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「バトル・オブ・メモリーズ」ライブ/ディマシュ in ピンク in 中国6


(Dimash 37)
(15,740文字)
(第1稿:2023年12月6~14日)


動画①:ディマシュ(公式)のIGより。ライブ動画。10月22日付。
「今日のマカオでのライブは終了しました。Battle of memory」


動画②:『2023大湾区音乐汇』番組の全編。
(2023 グレーター・ベイエリア・ミュージック・フェスティバル)
・頭出しができません。1時間28分25秒頃からディマシュ登場。





【ディマシュの公的プロフィールとは】

 最近見た、とあるリアクション動画のコメント欄に、以下のような投稿がありました。

「ほとんどの人は、彼(ディマシュ)が世界有数の制作会社のCEOであり、唯一の責任者であることを知りません。」


YouTube動画③:『Reaction to Dimash Kudaibergen | Tears on Stage | Dimash’s Emotions | very touching ♥️』
By Just Liz!  2023/11/23  user-te4of2fq5dのコメント


 コメントによると、最近ドイツで制作・放送されたテレビの特別番組の中で、「業界を大きく変える世界の5つの組織」のひとつにディマシュの組織が選ばれていたそうです。

 その特集は、
「ディマシュ・クダイベルゲン(29)は世界の音楽を変えています。音楽とビジネスの天才として広く認められています。」
というディマシュの紹介から始まったそうです。

(以下、コメントの要約)
★ディマシュが所有する施設や部署
:音楽スタジオ、商業用ステージ、最先端照明機器、音響および舞台デザインのための各施設。
:クリエイティブ・センター「DimashAli Creative Center」=メディア、ビデオ、音楽、MV、コンサート、PR,マーケティング、広告などの「音楽以外」の部門を総合的に管轄するマネージメント組織。(ディマシュの父、カナト氏が管轄)
:役員オフィス、会議室、商業販売と流通のための倉庫。

 ディマシュの組織は、ディマシュCEOがアーティストであるディマシュ・クダイベルゲンのキャリア全体をプロデュースし管理するという形態を持つ「世界で唯一の会社」で、彼はこれを行っている「世界で唯一のアーティスト」だそうです。
 この会社のCEOは、「タフな交渉人として知られ、抜け目なく上品で、自分の望むものを正確に知っており、妥協せず、完璧主義者で、しっかりしていて、公正で、忠実で、常に紳士的」(番組の文言)とのこと。

 いやね、ディマシュがこういう活動形態を取っているってのは薄々知っていましたけど、実際に文章で表現されると「すんげーな……」という感想しか出ませんな。

 また、現在のディマシュの純資産は$2.5 millionという話もあります。
 1ミリオンは100万ですので、2.5ミリオンダラーは250万ドルです。
 250万ドル×150円 ≒ 3億5千万円。
 ついでに、1ドル≒カザフ貨幣で461テンゲ、
 250万ドル×461テンゲ ≒ 11億5千万テンゲ。
 純資産が、です。(純資産は返済義務のない資産のこと)

 これを20代でやっちまうんですよ。
 特に音楽に関しての活動はすべて自分で取り仕切り、自分で交渉し、自分で自分をプロデュースするという形態を見ると、ディマシュはもしかしたら本物の「ロックンローラー」なんじゃないかという気がします。
 これは20世紀の音楽業界の形態に縛られていないカザフスタンという国の人物だから出来る「荒業」かもしれませんが、君、ホントに未来から来たんちゃうの?と妄想したりもします。
 ていうかむしろ、インターネットがある現実を考えたら、彼のこの活動のやりかたの方が自然なような気もしますね。

 で、ですよ。
 その「世界で唯一の組織」のCEOが、何を思ったのか間違ったのか、今回のライブの衣装がですね、これだったんですわ。

★moon.kudaibergen_2のIGより。10月21日付。

ピーンク!!?


 

【人気映画グレーター・ベイエリア音楽フェスティバル2023】

 今回は、ディマシュin中国6、2023年10月21日にマカオで開催された音楽フェスティバルです。
 以下、「ディマシュ・ニュース」から解説を抜粋。

‶ 2023 年10月21日、「人気映画グレーター・ベイエリア音楽フェスティバル2023」のガラ・コンサートがマカオで開催されました。
 50人以上の俳優、歌手、ミュージシャンが「ギャラクシー・アリーナ」に集まり、人気映画の音楽テーマを新しい現代的な解釈で披露します。
 ディマシュは、映画『記憶の中の殺人者』(日本での題名)のサウンドトラック『バトル・オブ・メモリーズ』を全く新しい方法で演奏しました。感情に満ちた明るいパフォーマンスは、作曲家とアーティスト自身の両方の新たな側面を開きました。
 ディマシュのために書かれた最初の中国語曲『バトル・オブ・メモリーズ』は、2017年4月5日にリリースされ、リリース後初日に、中国の iTunes QQ トップで1位を獲得しました。ディマシュはこの曲で、CCTVトップ・グローバル・チャイニーズ・ミュージック・アワードのソング・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。″
DIMASHNEWS:

