間違いをする度に

足袋kick
(たびを履いた足で蹴られる)

エレキを注入する
(背骨に膝蹴り)

と言う有り難い御指導を受けた事を思い出した。

今日は特別に寒い真冬であるが、フラッシュバックで脳天から汗が吹き出して止まらない…。

高野さんは紅茶の老舗の超有名な方である。

まるで、茶道の家元にお点前をしていただいているような話ではないか!

古くから常連客の兄のお陰で
高野さんの身近なお話や、

とあるメニューの秘話や、

美味しい物や面白いお店や、

無くなってしまった老舗ケーキ店のお話、

最近の紅茶のお話等、貴重なお話の数々を伺い、

もったいなくてつい

「こんな面白いお話を私たちだけが聞いてしまって、もったいないのでエッセイとか書かれてはどうでしょう?ぜひ読みたいです!」

と、ミーハーな提案をしてしまったら

「いやいや、これが知る人ぞ知る、知識の愉しみと言う事でしょう。」

と言うようなニュアンスの事を仰っており、

はぁ〜渋みは嗜好と仰るだけある。

なんて、渋くてかっこいいんだろ…。

と、尊敬から来る緊張で真冬に大汗をかきながら思ったのだった。

緊張と弛緩

ダージリンのファーストフラッシュの2杯目は

濃縮された香気と渋みがキュッと口を引き締めて、満足してため息が出た。

若い頃は

「差し湯ください。(苦いから)」
とか言った事もあったような気がしたけれど

人生経験を積んだら2杯目の苦い方が好きになって、人生ってわからないね。

(ゴールデンドロップ🟰紅茶の最後の濃縮されたひとしずくが美味しい)

ダージリンファーストフラッシュ2杯目


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