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「知識よりも知恵」がもたらす穏やかさ

ひょんなきっかけで、昨年末から、ハーバード留学時代に取った「幸せについての授業」を改めて聴き直しています。もう15年も前に取った授業の内容がいまだに色褪せず、むしろ説得力を増して聞こえるのは、そこで語られているのが人間についての普遍的な内容だからなのだろうな、と。当時もそうだったんですが、この授業を聞いていると、穏やかさを取り戻します。

より幸せを感じながら生きるにはどうしたらいいのか、科学的根拠に基づいた内容を伝える、というこの心理学の授業は、悩める学生たちに絶大な人気を誇り、ハーバード史上最多の学生数を集めて米メディアでも話題になっていました。私もそんな記事を見つけて講義に出かけた一人だったのですが、この授業の最初の講義で講師のタル・ベンシャハー氏が語っていたのが、「知識だけでは不十分。知恵を身につける必要がある」ということでした。

This class is not about information. It is about transformation.
Knowledge is about information. Wisdom is about transformation.

講義より

授業で扱うのは、情報を伝えることにとどまらず、見方を変えることの大切さ。
知識とは情報、知恵とは変革にまつわること。

私たちは、情報やデータをどんどん自分の脳という入れ物に入れていくわけですが、それをいっぱいにすれば"教育を受けた"ことになるかというと、それは違うわけです。それだと、我々の脳という容器を満たしただけ。

脳という容器(form)の形を変えることが、transformation (変革)につながる、という説明でした。とりわけ、幸福や成功、self-esteem (自尊感情)や人間関係に影響することは、情報以上に、その情報を「どう解釈するか」にかかっているためです。

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