 注:英語圏では曲名を『エターナル・メモリーズ』としてるようです。

 以下は2017年度の原曲について、「百度百科」からの解説です。

‶《創造的背景》:
『バトル・オブ・メモリーズ(拿不走的记忆)』は映画『記憶中の殺人者(记忆大师)』の主題歌。映画監督の陳正道氏もこの曲を重視していた。
 監督はディマシュの歌唱力、そしてディマシュ自身と映画のスタイルとの親和性の高さを評価し、ディマシュをこの曲の歌唱に特別に招待し、『Singer2017』でディマシュの音楽プロデューサーを務めた孔潇一を招待した。さらに、宋秉洋に作曲を依頼した。
「記憶」の曖昧で神秘的な感覚を強調するために、宋秉洋は短調のメロディーを使用。
 この曲の「递进的感情」(徐々に深くなる感情)を歌うために、ディマシュは中国語を猛練習し、特別に通訳に各歌詞の意味を説明してもらい、それぞれの歌詞を20回以上練習し、最高の効果を表現するよう努めた。ディマシュは1~2日かけて歌を録音した。
《歌の鑑賞》:
 壮大なメロディーと、ディマシュのサスペンスフルな歌声がこの曲を難なく解釈させ、独特の高音の歌唱法だけでなく、複数の音域で歌い、登場人物たちの関係性を表現している。複雑に絡み合う人間関係。アレンジ面では、エレクトロ・アコースティックバンドと交響楽団を使用し、大衆性を維持しながらストリングスを追加し、神秘性とメロディアスさを加えている。
 電子要素も、曲にドラマを加えるために特別に組み込まれている。″
「拿不走的记忆 – 百度百科」


 映画『記憶の中の殺人者』(日本名)の英語版Wikipediaには、ネタバレが大有りのあらすじがあります。
 内容は「SF犯罪スリラー」で、ネタバレ無しで説明すると……

 舞台は2025年(封切当時から8年後の設定)、記憶の消去や移植が可能になっている近未来、妻と離婚するためにそれ以前に消した記憶を取り戻すことになった主人公は、間違って別人の記憶を移植されたが、それは殺人者の記憶だった。夢に出てくる記憶の中の殺人者は自分の姿をしているため、それが誰かはわからない。
 そして間違って自分の記憶を移植された殺人者が、自分の妻を狙うことを恐れて、主人公は見知らぬその人物に立ち向かうのだが……


 ディマシュ君、ずーっと「SF」が憑いて回るんだね。
 そしてあっさり見つかった、映画本編の完全版YouTube動画。
 エンディングで女性歌手サンディ・ラム(ディマシュが大ブレイクした『Singer2017』で優勝した歌手)の歌が終わったあとに、ディマシュの歌が始まります。
 映画の方は、MV(動画⑧)のコメント欄に「このMVの方がクールだった」とあったのであまり期待しないで見たのですが、いやいや最初から面白くて画面も美しく、非常に良い出来の映画でした。
 特に主人公を演じる中国人俳優さんが、どことなく有名YouTuberの「ヒカキン」氏にちょっと似てて、そのせいでしょうか、主人公が有名でお金持ちの小説家という設定にも何やら違和感を感じなかったのも面白かったです。

YouTube動画④:『记忆大师』 by电影观赏 2021/07/11




【恒例、ディマシュ空港にあらわるの図】

 北京時間10月20日午前5時40分、ディマシュは北京T2国際空港に到着。(北京から北北西の位置にある「北京首都国際空港」で、T2は第2ターミナル)

★jadecheung0524のIGより。10月20日付。At北京首都国際空港T2。

・歩いている途中で誰かが「疲れているの?」(なにせ朝6時前)と聞くと、ディはサムアップして「大丈夫」と。
・dearsの所に来て1分間の撮影時間ののち、ディマシュが「もういいかい?」と言った瞬間に撮影者のjadeさんが録画をピタッと止めるという連携が、素晴らしいというかすさまじいですね。

 ディマシュは乗り継ぎで、北京T2国際空港から北京大興(ダーシン)国際空港へフライト移動。
(「北京大興国際空港」は北京の南側に位置し、「北京首都国際空港」から約80キロの場所にある)

