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本と小説のはなし

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読んだ本の感想や、小説を読むとき、書くときに思ったことなどを書きます。
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2021年5月の記事一覧

同人誌の感想:鹿紙路『玻璃の草原』

同人誌の感想:鹿紙路『玻璃の草原』

鹿紙路さん『玻璃の草原』を読みました。

平安時代初期、武蔵国多磨郡に暮らしていた農民の少女・糸(いと)と、「移配」によって東北地方から連れてこられたエミシの少女・野志宇(のしう)の恋を描いた百合時代小説。

武蔵国多磨郡は現在の東京都多摩地方。
近くに「調布市」というのがあるくらいだし、「なんとなく昔は布を作ってたんだろうな~」といううっすらした知識とも呼べない認識があったので、興味を惹かれまし

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同人誌の感想:伴美砂都(主宰)『文芸同人誌ロゼット』創刊号

同人誌の感想:伴美砂都(主宰)『文芸同人誌ロゼット』創刊号

伴美砂都さん主宰『文芸同人誌ロゼット』創刊号を読みました。

※以下、同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

2020年はなんといってもコロナ禍の一年でした。ことによると2021年もそうかもしれません。日本のみならず世界中の人々が、未知のウィルスによって苦しめられ、生活様式の変容を余儀なくされました。
マスク、ステイホーム、ソーシャルディスタンス。当たり前にあった

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同人誌の感想:大滝のぐれ『バナナ農園』(再読)

同人誌の感想:大滝のぐれ『バナナ農園』(再読)

大滝のぐれさん『バナナ農園』を読みました。(再読)

※以下、ほぼ同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

「誰彼かまわず推薦できないかもしれない!」
『バナナ農園』の表紙を再度開いたときの正直な気持ちです。
推薦文なのに、いきなりごめんなさい。

だって、一作目から「チョコミントとうんこ」。うんこですようんこ。お食事中の方すみません。ていうか、お食事中ならこんな文

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同人誌の感想:ひざのうらはやお『煤煙~浦安八景~』

同人誌の感想:ひざのうらはやお『煤煙~浦安八景~』

ひざのうらはやおさん『煤煙~浦安八景~』を読みました。

※以下、同内容を「尼崎文学だらけ」(あまぶん)の推薦文として投稿しております。

架空の「浦安」を舞台に繰り広げられる、八つの「浦安×○○」。
明るいハレの日を描いたものもあり、かと思えば心中物や陰鬱な怪談めいたものもあり、各話異なる趣を備えています。

作者は浦安市のご出身だそうです。書き手にとって自分の故郷は、ともすれば内輪ネタや独りよ

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