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亜木光由論〜良い曲はだいたいミッツ

ちょっと大袈裟な言い方になるが、紅麗威甦の曲を聴いていて「この曲いい曲だなぁ」と思った時はなかなかの確率で作曲が亜木光由だったりする。

銀蝿一家の中で、個人的に一番作曲能力が高いと思っているのは横浜銀蝿のTAKUだ。そのTAKUには敵わないけれど亜木光由の作曲能力もなかなかのものだと思っている。

知っての通り亜木光由とは紅麗威甦のベースのミッツのことである。ミッツが作詞や作曲をする時のクレジットが亜木光由ということである。今日はこのミッツ、いや亜木光由の作曲家としての話をしたい。

亜木光由は本名を秋葉光由。秋葉といえば秋葉卓志。横浜銀蝿のベースのTAKUだ。そう、亜木光由はTAKUの実弟だ。兄弟揃ってベーシストであり、兄弟揃って銀蝿一家、さらには兄弟揃って作曲能力が高いというかなりハイセンスな兄弟だということになる。

この亜木光由。個人的にはベースの腕前よりも作曲能力の高さに惚れている。彼が紅麗威甦時代に作曲してレコードに収められているのは8曲ある。ファーストアルバム「ヨ・ロ・シ・ク」で2曲収録されているので、デビュー前の段階からすでに曲を作っていたことになる。そう考えるとかなり若い頃から音楽に精通していたことがうかがえる。そこには当然兄TAKUの影響もあるだろう。

亜木光由の作品が紅麗威甦時代に8曲レコードに収められていると書いたが、では亜木光由以外のメンバー杉本哲太、リー、桃太郎は何曲作曲していたのだろうと気になって調べてみると、なんと3人とも1曲もなかった。作詞はしていたが作曲はない。これはちょっと意外だったが、要するに紅麗威甦のメンバーの中で亜木光由はずば抜けた作曲能力だったということである。

紅麗威甦は横浜銀蝿の完全バックアップ体制で弟分としてデビューしたバンドなので、当然横浜銀蝿のメンバーが多くの曲を提供している。そして曲のクオリティーもかなり高い。そのクオリティーの高い曲達の中でもまったく引けを取らない亜木光由の曲もまたハイクオリティーなのだ。

ではここで亜木光由の作曲した8曲を見てみよう。

・俺達最後のRock'n Roller(ヨロシク)
・TOKIMEKI Sweet 16(ヨロシク)
・涙のLast Night(ヨロシク参)
・サマー・エンジェル(ヨロシク参)
・Cuty Winky Baby(ヨロシク四)
・デイトは お・あ・ず・け(ヨロシク四)
・瞳で言いわけ…(シングルB面)
・春の陽射し(杉本哲太・シングルB面)


実に名曲揃いだ。2枚目のアルバム「ヨ・ロ・シ・ク貳」を除き、毎回アルバムに2曲づつ収録され、シングルのB面にも2曲収録されている。シングルA面にはならないけれど、シングルB面もしくはアルバムの中の一曲としては存在感のある曲ばかりを提供しているのだ。

一曲づつ見てみると、「俺達最後のRock'n Roller-Rock'n Roll我命-」は紅麗威甦のライブで欠かせないロックンロールナンバーだ。間違いなくファーストアルバム「ヨ・ロ・シ・ク」の中心的な曲でもある。今思うとTAKUの名曲「Drive on シャカリキカリキのRock'n Roll is 大好き」にドライブ感が似ている気がしないでもない。やはりTAKUの影響を受けているのは明らかだ。そしてこの曲のエンディング、ライブでのオーディエンスとのコール&レスポンスの部分が好きだ。レコードの音源ではその部分がなくあっさりしている。一度生のライブでこのコール&レスポンスをやってみたい。

「TOKIMEKI Sweet 16」は、当時紅麗威甦のファーストアルバムの中で一番好きだった曲だ。桃太郎の優しい歌声が実にハマっているふわっとしたポップソング。ツッパリ・不良のイメージを覆す爽やかなラブソングでこの一曲で一気に紅麗威甦の曲のイメージの幅を広げることに成功している。そしてTAKUの甘いコーラスも印象に強く残る。

3枚目のアルバム「ヨ・ロ・シ・ク参」に収録された「涙のLast Night」「サマーエンジェル」は共に名曲中の名曲だろう。どちらも今でも大好きなナンバーだ。いきなりサビから始まる「涙のLast Night」は、Aメロ・Bメロ・サビとメリハリの効いたバランスが素晴らしい。メロディーラインが秀逸すぎる。さらに「サマー・エンジェル」もまたメロディーが素晴らしいオールディーズ調の名曲だ。今でも哀愁漂うこの曲を聴くと中学生だったあの頃の甘酸っぱい青春時代が蘇ってくる。

4枚目のアルバム「ヨ・ロ・シ・ク四」になるとかなり大人びた作風に成長しているのが分かる。「Cuty Winky Baby」はベーシストらしいドライブ感があるアッパーなナンバーでかなりTAKUの影響を受けているような気がする。「デイトは お・あ・ず・け」は一転して跳ねるリズムのミディアムナンバー。アルバムのクライマックスともいえる最後の曲「GOOD-BYE Rock'n Roller」に繋げるという大事な立ち位置にいる曲だ。

そしてシングルのB面に収められている2曲もまた名曲なのだ。まずは「好きさ好きさ好きさ好きさ好きさ」のカップリング「瞳で言いわけ…」は疾走感があっていい。これもまたサビから始まるパターンでこれは亜木光由の得意とするパターンなのかもしれない。そして最後に「春の陽射し」。実はこれが一番好きかもしれないポップチューンだ。杉本哲太のソロシングル「マブダチ」のB面に収録されている。これもまた青春時代を思い出す甘酸っぱさに満ちている。杉本哲太のお世辞にも上手いとは言えないが丁寧に歌おうとする姿勢がまたこの曲の柔らかくて優しい雰囲気を醸し出していてとても好感が持てる。そしてこの曲は桃太郎が書いた甘酸っぱい歌詞が曲調とぴったり合っているのもこの曲の価値をぐんと上げている。本当に好きな曲だ。

ここまで簡単に8曲を振り返ってみたが、この後紅麗威甦が活動を停止しブラックサタンへと活動を移すわけだが、ブラックサタンになってからは亜木光由として作曲している記憶がない。紅麗威甦時代にあれだけの曲を書いておきながら、その後特に目立った作品がないのが残念でならない。

紅麗威甦のアルバムでは横浜銀蝿のメンバー以外にも、後藤次利やNOBODYといった作曲家としてはトップレベルの人たちと肩を並べて作品を提供していたことでも亜木光由の作曲レベルが高いことが分かるだろう。他のアーティストに曲を提供するプロ作曲家にもなれた気がするのはオレだけじゃないはずだ。もしかしたらオレが知らないだけで亜木光由ではない別の名義で作曲活動をしているかもしれないのだが。もし違う名義で作曲しているならそれもぜひ聴いてみたい。

今回のコラムはひたすら亜木光由という作曲家としての名前を使ってきたが、当然普段はミッツと呼んでいる。ただ、今日は作曲家としてリスペクトの意味を込めてミッツではなく亜木光由として書かせてもらった。

最初にも書いたが大事なことなのでもう一度言うと、ちょっと大袈裟な言い方になるが、紅麗威甦の曲を聴いていて「この曲いい曲だなぁ」と思った時はなかなかの確率で作曲が亜木光由だったりする。そう、TAKUと共に秋葉兄弟の名曲確率はかなりのものなのであるのだ。


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