★同。10月20日付。At北京大興国際空港。

投稿者:
 ディマシュは、北京で学んでいた新疆ウイグル出身のカザフ人の少年ナルタイ(Nartay)を発見すると、嬉しそうに彼と握手し、肩を打って男らしくハグした!
(ナルタイ君は9月4日に同空港に迎えに来ていたディマシュのファンの大学生。NOTE記事「ドゥダライ最新版」に記述あり)
 ディマシュはマネージャーのジュアンさんに彼を紹介。
Dimash:彼は21才だって。僕が最初に中国に来た時、君(ナルタイ君)と同じ年だったんだ。
Zhuang:いいえ、22才だったわよ。
Dimash:同じようなもんだよ。


 ディマシュがナルタイ君にプレゼントをするシーン。
★同。10月20日付。

 ディマシュのチェックインをみんなで待っている間、ナルタイ君が彼のライオンの指輪を見て「その指輪、強そうですね」と言うと、ディマシュがすぐに指輪を外してナルタイ君に渡しました。
 ナルタイ君が驚いている間にディマシュは白いヘッドフォンを外し、指輪とおそろいのネックレスも首から外して彼に渡してしまいます。
ディ「君は今からライオンだ、今からカザフのライオンだぞ」
少年「贈り物をもらってしまって、申し訳ありません」
 ナルタイ君が自分もディマシュにプレゼントを持って来たことを思い出してそれを彼に渡します。
ディ「ありがとう」
少年「これは僕の兄弟がトルコから持ってきた‶メデューサの目″です。
それがあなたを祝福し、邪悪な目からあなたを守ることができると願っています」
ディ「ありがとう。俺たち物々交換したってことだね」
Jade「そうね!(少年に)それはとってもスペシャルね。あなたはラッキーだわ」
ディ「“Күшті Күшті Күшті!”
(大丈夫/気にしないで/似合ってるから着けて)」


 昼12時過ぎ、マカオに到着。
★ディマシュ公式IG。10月20日付。
「マカオに到着しました、明日コンサートでお会いしましょう🫡」


YouTubeショート動画
『Dimash will hold a concert in Hongkong』by Dimash Iran
ディマシュ「注目!みんな!いいニュースだよ。2ヶ月後、香港でコンサートをやるよ」



【マカオについて】

この地図上で、マカオの空港は香港国際空港のすぐ左側(西側)


マカオの空港は、地図上の「マカオ」の「オ」の下にあり、細長い白い線が滑走路。
ディマシュが12月23日にコンサートを開くHong Kong Convention and Exhibition Cwntreは、地図の東側、「香港」の「港」の文字のすぐ右下あたりにあるようです。


 マカオ(澳門)は「珠江」という河の河口西側にあり、河口を挟んで東側に香港があります。
 1513年、当時世界の海洋大国だったポルトガルからポルトガル人が中国に初渡来、明王朝との貿易を開始しましたが、明王朝は1522年に貿易を禁止。しかしその後マカオ周辺で海賊が横行し、ポルトガルの艦隊が駆逐に協力、その褒美としてポルトガルは1557年にマカオ居留を認められ、マカオを中継地点としてポルトガル交易が広がります。
 その後いろいろありましたが、1887年、中葡和好通商条約によってマカオはポルトガルの排他的占有となり、植民地になります。
 その後ポルトガルは、1910年に革命により王国から共和制国家に移行したものの、1926年にクーデターにより軍事政権が成立していました。
 しかしまたいろいろあって、1974年に「カーネーション革命」が起こり、国は民主化されます。
 そして1999年12月、マカオは中国に返還されて「特別行政地区」となり、「一国二制度」の政治システムとなります。
 20世紀の世界史や地理がまだ頭にある私など、いまだに香港はイギリス領で、マカオがポルトガル領だという感覚が抜けません😅

 そのようなマカオで、ディマシュは今回ベイエリア・コンサートに出演し、12月23日には対岸の香港でコンサートを行います。



【ディマシュinピンクの謎】

《見れども見れどもピンクだらけw》

 次の日の10月21日、インスタグラムにはマカオの会場から続々とディマシュの動画が上がって来ていたのですが、それらを見てびっっっくり!
 スクロールすれどもすれども、ずーっとピンク!!!

★jadecheung0524のIGより。10月21日付。
 Posted @withregram • @bigtomato_min


 上の投稿のコメント欄に、「スタイリストは復讐を望んだ???」というコメントがあります。
 実はこのピンク色には、伏線のような出来事がありました。

《インスタ・ライブストリームでのディマシュ》

 トルコはアンタルヤでのコンサートを次の日に控えた5月5日、ディマシュとコーラス隊のラスール、コブス奏者のオルジャスさんなどのミュージシャン仲間が、インスタグラムでライブストリーミングを始めました。


YouTube動画⑤:『ДИМАШ ПРЯМОЙ ЭФИР ИЗ ТУРЦИИ /ПЕРЕВОД ВСЕ ЯЗЫКИ/ Гарри Поттер и все-все😂』
(ディマシュ トルコから生放送 / 全言語翻訳 / ハリー・ポッターなどなど)
By DearsDimash EurasianFanClub 2023/05/05
(問題の場面を頭出し)(英語字幕は無し)


