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お城EXPOやお城フェスに行って思った事

年の瀬にも近づいてきて、今年も今まで「自分には縁がないだろう」と思っていた様々なイベントに行かせていただきました。その中で、第二回お城フェス(大阪)、お城EXPOin姫路(兵庫)、お城EXPO2023(横浜)と大きな城郭フェスに行かせていただきました。

様々な自治体、観光協会、博物館、企業などなどがあるのですが、パンフレットの量もすごいので、目を通すのにも実は一苦労。1ブース1ブースを熟読するのに時間がかかる上に、専門的な言葉が普通に使われていて、把握するまでに時間がかかる、でも解説はしたいという心のせめぎ合いが多く見て取れました。

1:5Wの補完

城郭、遺構などなどをみると
What:その城や遺構
Where:場所、それに付随する地域
When:この時にくると絶景などの付加価値
Who:まだ魅力を知らない人、興味がある人など
Why:?

パネル展示を見たり、パンフレットをみると「なぜ」の部分が結構曖昧だよなと感じたわけで。
これって、自分が描く三好漫画にも結構グサっとくる部分ではあるのですが、「なぜ」の部分は、目的の部分になるのですが、その遺構や城を使い、地域の活性化や戦国武将の魅力の開発などあると思います。回数こなして出ているところは殆ど物産展と変わらないと感じたりしたわけです。
特定的なのは申し上げないのですが「ほぼほぼ物販と武将隊とかそういうスタッフをメインに取り上げるとなると、すでにメインが城郭というより目的が人やマスコットである」とか。
いや人やマスコットが悪いとは思いません。(わん丸くんは可愛い、癒し)
むしろ効果は大きいと思います。目的に付随するのが城郭なのだと思います。
でも、果たして「なぜ」なのかの部分がぼやけてしまって、城の魅力を通じて、地域の活性化を図りたい、ではなく武将隊のかっこよさやマスコットの可愛さに隠れてしまうという。
企業のように目的がハッキリわかる方が良いと思うんです。「なぜ」という部分は「販売促進」だからなので。

論文調の紹介で「礎石」だ「野面」とか書かれていても、城郭が好きでしっかり勉強している人はわかると思いますが、ライトな人たちは溶け込みにくいんですよ。だって「礎石ってなんですか」って聞けない状況を作り出しているのも大きいのですよ。だからBtoBがメインの現場じゃないか?と思ってしまうのです。そうなると新規のカスタマーは入りずらい、だから城ブームとは言いながらも、新規参入のユーザーが少ないのではないかな?と思いながらスペースを回っていました。
あと、和暦表記も結構曲者なんですよ、来る人みんなが、和暦が西暦どれくらいか知っている人が来ると思うなよ!私は西暦でしか考えれないんだぞ!西暦表記も合わせてしてくれよ!

2:来場者の目的と出展者側の目標数値

お城EXPOもお城フェスも、パブリックショーなのに名刺交換する現場がよく見かけられる、早くいうと一般客に認知や宣伝を行う場所なのに「なんで会社同士の取材現場になってるんだ?」って思うんですよね。
メディアを通して発信してもらう!的な、でも、そのメディア媒体がどれだけ浸透力があったのかな?って。それは個人の感想なので置いておいて。
よくある展示会ではBtoBの開催日とBtoCの開催日を分けて開催するのですが、お城フェス、お城EXPOの良さでもあると感じるのですが、テーマに沿って、様々な意見交換が企業や自治体レベルでも可能で、一般顧客からの意見を聞く事もできる良い機会だと思うのです。アンケートを結構取ってらっしゃる自治体、観光協会様がいらっしゃいましたが、これは良いのではないかな?って思いました。ナーチャリング(顧客育成)にもなると思うんですよ。
アンケートというので、いわゆる非売品の配布を付加価値として付けて、興味を持たせるという事実が重要ですし、新規顧客の開拓と既存顧客の育成だとすれば十分Whyにも適っていると思いました。
肝心の来場者の目的として「限定の御城印」や「他の城の魅力を知りたい」など様々ですが、色々あるかなと思いながら、出展者としての目標を設けて、PRの数値(例えばコミケとかなら頒布量や立ち止まってくれた人の数)も見るのも重要だと感じるのですが、このあたりは来場者側からしか見れないのですが、だからこそ目的がはっきりしないブースも見受けられるんだと思います。

