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素直になるゴールは果てしなく遠く見える

3年以上ぶりに風邪をひいた。しかも実家に帰ってきているタイミングで。

咳は出ないけど喉が痛い。熱はないけど頭が痛くてぼーっとする。

「夕ごはんできたよー!食べるー?温めるー?」と1階から叫ぶ母の声で目が覚めた。声を出しても聞こえないだろうと答えないでいると、同じ質問を叫びながらドカドカと2階に上がってくる音が聞こえる。

ようやく「食べる」と答えた私の声に異変を感じたのか「具合悪いの?」と聞かれたので、閉めてあった扉越しに「喉が痛い」と答える。

1階に戻った母親はしばらくしてからまた2階に上がってきて、「開けるよー」と断ってから部屋に入り、「熱測る?」と体温計を手渡してくれた。

「昨日も元気なかったもんね。夕方寝てたし」

なんで母親ってこうもお見通しなんだろうか。「元気ないな」と見られていたことをはじめて知る。全く気がつかなかった。

弱った姿の自分と気にかける母親を俯瞰的に想像して、「看病されるの久しぶりだなあ」なんて思ったら涙が出てきた。

父親は「元気だして」と声をかけてくれた。


実家に帰るとすごく複雑な気持ちになる。

ここに住んでいたころの私と今の私は確実に違う。実の両親なのに、どう接すればいいのかが分からない。笑いたいのに笑えない。甘えたいのに甘えられない。本当に伝えたいことを伝えられない。どうしてか不機嫌な態度をとってしまう。

父親と母親の行動に嫌だなあと思うときもある。友だちや義理の家族に対しては許せることも、実の両親に対しては許せなかったりする。そして嫌だと思う自分が苦しい。

両親にはいつでも理想像であってほしいのだろうか。両親だって人間だ。完璧な人間がいないことは頭では分かっている。のに。「こうあってほしい」という期待を押しつけてしまっているようにも感じる。


そんな不器用で素直じゃない娘を受け入れ、体調の悪さを心配する。父親と母親ってほんとうに偉大だ。真似できないな、と思う。

いつか素直に伝えたいことを伝えられるだろうか。今の私は「ありがとう」と言うだけで泣いてしまいそうだ。


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