 
 途中、このライブをやるのはなぜかという問題(ファンからのリクエストか、ラスールの一存か)でちょっとした意見のすれ違いがあり、ディマシュが、笑いながらもだんだん拗ね始めます。(33分43秒~)

 彼らがベランダに出て数分後、司会のラスールがディマシュに話しかけようとしますが、ディマシュはこの時点でもうすっかり「辛辣ディマシュ君」に出来上がってしまっていまして。

D「君とはもう話したくないんだけど」
R「ハハハ」
Ⅾ「君とは話したくないもん」
R「OK、だったら一問一答はどうだい? じゃ、どっちを選ぶ? 白と黒では?(笑)」
Ⅾ「(笑)なんでそんなこと気にするのさ」
R「だって君、今、白と黒の服を着てるじゃない。で、どっちの色が……」
 ディマシュ、下向いて自分の服を見て、
Ⅾ「ピンク……ピンク!」
R「ピンク? ハハハ」
Ⅾ「ピーンク!!!

 明らかに辛辣ディマシュ・ガキんちょ君が、思いっきり意外な色を答えてラスールを呆れさせようとしています(笑)
 たしか以前、中国のバラエティ番組『追光吧』(2011)で「3つのお願い」に「ピンクの衣装はイヤです」とかパネルに書いてたはずなのに、この時にはものすごい「天邪鬼」が発動中(笑)
 もちろん全部お約束の冗談ですけども、このあとラスールから自分たちの関係はフレンドシップより上のブラザーシップだからと言われて、ディマシュ、めっちゃ喜んでご機嫌が直ってました。(ただの甘えん坊か……)

 てことで、もしかしたらディマシュはこの時の発言を「人質」に取られてしまい、いろいろ言いくるめられて、このピンクのスーツを着ることになったんじゃないかと邪推してます(笑)
「えー、これ着るの?」ってゴネたんだけど、「これしかありませんから」と突っぱねられたとかね。
 もちろん全部私の邪推の妄想ですから、もしかしたらディマシュは、あの時の自分の発言のあとでピンクを着たら、みんなが今みたいなことを考えるだろうなーと、ひとりでほくそ笑んでいた線も捨てきれません(笑)
 神のみぞ知る、てか、だれかディマシュに直接聞いてください🤣

 でもこの色のピンクは、ディマシュに似合ってますね。
 この子の皮膚の色が「マットな白の下地の上に薄い肌色を塗った」ような綺麗な色なのでねえ。
 スーツの色は、ホットピンクよりもすこしオレンジが強い色かな?
 帽子との取り合わせで、フレンチローズかもしれませんが、よくわかりません。会場や舞台の照明もありますし、見ているディスプレイでも機種の色調整によって微妙に違うので、直接目で見ないと特定は難しいです。



【ディマシュ、会場でdearsや共演者達と楽しく過ごす】

  まずは超美形に写ってしまったディマシュの写真集、3枚です💖
★dimash.usa.fanclubのIGより。10月21日付。


 dearsがいる客席に向かって行き、彼女たちと握手するディマシュ。★jadecheung0524のIGより。同付。


 上の動画で握手したdears側の映像。イエーイ!
★dimashofficial_fanclub(中国のFC)のIGより。同日。

 
 会場の円卓で、一緒に座ったゲストたちと楽しそうに話すディマシュ。
 途中投げキッスあり。
 動画の解説によると、ディマシュの右隣は「温兆伦」という香港の歌手&俳優で、左隣は「胡夏」という中国人歌手だそうです。

(24/03/17:最初に張った動画が消えたので、差し替えました)
YouTube動画⑥:『Dimash during concert』
By Dimash Iran 2023/10/22


 出番が来たので舞台に向かうディマシュ、デカい体をかがめて歩く姿が、カワイイ。
★jadecheung0524のIGより。同付。

 

 舞台下で、スマホのカメラに向かって冗談か何かを言いながらニコニコ笑うディマシュ。
★jadecheung0524のIGより。同付。Cr. @dimash_dqd

 

 てことで、ディマシュが舞台に登場、歌が始まりました。



【ファンカムの方が音が良いって、どういうことよ】

 実はですね、最初に上げた公式動画の音質は、ネット配信の動画のためなのか、公式なのにモノラルのようであんまりよろしくなくて、オケはほとんど聞こえないし、動画は同期ズレしてるし、もうなんだかなーと思っていました。
 ここにあらわれたのが、我らが写真家dear「Moon Kudaibergen」さん。
 この方、だいたいどこのライブにも現れてディマシュの美しい写真を撮ってインスタやYouTubeに投稿していることで有名ですが、時々スマホ?で動画も撮って投稿しています。
 今回も彼女は会場に来て写真や動画を撮っていて、これがやっぱり良い出来でした。
 下のが彼女の動画です。音質自体はスマホ?ですのでそれなりではあるのですが、こちらの方がサウンドに臨場感があって、ボーカルとオケのバランスも良く、会場に流れた大体そのままが聴けてすごく良いです。
 そしてなにより同期ズレが無いため、ディマシュのボーカルと体の動きに違和感がなく、非常に楽しく見れます。