3:出展料との費用対効果

見ての通り、戦国三好の漫画を描いていると様々なイベントに参加させて頂くことが多いのですが、城フェスの時は大東市の飯盛城、お城EXPO2023では阿波一宮城・勝瑞城とブースにお邪魔させていただきました。
勝瑞城に関しては、自分が推している城跡、三好実休を応援できるからと。。
出展料は毎回HPに記載があるのですが、1ブース150,000-250,000円くらいかな。これってどんどん高くなる可能性は大きいと思います。物価上昇率から翌年予測をすると20%くらいアップさせたいと考えるのと多分180,000から300,000円くらいになるのではないか?と予測すると、来場者から約3%くらいの人が現地に行くと考えたら、日本国内で現地に落とすお金が10,000円程度とすればお城EXPOが約15000人で3%は450人、単純計算だと4,500,000円くらいの効果が期待できるという事になります。
でも、あくまで予測なので実対価にはならないので、ある程度の費用回収を見込むのが販売になるわけです。それが、物販。
御城印、武将印の単価ですが、限定や記念だと「より」高価になると思います。特に箔押しの御城印や特殊紙(メタリックなど)の印刷されている御城印、印刷技術ってすごいですねー、2色刷りですねーとかそういうこと考えてしまいますし、単価はどれくらいか予測できる人から見れば「ん?」っていうところも多いけど、ですよ、だから「限定」なんですよね。
遠くまでいかないといけない、でも遠すぎる人でも、ここで手に入れるチャンス!という物販をすれば売れるわけで、もちろん「それは売れないだろ」っていうブースもありましたよ。どことは言わないけど。
聞いた時には約日本には3万くらい城があって、そこにそれぞれ御城印があるとします。一枚あたりの単価が300-1000円と幅広いので、500円で15,000,000円になるわけで、仮にあるところが1万だとしても5,000,000円。武将印もあるとして…えっと信長の野望が1000人だとして、同じくらいの単価で500,000円って感じです。
コンプしたい収集目的もあれば、単純にそのお城を応援することにつながるのを考えたら、買うんですよ。買っちゃうですよ。だって、保存してもらいたいから、残してもらいたいから、むしろ観光活性化して、美味しいミルク饅頭出して欲しいから。
だから、物販をすることは効果的なんだと思います。出展料が300,000円と仮定すると単純にブース料だけなら500円なら600枚売らないといけない。お城EXPOは15000人くらいとすれば、25%には売らないとペイできない。ただ、出展って一人あたりの人件費と諸経費もあるんですよね。ボランティアじゃないから。遠隔地になると、飛行機や新幹線、宿泊代、食費、出張手当などなど。一人あたり、2日間で130,000円くらいと考えた時、大体出展するのに、2人と考えて、600,000円くらい必要になるかも知れない。
そうなると、1200枚になるので、そりゃあ、この日限定の品を1000円から3000円で売った方が効果が高いって感じちゃうんですよ。
ちなみに、こんなこと考えながら回ってる一般参加者なんて、私くらいなんじゃないって思う時ありますよ。
特別講演で別料金を取るシステムは、登壇者への出演料や会場使用料などもあるので、1500円くらいで150名規模なら登壇者のギャランティがこれくらいかな?とか考えたり、会場使用料や機材設備料、頒布印刷物料も捻出して、ペイするか、プラスして全体の会場費用にオンするんだろうな、って考えます。
だから、大阪お城フェスの特別講演が500円って破格なんですけど、質が良い講演が楽しめました。姫路でも興味がある講演を拝聴した時には、満足度も高く、登壇した方の地域について「より知りたい」という興味が増幅されましたよ。テーマごとの費用対効果で、自らも宣伝する場を持つ、確実につながる効果があるといいですね。

阿波は日本遺産バフがかかっている。

4:既視感は脱却して欲しい

間隔が短い間で、同じ系統の展示会に行くと、展示物の既視感が大きいです。同じパンフレットに同じ武将隊がきて、同じものが頒布されているとすると、そのブースは避けるんですよ。だって同じなんだもの。
見なくても、同じ説明をもう一度繰り返されるくらいなら、別にいいか、見なくてもってなるんです。

研究って見直されたり新しい発見があるからこそ論文とか出す、なら、その論文をもう一度読み直してアプローチを変化させるっていいんじゃないかな?って思います。「発掘調査しました、こんなん出ました」それは報告書でできるレベルで深掘りして考えてみて「これはこの地域のこんな出来事を結びついていたのでは?」とか一歩進んで「こんな出来事があったのと結びついているのか、じゃあ、これも含めてアピールしよう」ってなって、付加価値のアピールが欲しいんですよね。勝瑞城が私が好きな理由はもちろん「三好実休が過ごした地域かも知れないし、おさめようとしていた地域」というところから「旧吉野川に近い地域で、三好がよく堺など畿内に渡っていた」ことを考えた時に、同年代の戦国武将より、河川、海に詳しい人物がいたのでは?ということを考えて、至るわけなんですよ。合戦があった時に、船を使える領域にいたとしたら、速度が変わるし、元の大きさも可変するだろうって思って、調べるわけなんですよ。
だから「堀が組まれている城はどこから水を流入させたか」「山にあった城で水はどうしていたか」そうなると自然に「なぜ、そこに城(館)があったのか知りたい」という目的ができるんですけどね。
その目的を補完するためにお城EXPOやお城フェスに行ってるのに、説明がパンフ一辺倒の説明なら、別にもらってあとは読むしってなるので、学芸員が来ているブースの方が配布物に書かれていない情報や話が聞けるという機会があると思いませんか?
これは学芸員バフと呼びたい。縄張り図より赤色立体図の方が、山城では出されている情報としては好きなのに「この道ってきのこ生えますか?」って聞いても「はあ、あると思います」なんて答えよりも「いやあ、山城に調査で登った時、変な色のキノコがあって、一度見に来て下さいよ!」ってアピールされたら、行くしかないってなります。むしろ変な色のキノコがどんなキノコか知りたいというメインの情報につながるわけですから。
だから、来年は色々なところのブースが変化をしていることを期待しています。

というわけで、めっちゃ長く書きましたけど、率直な思いを書いてみました。
来年(2024年)はぜひ勝瑞、飯盛、尼崎、兵庫、堺の合同で「戦国三好の歴史をめぐる」という感じで、複数箇所の合同ブースを期待していますよ!


こういう細かいことを言うのが、作者の特徴

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