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最後まで走り抜けたJohnny All Right!

次に書くコラムは「横浜銀蝿40th コンサートツアー2020 ~It's Only Rock'n Roll集会 完全復活編 Johnny All Right!~」について書くと決めていた。これから見る人にネタバレになるのは避けたかったから、ツアーが終わってからじっくり書きたいと思っていた。しかし、ファイナル東京がまた延期…

というわけで、前回のコラムからかなり時間が開いてしまったが、なんとか無事にファイナル東京を終えツアーも最後まで走り抜けたので久々に書いてみたい。

そもそもこのツアーは去年の春に開催される予定だったツアーだ。それが延期につぐ延期でようやくファイナルを迎えたのだ。ここまで長かった。

今回のツアーでは、とにかく後悔だけはしたくなかった。だから行けるところは行くようにしていた。もちろん全公演行けたわけではないが。色々な視点からライブを楽しめて、結果的に大満足なツアーとなった。


〈Zepp Tokyo 第二部 セットリスト〉

・ぶっちぎりRock'n Roll
・羯徒毘路薫'狼琉
・1980HERO
・Take it easy
・I Love 横浜
・Again
・ジェームスディーンのように
・お前に会いたい
・Drive on シャカリキカリキのRock'n Roll is 大好き!

・お前サラサラサーファーガール おいらテカテカロックンローラー
・昭和火の玉ボーイ
・Johnny All Right!
・逢いたくて逢いたい
・男の勲章
・ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)
・だからいつものRock'n Roll
・銀ばるRock'n Roll
・横須賀Baby


このツアー最終日第二部のセットリストが基本線のAセットとすると、ここから数曲入れ替えたBセットが存在した。Bセットでは、「1980HERO」「Take it easy」「I Love 横浜」が「ゆくさきゃ横浜」「Happy Birthday」「あせかきベソかきRock'n Roll run」へと入れ替えられていた。公演によって若干違う部分があるかもしれないが、だいたいこれで合っていると思う。

新旧織り交ぜたこれ以上ない抜群のバランス感のあるセットリストだった。曲数で言うと18曲。各公演しっかり2時間やってくれていた。翔くんの喋りはもちろん、他のメンバーもそれぞれMCをするコーナーも設けられていて本当に楽しめた。嵐さんの天然なトークは最高だった。「嵐さん、守り神みたいやったな!」と一緒に参戦した友人の感想がこれだった。確かに後ろからバンドを支える嵐さんの存在はやはり横浜銀蝿には必要で、ツアー途中入院して心配したが、最終日にはきっちり戻ってきてくれて嬉しかった。

毎回ライブ前の影アナをJohnnyが担当していたが、そのバックで流れていた曲は40thの新曲だろうか?「やっと逢えたね」的なハッピーな歌詞とキャッチーなメロディーがとても良い曲だった。「ぶっちぎり249」に収録されていることを望む。

ライブの一曲目は「ぶっちぎりRock'n Roll」だと分かっていても、あのイントロが鳴った時の高揚感は何回経験しても変わらない。身体が熱くなるような感覚だった。ステージの幕が開き、メンバーのシルエットが見えた時の興奮は今でもしっかりカラダに残っている。照明もLEDのライトがド派手で良かった。

去年の配信ライブで、翔くんが歌いきれていなかった「1980HERO」のBメロ部分は、翔くんとJohnnyが交互に歌うことで見事に表現されていて唸らされた。イントロが始まった瞬間「え?これやるの?翔くん大丈夫?」と心配になったが、そんな心配は全く必要なく完璧な「1980HERO」に変貌していた。

往年のアルバムの中の名曲達が聴けたのは今回のツアーの充実度が増した要因のひとつだった。全ての公演では聴けなかったが「ゆくさきゃ横浜」「Take it easy」「Happy Birthday」あたりが聴けたことは意外でもあり、かなりお得感があった。

今回のツアーのセットリストの中で核となっていたのは「Again」と「Johnny All Right!」の2曲だろう。「Again」では多くのファンの心の中に、あの83年の解散コンサートからの出来事が走馬灯のように流れたのではないだろうか。あの解散コンサートを体験した人はもちろん、体験できなかった人の後悔や悔しさを抱いて歩んだこの人生が、まさか40thでのオリジナルメンバーとクロスするなんて。本当に心温まる瞬間だった。この曲で涙した人は本当に多かったと思う。もちろん自分もその中のひとり。翔くんの歌詞の通り、あの日に戻ってAgainできた素晴らしい瞬間だった。

そして、ツアータイトルにもなっていた「Johnny All Right!」は、翔くんとJohnnyがその瞬間を心の底から楽しんでいる姿を見せつけられる。目の前に動くJohnnyがいる。それだけでも信じられないことだった。オレはライブでこの曲を聴いていた時の心躍るような心境はおそらく一生忘れないだろう。今でも信じられない時があるが横浜銀蝿にJohnnyが戻ってきたのだ。

翔くんとJohnnyの楽しんでいる姿はライブの随所で見られたが、特に印象的だったのは、「Drive on シャカリキカリキのRock'n Roll is 大好き!」で2人が踊るボックスステップのシーンだろう。一生懸命歌うTAKUの横で楽しそうに踊る翔くんとJohnnyが微笑ましかった。Johnnyって笑うと前歯が見えて可愛いなと中学生の頃から思っていたが、あの可愛い笑顔が生で見れただけでこの復活には意義がある。

今回のツアーを何本か体感した中で、初日の横浜だけは泣けて泣けて仕方がなかった。待ちに待ってやっと逢えたという感慨深さがそうさせたのだろう。翔くんのMCで笑うことはあっても、それ以外の時間はほぼ泣いていたような気がする。周りのファンの人達も泣いている人は多数いた。そんな横浜のライブは不思議な空間だった。やっと逢えた、でも声は出せないしはしゃげない。メンバーも少しやりづらかっただろう。でもメンバーもファンもようやく逢えたことを喜び楽しんだ。あの空間は凄く心に残るものだった。