YouTube動画⑦:『【Battle of Memories】The Popular Movies Greater Bay Arena Concert, Macau 21 Oct 2023』 by Moon Kudaibergen 2023/10/22

 


【2020年度MV(原曲)の世界観】

YouTube動画⑧
『Dimash - Battle of Memories | Official Video』(2017年原曲のMV)
By Dimash Qudaibergen(公式) 2020/01/17公開


 最初に書いたように、この曲は元々映画の主題歌でした。
 原曲はDマイナー(ニ短調)で終始します。
 2番が終わったあとのブリッジで、
「愛はその裏側に狂気を宿した異常、愛すれば愛するほどそれがわかる」
と歌われます。
 この「異常」(中国語で点瘋-ディエンフォン)という単語がA6のハイノートまで上がって行き、ヴァース2の「お前の大事な誰かが、おまえを最も傷つける」という歌詞と連動して「愛の狂気」を感じさせます。
(注1:歌詞)
 しかし、最終的に曲は元のオクターブに戻り、全体的には重厚なバラードの印象が強く、映画のストーリーに沿って、愛する意志の強さや、出来事を冷静に見つめる客観性を歌った形で終わります。
 特に最後から2行目の「俺のこの想いを忘れること」が、愛を救うための悲壮な決意を感じさせます。


【『バトル・オブ・メモリーズ』、マカオ版の歌唱】

《前半:転調による歌の焦点の移動》

 今回のマカオ版は、ディマシュとエディルジャン・ガバソフ氏による編曲です。歌詞は、原曲からカットされた部分がかなりあります。

 イントロからヴァース1、プレ・コーラス1までは、原曲と同じDマイナーで進みます。
 吐息混じりのバリトンには、過去を悔やむような音色があり、歌の主人公に何があったかを語っています。
 原曲ではピアノがリードしていましたが、マカオ版では途切れのないストリングスのロングトーンでフィールドを作り、チェロ、ピアノが順次入って来ます。特に高音のピアノが空高く瞬く星のきらめきのようで、とても美しいです。

 ところがコーラス1は、プレ1の最後のAの音を1オクターブ上昇させて始まり、3度高いキーのF#マイナー(嬰ヘ短調)に移調します。
 これによって何が起きるかというと、歌の焦点の移動です。
 原曲ではコーラス部分は映画の主人公の「戦い続ける意志」に焦点が当たっていたのですが、このマカオ版では「捨てられない感情」に焦点が移りました。
 さらに吐息が多くなったかすれた囁きのヘッドボイスは、原曲よりももっと儚く、もっと脆くて、もっと哀しい嘆きのように聴こえます。
 戦う意志をもたらす心の奥深くにある「純情」を歌っているかのような。
 高音のピアノと同じオクターブなので、その「純情」が現実を離れて空高く舞い上がり、暗い夜空に独り漂っているかのような。

 間奏1の、007シリーズ主題歌を思い出させる印象的なメロディを挟んで、歌はプレ・コーラス2から再開します。
 原曲の方は、少し長い間奏1のあとヴァース2でバラードに戻りますが、マカオ版では間奏1は半分の長さに短縮され、ドラムスが大きく入って来ていったん世界が完結します。
 そしてヴァース2のバラードが丸々削除され、再開されたプレ・コーラス2は、軽快なリズムのポップスに変わります。
 これは非常に良い編曲でした。
 ファンカム撮影者Moonさんの周りの観客が、この場所でお喋りをピタッとやめてしまったくらいです。
 このポップス化は、囁きのコーラス1からすでに予兆があって、ディマシュのボーカルのリズムに時々16ビートを含む二連符(タタータ、というリズム)が含まれていたことから、その後の展開でビートが軽快になるだろうということが分かります。
 このプレ・コーラス2は現実世界に戻って来て視界がやや広くなり、世界に向かって異議を申し立てるようなエネルギーで歌われます。
 コーラス2も引き続き、現実に立ち向かう覇気を持って歌われます。
 歌はコーラス2の最後を素早く切り上げ、再び世界を完結させるブレイクが入ります。

 さて、問題はこのブレイクのすぐあとです。

 オケがオルゴールのようなピアノだけになり、ディマシュがコーラス3の最初を静かに歌います。
 最初、私はここ、変拍子なのかな?と思って聴いていました。
 しかし何回聴いても上手く拍子が取れません。
 で、途中で気がつきました。

 ディマシュ、カウントを間違えた!?


