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一目刺しいろいろ

 先日販売した刺し子ふきん。中心に模様刺しの麻の葉、上下に一目刺しの祭り提灯、田水。気に入っている組み合わせで、一つの模様のように捉えています。

藍染ふきん版

 一目刺しは手法上、独特の模様が多いです。模様刺しよりもこぎん刺し寄りなイメージがあります。祭り提灯と田水は前回の記事でご紹介した、

書籍 徳永幾久/刺し子の研究(1989年出版)/衣生活研究所

 に載っています。まず地刺しをして、その目に糸を通す。糸通し刺しやくぐり刺しと呼ばれる手法です。祭り提灯はinstagramに載せると「初めて見る模様です」というコメントやメッセージを多く頂きました。「〇〇という本にも載っています」と教えて下さった方もいましたから(本の名前は失念)この本にしか掲載されていない訳ではないと思いますが、最近ははあまり見かけない、刺されていない模様なのかも知れません。
 祭り提灯に似た、今もよく刺されている模様といえば亀甲花刺しでしょうか。

亀甲花刺し

 亀甲花刺しの地刺しの目を横横にして、縦の間隔をぎゅーんと伸ばせば祭り提灯になります。

 この他にも前述の本には、亜種か?と思う模様がいくつか載っています。地刺し部分が二本線で花提灯、提灯の中の点々がない三本立枠、点々が+になって畳、等々。どれが原種でどれが亜種かと、勝手に想像しながら眺めています。載っていないだけで盆提灯や道行灯なんてのもあったかも知れない、なんて思ったり。

手書きなのがまた想像を掻き立てるのです

 模様の名前も色々です。田畑、漁、祭、気候にちなんだものが多い。当時の人たちが見てきた日常が投影されているのですね。
 「別の本には違う名前で紹介されていたな」なんて模様もあります。地域によって呼び方が異なることもあるようです。

 手書きの資料を元に刺してみると、様々な工夫や、時には笑ってしまうような力技に出会えます。どこかで誰かの目に映り、心に残ったものが、わざわざ針と糸を通して表現される。書籍やinstagramで拝見する様々な目新しい模様もそういう意味では昔と変わらないのでしょう。手芸って愉快だなあと思う。手が遅くてなかなか追いつきませんが、まだまだ色んな模様を刺してみたいです。

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