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電気代とガス代で呼吸が止まった日

 私の日常生活の金銭感覚はズボラである。家計簿もつけたことないし、食料品などの買い物も、なんとなくの感覚で済ませている。
 すごい赤字にならない理由はおそらく衣料品だと思う。子供はサイズが変わるのでそうはいかないが、私と夫に関しては「楽に着られれば良い」が第一選択肢なので、下着と夫のワイシャツ、スーツ、私の仕事着以外はめったに買わない。
 私の仕事場は自転車で5分で、通勤は大体ジャージだ。スポーツブランドのジャージは生地が良いので洗濯しても、そうへたらない。
 ナイキのジャージは多分15年くらい前に買った気がする。さすがに「Nike」の文字がひび割れていて、ファスナーの取手も取れかかっているので、そんな私を見て、私の母は「着たきり雀」と言って揶揄するのだが、私はなんとも思わず平気の平左だ。

 金銭感覚にズボラな我が家は年末に旅行に行き、まずまずの散財をして、正月にはお年玉、1月のセールで家族全員で靴を買い替え、子供の学用品や「ちょっと外食しようか。」なんてチョボチョボお金を使っていたら、1月15日に手元にある予算の現金を使い果たした。いやはや、無計画のズボラである。

 ここで私から「緊急金欠節約宣言」が家族に発令された。実際現金が無くなってから発令するところがズボラさの所以である。決して私は経理部に所属はできない。実際会社員時代は、人事→総務→開発調査課をたどったので、雇用していた会社は人を見る目が実にある。

 「緊急金欠節約宣言」としての内容は
「我が家は今月予算以上の金額を使用したために、金欠になりました。給料日になるまで爪に火をともす生活を覚悟してください。不必要な出費は貯金を崩すことになりますので、なるべくお控えください。ちなみにお年玉からの献金は24時間365日受け付けております。」と財務大臣にも負けない丁寧さで家族に説明したが、お年玉の寄付はモチロン一切なかった。ないどころか、新しいマンガが何冊もリビングに放り出され、新しいゲームがSwitchにダウンロードされていてて、ちょっと笑えた。

 そんな金欠ダメージを負っている私を攻撃するように、1月の電気代とガス代が送られてきた。金額を見て息を飲んだ。金額は「4万3千円」を超えていた。
 請求書をテーブルの上に置き、洗濯物を取り込み、もう一度請求書を見る。「4万3千円」で変わりはない。お米を研いで、炊飯器にセットしてからもう一度請求書を見る。やっぱり「4万3千円」だ。どうやらマギー審司のせいではないらしい。
 例年、冬はガスファンヒーターをよく使うし、お風呂の追い焚き機能もよく使うので3万円近くかかっていた。去年は子供部屋を増設し、子供部屋用のガスファンヒーターも買ったので、もともと「ガス代増えるよな」と覚悟はしていたものの、1万円以上跳ね上がるとは!!

 再度緊急家族会議を私は開いた。会議のお題は「この光熱費が3ヶ月続いたら焼肉2回分行けなくなります」だ。
 「いいかい?この光熱費が続いたら外食はできなくなるよ。子供は勉強するときはみんながいるリビングを使って、暖房を共有すること。特に子供部屋でのガスファンヒーターは、ベッドに入っている時は使用しないこと!!」ときつく発令したのだ。
 子供たちは不満げだ。それでも財務大臣の私の方針には従ってもらう。

 夜になって子供部屋に行ってみると、ガスファンヒーターは使われていなかった。しかし、『上に政策あれば、下に対策あり』とはよく言ったものだ。長女がアイリスオーヤマのツインノズルの布団乾燥機と共にベッドに入り、iPadで勉強していた。

アイリスオーヤマのツインノズルの布団乾燥機、使いやすいよ!

 しかも布団乾燥機は「ダニ死滅コース」が選ばれている。いやいや、ダニと共にあんたも死んじゃうよ。少なくとも「温風15分コース」に切り替えてくれ。

 子供は子供なりに考えて、どうすれば良いのか模索している。いっそ岸田内閣に「うちの子はガスファンヒーターが使えないから布団乾燥機の『ダニ死滅コース』で暖を取っています!」と訴えるべきか。

 そんなこんなで光熱費に関して、世界情勢に関して、日本の資源の少なさと将来の生活様式の改善に関して、よく考えた日だった。少なくとも戦争が、早く終わると良いよね。戦場にいる人たちはもっと寒いはずだから。


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