《後半:入りの間違い?と、その効果》

 ためしにコーラス2の最後から素早くブレスして、すぐにコーラス3を歌ってみると……
 あ!ちゃんとはまったぞ!
 てことはディマシュ、コーラス3の入りを1小節、間違えたんだ。

(以下、入りを間違えたと仮定しての感想です)(注2)

 後方にぶん回した左手のアクションにつられちゃったかな?
 実際には、ディマシュが間違えたように、丸々1小節のブレイクがあって、ピアノの前奏が入って、それから歌に入るほうが自然な流れではあるのです。
 もしかしたら編曲段階でどちらにするか迷ったのかな?
 それとも、出演者1人当たりの持ち時間の関係で、歌をぎりぎりまで短縮したのかな?
 ともかくディマシュ、かなり厳しいタイミングで1小節の遅れを取り戻します。

 ところがですね、この「入りの間違い」が意外と良くて、ですね。


 歌詞の削除はヴァース2以外に、もう2ヶ所あります。
 最後から2行目の「俺のこの想いを忘れること」。
 それとブリッジ部分の2行、つまり入りを間違えた箇所の直前のパート、「愛はその裏側に狂気を宿した異常、愛すれば愛するほどそれがわかる」。
 つまり、原曲で「愛の狂気」を具体的に描写していた歌詞がすべて削られています。
 そのため、マカオ版の歌詞だけを読むと、映画の登場人物の心情が消え、歌全体が人間の心情の普遍的な描写に変わります。

 なのですが、ディマシュの歌唱は転調してキーが原曲より3度高くなったため、クライマックスのコーラス3でどんどんヒートアップしていき、途中にはディストーション・ボイスもあり、高音ロングトーンにベルティングにランが出るあたりでは、その声の凄まじさから、聴いているこっちが圧倒されてドキドキしてしまうような「異常な世界観」を感じます。

 3度高い転調は、クライマックスのこの高揚感をディマシュのハイノートで演出するためだろうと思いますが、本番ではさらに輪をかけて高揚して、異常の域にまで達してしまったような。

 そしてこの「異常な世界観」の出現は、入りを間違えたために変拍子っぽく聞こえたことが原因で、歌の世界に何か異常なことが起きていると聞く側が感じる不安感が下地になっているのです。

 もしかしたらディマシュ本人も、あれがミスだったと仮定しての話ですが、入りの間違いをカバーしようとした結果、いつも以上に歌唱にパワーと情感が乗った可能性もあります。

 歌詞の上では「愛の狂気」は削られて無くなったはずなのに、コーラス3の入りの仮想変拍子、一瞬のディストーション・ボイス、ディマシュの特徴的な高音ベルトとラン、そして締めくくりの超絶音圧F#5のハイトーンという歌唱によって、歌の世界が原曲よりももっと異常な「愛の狂気」に突入したまま終わるという構造になってしまいました。

 いやもう、手に汗握るようなものすごく面白い、素晴らしい歌唱でした。

 ライブって面白いですね。
 間違いが間違いじゃなくなって、歌の世界にさらなる色というか情というか、生きた感触を生み出すんだなと改めて思いました。
 それが、ディマシュがin中国1の「国際フォーラム」で語っていた、
「全能の神はすべての人間を ‟間違いを犯す可能性があるもの” として創造された」
の本質的な意味だろうと思います。
 AIは間違いを犯さないかもしれないが、間違いからの飛躍はない。
 人間は間違いを犯すが、その間違いによって閃きと創造性を得、さらなる飛躍を得ることが出来る。
 そういう感じです。
 個人的には、あの変拍子的な入りのミスが、この歌の中で最も人間的で最も美しい箇所かもしれないと思います。


【ピンク・スーツの謎の解!?】

 そして、ここまで書いて気がつきました。
 今回の歌の表現は、ディマシュが着ていたピンク・スーツとよく合ってたんじゃなかな?と。
 ディマシュがあのスーツを着て会場で出演者達と楽しそうに喋っている時は、いつもとちょっと雰囲気が変わってるけど、可愛いからいいか、と思ってました。
 でも、歌の世界が最後にあのような「異常な狂気」に突入してしまうのを聴くと、あのピンク・スーツは、歌のクライマックスの「異常性」を強調するためだったのかな?とか。

 それとも、ライブストリーミングのところで書いたような、ディマシュの「身から出た錆」的な成り行きで着る羽目になった「ピンク・スーツ」が、歌の入りを間違えるという「身から出た錆」第2弾によって逆に正当化され、その結果、最終的な歌の着地点とピッタリ合ってしまったという「瓢箪から駒」に変わったのだろうか、とか(笑)