あれだけ涙が出た横浜を除くと、他のライブではほとんど泣くことなく楽しんだ。「やっぱり無観客より全然いいよな!」と言った翔くんの言葉にこっちの気持ちも同じで「うん!うん!」と大きくうなずいた。

今回のツアーは複数回見れたことで色々な視点で楽しむことができた。幸運にも最前列が取れたライブではギターやベースを弾く姿や楽器をじっくり見たり、メンバーの表情だけを追ったライブもあった。いろいろな楽しみ方ができたのもまた今回のツアーの収穫だった。最前列はメンバーがとにかく近くてドキドキした。

横浜以外は泣かなかったと書いたが、最終日の「だからいつものRock'n Roll」では涙が出た。Johnnyのギターを弾く姿を見ながら、38年ずっと生で見たいと思い続けていたオリジナルメンバーでの横浜銀蝿を見れていることに改めて感動した。このライブへたどり着くまでの我慢の日々、仕事や生活での嫌なこと、色々なネガティブなことが洗い流されたようだった。少し大袈裟に言えば、これを見るためにオレは生きてきたんじゃないかと思うほどだった。思春期の頃に死ぬほど憧れた銀蝿が目の前でライブをしていることを実感した。ずっと憧れていたJohnnyの「Come on, Hey! Hey!Hey!」を一緒にやれたことは長年の想いが達せられた瞬間だった。そしてもちろん三三五拍子も楽しかった。

本編最後「銀ばるRock'n Roll」とアンコールの「横須賀Baby」は最高にイカしていた。メンバーも輝いていたし、ファンも感無量だったのではないだろうか。「横須賀Baby」は一緒に歌いたかった。これはこの先の楽しみにとっておこう。

メンバーにとっては笑えないことかもしれないけれど、最終日のトラブルはなかなか思い出に残るものだった。「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」でのイントロ部分で翔くんのギターの音が出なくなった。体感的に10分近くあったような気がする。その間、メンバーはひたすらインストで演奏を続けた。JohnnyやTAKUがアドリブのフレーズ、Atsushiさんがフィルインを入れて時間をかせぐ。この日のライブが8月にCSで放送されることになったが、ぜひこの部分もカットしないで放送して欲しい。戸惑いながらもなんとか演奏を続けるメンバー、翔くんが珍しく焦っている顔も貴重なんじゃないだろうか。

トラブルといえば、「羯徒毘路薫'狼琉」のギターソロの途中でJohnnyのピックが落ちてしまったように見えた。Johnny本来の立ち位置であればマイクスタンドに付けているサブのピックがあるが、このギターソロの時は翔くんの立ち位置のセンターでJohnnyはギターソロを弾いていたのだ。はっきりとは見えなかったが、おそらくJohnnyは「羯徒毘路薫'狼琉」のギターソロ後半は指で弾いていたように思う。

それにしても、楽しみにしていたものが終わる時は悲しいものだ。最終日はオレも少しセンチメンタルな気持ちがあった。楽しみにしていたツアーがとうとう終わってしまう… 
でも40thは更なる楽しみを用意してくれていた。秋のファンクラブイベント、そして12公演のファイナルツアーだ。しかもホールだ。この知らせは本当に嬉しかった。もちろん、年内にまだライブはあるよね?とは期待はしていた。しかし、その期待を軽く越える規模のツアーだ。まだまだ40thとの時間が続く幸せを感じさせてくれた。本当に40thの「やれることは全部やる」感がたまらない。

「今年いっぱいで横浜銀蝿40thは終わるけど、最後の日の大晦日の予定は空けてある。お前ら分かってるよな?横浜銀蝿40thとして俺達は紅白歌合戦に出たい」。翔くんはツアー中のMCで何度かこう言った。大晦日、何もなく終わってしまうのは寂しい。なんとか紅白歌合戦に出てもらいたい。

今回のツアーは後悔したくなかったと書いたが、結果的に後悔のない完全燃焼ができたと思っている。けれど、ひとつだけできなくて心残りなことがある。声を出したかった。コール&レスポンスをしたかった。こればっかりは仕方ないことなんだけど… でもまだ諦めてはいない。ファイナルツアーでは思いっきり声を出して楽しめる可能性は残っている。それをやり遂げて燃え尽きたい。

満身創痍でなんとか最後まで走り抜けたツアーJohnny All Right!。何度もライブが延期になって、このまま40th見れずに今年が終わってしまうんじゃないかと何度もネガティブにもなった。でも40thはツアーを最後までやり遂げた。そして、現状ライブ会場でのクラスターも出さず、メンバー、スタッフ、ファンが一体となってこの状況を乗り越えた。涙あり、笑いあり、感動ありのRock'n Roll集会は壱から拾まで全てが最高だった。

今回の復活がなかったら、オリジナルメンバーでの横浜銀蝿のライブを見ることなく人生を終えた人がどれだけ多かったことだろうか。自分もそのひとりだ。そういった意味で今回の復活は本当に大きな出来事だった。このコラムを書き始めた頃は周りに横浜銀蝿の話をする仲間はいなかった。けれど、今回のツアーで初めてご挨拶できた仲間たち、そしてこの先のライブで必ず逢えると信じている仲間達。そういう人との繋がりもまた横浜銀蝿40thが存在してくれたからこその奇跡。まだまだ半年楽しめることが山盛りだ。この半年を思い残すことなく楽しんで、最後はみんなで笑って散りたいと思っている。


it's only Rock'n Roll

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