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針目

 刺し子風呂敷を作っています。生地は藍木綿、糸は生成り。今は麻の葉模様の段を刺しています。

 模様になる前の線は、足跡のようだと思う。濃色の布に生成りの糸の組み合わせは特に、夜中降る雪の上を誰かが通り過ぎていくようだと思います。雪が足音を吸い込んでいくような。

だから、「針目が静か」と思えたらまあまあ気分が良い。逆に「何かがちゃがちゃしているな」と感じたら、一旦考え直そうかとなります。私が思うがちゃがちゃの原因は大抵、

  1. 必要のない箇所で針を抜きがちで、針目の流れが分断されている

  2. 材料と模様のバランスが良くない

なので、たくさん刺し子をするうち減っていきます。慣れれば不要なところで針を抜かなくても布を後ろに送れるようになりますし、糸の特徴や模様に適したサイズも想像しやすくなるからです。自分が腑に落ちれば良いのではっきりとした正解があるわけでもありません。静かだと思っているのは自分だけかも知れないし…。私は1はもうあまりしないので、原因は大抵2です。

 刺し子を始めたばかりの頃は針目を均等にすることに気を配り、違うと思ったら戻り、途中で針を抜くことが多かった。
 でも、それはやらない方がいいよ、と先生に言われていました。それをすると流れが切れてしまうからと。針目は一朝一夕には揃わないし、そもそも、揃ってさえいたら素敵な刺し子だと思うの?と。
 私も今、尋ねられたらほぼ同じように答えています。多少目が揃わなくても流れやリズムを掴むことを優先するうち、自分の縫いやすい針目になり、縫いやすい針目は揃いやすくなっていきます。
 そうは言ってもなあ、と思っていた頃の気持ちも勿論覚えていますが、刺し子は手法が単純すぎて、他に言いようがないのではないかな。

麻の葉模様の縦線

 市販されている模様刺しの刺し子キットに、破線ではなく直線のタイプがあれば練習に最適なのにと長いこと密かに思っています。下書きペンで破線の上に直線を引いてしまっても良いかも知れません。

 次回はある程度目が定まってからの刺し方について書きます。模様刺しを始める人の参考になったら嬉しいです。

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