 まあ、どれもこれも私の妄想ですので、皆さんは気にしないでディマシュの素晴らしい歌と、可愛らしいピンク・スーツを楽しんで下さいね💕


【〝可愛らしいピンクの何か〟の写真集】

★dimashofficial_fanclubのIGより。10月23日付。Cr. DimashStudio

 カートに入ったピンクの何か。
 5才児ですかそうですか。そのわりにはデカいですね。


 上の写真集をアップに加工したもの。
★dear_4yleenのIGより。10月23日付。Cr. DimashStudio
投稿者「ピンクの何かが入ったカートを家に持ち帰って……」
 7枚目が、家に持ち帰りたいピンクの何かが入ったカート。

 


【マカオ裏話:見知らぬdears同士の友情物語】

 今回のコンサートの前には、主催の「ギャラクシー・マカオ」がFacebookのアカウントで、チケット無料プレゼントのコンテストを行っていました。

★dimashofficial_fanclub(中国のFC)のIGより。10月22日付。

 投稿者:
 ディアーズ(dears)についての心温まる物語を共有したいと思います。
 数日前、私たちは「人気映画グレーターベイエリアコンサート」でディマシュを見るために無料入場券を待ち望んでいる地元の人々について投稿しました。
 他の人たちと同様に、Dear Snowlight Fu さん(以下フーさん)も「ギャラクシー・マカオ」がラッキーチケットのために作成した Facebook の投稿でコメントしました。
 ここに投稿したコメントの中で、最も多くの「いいね!」を獲得した上位3つのコメントには、1人あたり2枚の無料チケットが当たる、という企画でした。

(同FCのIGより、10月16日付)

 フーさんのコメントは中国語で書かれていたため、「いいね!」で誰かを助けたいと思っていたdearsがそれを見つけるのは困難でした。
 彼女にはチケットは当たりませんでした。
 しかし、彼女は21日に会場のアリーナに入り、7年間愛し続けたアーティスト、ディマシュの念願のパフォーマンスを楽しみました。
 いったい何が起こったのでしょう!?

 実は、優勝者のひとりであるマレーシア出身の @roisincherie さん(以下ロイシンさん)が、2枚の当選チケットを惜しみなくフーさんにプレゼントし、それによって彼女の願いが叶ったのです!
 ロイシンさんは、フーさんがチケットを入手するまでの請求手続きを進めるのにも役立ってくれました。
 私たちはロイシンさんの優勝を祝福し、ロイシンさんの理解と寛大さに対して特に感謝します。

 ここで、インドネシアからもう一人の素敵な @damayantiressy(以下レッシーさん)についても触れたいと思います。
 レッシーさんは最終日までに最も多くの「いいね!」を獲得したトップ3に入っていました。彼女は、優勝したらフーさんにチケットを提供すると約束した最初の人でした。
 フーさんはレッシーさんのメッセージにとても感動し、こう言いました。「チケットが取れる取れないにかかわらず、彼女には本当に感謝したいです。 すでに愛を感じています。」
 私たちは、フーさんと地元中国のdears全員を代表して、協力してくれたすべての Facebookのdearsに、感謝の意を表したいと思います。
 ディマシュdearsの、何というポジティブなエネルギーでしょう!
 私たちはみんなでひとつ、そしてみんなはディマシュのために 💞💞💞

 最後に、フーさんからの心のこもった言葉で物語を締めくくりましょう。
「今日のこの幸せは、何千マイルも離れた、これまで会ったこともないdearsから与えられたものです。このような友情はとても貴重です。(中略)
 将来、ディマシュについて一緒に共有する機会があればいいなと思っています。皆さんがいてくれて本当に良かったです。
 優しい人たちの平和な生活を願っています。」
(投稿文、以上)


 GoogleとDeeplの翻訳文を手直ししている間、ついつい目から水が……。
 私がこの企画に気がついた時にはもう締め切りが過ぎていたので、当選者が誰だったのか気になっていました。
 すると、当選した3名のうち2名がdearsで、しかも海外の当選者が中国のdearにその無料チケットを譲っていたとは。
 もしかしたら外国から投稿したdearsは、全員そういうつもりでいたのかもしれませんし、彼らに「いいね!」を押したdearsも、彼らの意図を分かっていたのかもしれません。
 しかも譲られたフーさんは、7年間も! おそらく『Singer2017』でディマシュを知ってからの年月でしょう、ずっと変わらず彼を愛してきたファンだった、と。
 ピンク・ディマシュ君、君は以前「自分は自分のファンのファンだ」と言ってたけど、君は本当に良いファンを持ってるねえ。


 などと書いている間に、当のご本人さんがIG公式にディマシュ・スタジオの写真集を投稿。

★ディマシュ(公式)のIGより。10月23日付。
「マカオ🇲🇴の写真です」

 

