GoogleのSTADIAについて思うところ (2019/3)

Google、4Kゲームストリーミングサービス「STADIA」を年内立ち上げへ 独自コントローラも (ITmedia)

やばいよ、Google先生がゲーム業界に殴り込みだよ! 早く逃げないと……なんて思っているのは、せいぜいゲームのことなんかよく知らない投資家と投資AIくらいだと思いますけど、正直、がっかりしましたよね。何も目新しさが無くて。Googleにはネット界でのノブレス・オブリージュを果して欲しいです。

この手の「映像だけ送ります」サービスは山ほどありました。でもみんな死んでいった。大した投資もいらないから簡単に撤退しちゃう。世界共通の問題として、

・ラストワンマイルの通信環境が想像以上にクソ
・そもそもゲームのヒットが少ない
・みんな毎日ゲームはやらない

通信環境については、今は念仏のように「5Gが~5Gが~」って言ってますけど、いやそうじゃねえんだ。ゲームをやるような奇特な人間は、そもそも遅延があるとダメなんだ。液晶の応答速度がどうのこうの、無線マウスより有線マウス、無線LANより有線LANじゃないと、とか言ってる世界で「通信の遅延は最小限です!」て、評価の前提そのものが間違っています。僕らはGoogle先生に「遅延ゼロです!」って言ってほしいの! すごい謎技術で!

あとゲーム産業は斜陽ってずっと昔から言ってんだろ! そんな儲からないから! どうせ2~3年後には「想定していたよりもパフォーマンスが悪かった」みたいなことをろくろを回しながら言って居なくなっちゃうんだろ? みたいなね。そういう不信感はあります。その点、大流血しながら耐えているPS Nowはほんとすごいと思う。ラインナップは果てしなくクソの山だけど。

素朴な疑問としては、そのSTADIAのハイパフォーマンスを発揮できるようなゲームって何があるんじゃいって。結局、PCゲームなんですよね。だから真正面から競合するのはSteam、Epic Gamesストアとか、強いて言えば (今もそうだけど) PS4だとかそういうところだと思ってます。スペック勝負なら負けへんでワールドですね。

ただそういうところで勝負すると問題になるのは「遅延が~フレームが~」とか言ってるゲームキチ……ゲーム界の上流階級様なわけで、じゃあライト層はと言えばタダで遊べるフォートナイトだの荒野行動だのスマホゲーだのになるわけで、STADIAの必要性とはいったい……と言うことに成りかねない。いつの間にかいなくなったゲーム界の中産階級を掘り起こさないと話にならなくなる。STADIAに期待しているのはそこですね。ゲーム業界の未来のため、僕の退職金のためよろしくお願いします。

最終的には、STADIAの独自タイトルがヒットするか否かっていう、ほんとゲーム業界って昔っからこれだな的な部分にも落ち着いちゃうところが悲しい。Microsoftに続く第4の存在くらいには成長して欲しい。要するに大して期待していません。

サブスクリプションと売り切り型の是非

昨今のピエールショック(電気グルーヴのピエール瀧さんが逮捕されたことにより、関連作品の視聴ができなくなった)で「サブスクリプション型のサービスってどうなの?」と思い始めました。広い意味ではデジタル販売も。昨日まで聴けていた電気グルーヴの曲が、今朝になったら聴けなくなってるって、そりゃそういう風にサービス約款に書いてあっても、ショックですよ。だって読まないもん。EULAなんて。

ダウンロード販売にしたって、似たような危険はありますよね。ちゃんとしたところなら販売終了になっているソフトやコンテンツも再ダウンロードできますけど、全部が全部そうとも限らないわけで、ただただ怖い。

STADIAってサブスクリプション型なんですかね? だとしたら100%流行らないと思います。売り切り型もないと。音楽ならまだしも、ゲームって主体的に時間を消費しないといけないから、どうやりくりしても遊べるタイトル数に限界がある。サブスク型だと損している感が半端無い。PS Now、そういうとこやぞ。サーバの固定費が掛かる? そんなのユーザーは知ったこっちゃないがな。

たとえば、Steamがサブスクリプション型のサービスだったら、今のような隆盛を築けたのか? セール毎に遊びもしないゲームを積み上げたか? 想像してみると、僕にはSteamの繁栄は見えませんでした。

話には、Youtubeとの連動がどうのこうの、言っているらしいですけど、正直疑問が残ります。例えばお気に入りの配信者さんがやっているゲームを「やりたい!」って思って、配信中のマルチプレイに参加するために1ヶ月なり1週間なりのサブスクリプションを登録します? そうだ、24時間のプランを用意しろ。そこが妥協点だ。やっぱり売り切りが大正義だとは思いますけど。

ヒットの芽があるとしたら、

・STADIAでしか遊べないタイトルを揃える
・タイトル売り切り、もしくは極めて安価なサブスクリプション

くらいかな。例えば、カプコンの『Monster Hunter:World』っていうゲーム、ありますよね。あれ、PS4かそこそこのスペックなPCが必要で、今まで3DSしか持ってなかった人は遊べなかったんですよ。僕の狩り仲間でも結構いました。そういう、みんなで遊べるタイトルをみんなでSTADIA上で遊ぶ、ていう条件なら、遊びたいと思いますね。

そういう上質なタイトルをGoogleは用意できるのか。Microsoftにすら出来なかったのに。一番手っ取り早いのは、Googleの親会社であるAlphabetがカプコンを買収しちゃうとかね。それも諸刃の剣だとは思いますけど。

それとすごく個人的な印象では、Googleって「サービスを容赦なく切り捨てる」っていうイメージがあるんですよ。見切りを付けるのが早い、みたいなね。中途半端に成功しても止めちゃう。他のサービスとの連動やデータ取りを試みて失敗する、ていうイメージも。

あと、これは別にGoogleに限ったことではないんですけど、人材を完璧に揃えました! 的な、ブランド企業出身者の見本市みたいな組織が果してもう一度成功できるのか? って思っちゃう。ゲーム業界に限って言えば、それで成功したとこってあります?

さてどうなることか、そして日本でのサービスインはあるのか、見守っていきましょう。

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