 「世界で唯一の組織」のCEOさん?
 あなたのところのアーティストの、「カートに入ったピンクの5才児」の写真がありませんぞ。(5枚目のそれじゃなくてだね)(注2)

 やり直してください(笑)


 (終了)


【注解】

(注1:歌詞)

『拿不走的记忆』(奪われざる記憶)2023マカオ版
※取り消し線のある歌詞はマカオ版で省略された、2019MV版の歌詞。

(ヴァース1)
時間が経つほどに、真実は取り残される
お前と俺の孤独、過ちはどこにあったのだ
絶望の沈黙と、激しい会話
そこに救いはなく、ただ無力感が残される
(プレ・コーラス1)
幸福はその頂上から転がり落ちる
落ちていく摩擦の記憶はろうそくに光り
お前も俺も異世界にいるようだった
 (コーラス1)
感傷は捨てられても、感情は捨てられない
全てを手放すことに恐れなどなく
ただお前を抱きしめていたかった       
時間を奪えても、過去の夢までは奪えない
お前のために転がり続け、戦い続ける     
そうしてやっと、俺は自分の感情を忘れるだろう
(間奏1)
(ヴァース2) 省略
無関心な心には、隠された痛みがある
それらは皆、理解されたくて苦しんでいる
お前が大切にするその誰かが、お前を最も傷つけるのだ
そこにはまだ愛が、沈黙が、そして荒れ狂う感情があるからだ
(プレ・コーラス2)
幸福はその頂上から転がり落ちる
落ちていく摩擦の記憶はろうそくに灯り
お前も俺も異世界にいるようだった
(コーラス2)
感傷は捨てられても、感情は捨てられない
全てを手放すことに恐れなどなく
ただお前を抱きしめていたかった
時間を奪えても、過去の夢までは奪えない
お前のために転がり続け、戦い続ける
そうしてやっと、俺は自分の感情を忘れるだろう
(ブリッジ) 省略
愛はその裏側に狂気を宿した異常
愛すれば愛するほど、それがわかる
(ブレイク)
(コーラス3)
感傷は捨てられても、この感情は捨てられない
すべてを放棄しても、お前だけを抱いていたかった
時間を奪えても、過去の夢までは奪えない
お前のために転がり続け、戦い続ける
そうしてやっと、俺は自分の感情を忘れるだろう
俺のこの想いを忘れること(省略)
それだけが真実の愛の証し
(歌詞終了)

(ヴァ―ス1)Dマイナー、ニ短調(d-moll)
=気分の沈んだ女性らしさ、奇妙であることや曖昧さを含む。

(コーラス1)F#マイナー、嬰ヘ短調(fis-moll)
属調でC#マイナー、嬰ハ短調(cis-moll)
=後悔の嘆き、神とのくつろいだ対話、友人と、人生の伴侶との話し合い、満たされない友情と愛の嘆きがこの範囲。

(注2)入りの間違いの根拠

 この箇所でディマシュが入りを間違えた根拠は、あと2つあります。
 ひとつは、ピアノの伴奏とディマシュの歌が途中まで合っていなかったことです。
 ピアノ伴奏はアウフタクトの「ララシ」の部分を弾かないで、そのあとの「ド#~ファ#~」で弾いていますが、ディマシュの歌は、最初と2回目のアウフタクト「ララシ」の部分をピアノ伴奏と同時に歌っています。3回目でやっとピアノ伴奏なしのアウフタクトになります。なので、3回目にやっと遅れを取り戻したことになります。
 もう一つの根拠は、これは私の憶測ですが、今回のライブ動画がディマシュ公式のYouTubeチャンネルに、いまだに投稿されていないことです。
 せっかくエディルジャンさんと一緒に編曲したのにね。
「ごめーんエディルジャン、間違えちゃったよぅ。香港でまた歌ってそっちを投稿するから許して~~~💦」
とかいうディマシュからのメッセを見て苦笑いするエディルジャンさん、という場面を妄想中です🤣

(注3)「カートに入った5才児」写真が公式から外された理由を妄想

 えーと、ディマシュのファンには子供達が非常にたくさんいます。
 それを考えたら、「ディマシュ・スタジオ」の方のウェイボー・アカウントはともかく、ディマシュ公式のインスタグラム・アカウントの方には、「スーパーのカゴに入ってポーズを取る」などという子供達が真似して遊んだらマズい写真は、投稿出来ませんわな😅
 5枚目は、ぱっと見どこに座ってるかわかんないからギリOKなのかな?
 ピンク・スーツにちょっと羽目を外し過ぎたディマシュ君、ピンク・スーツを脱いだらCEOらしくまともな思考回路が働いたのかもしれませんな。

(注解、終了)

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