求人・採用の実務と労働基準法

求人・採用の実務と労働基準法の3つ

①求人・採用の実務と留意事項
②労働契約締結時の留意事項
③就業規則

①求人・採用の実務と留意事項
1)職業紹介の多様化
①公共職業安定所の利用(中途採用) 求人申込
労働基準法を満たした内容での、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間、その他の労働条件を明示することが必要。
・ハローワークを利用するメリットは無料であり、助成金の給付などがある。
②文書募集
③直接(委託)募集・・・webや人材紹介事業
④派遣会社からの派遣・・・技術やITや専門職の派遣

2)新規学校卒業者を対象とする求人活動
①家庭訪問の禁止
②学校訪問に関する規制

②労働契約締結時の留意事項
労働契約とは(労働契約の成立)
労働者が、使用者の指揮命令のもとに労務を提供し、その対価として使用者が労働者に賃金を支払う契約。『合意』は書面でなくても有効

1)労働契約の期間2種類
①「期間の定めない契約」 無期雇用契約
②「期間の定めのある契約」 契約期間は最長3年(長期契約の禁止)
<例外>
・専門的な知識、技術又は経験であって高度なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される契約。
(公認会計士、医師、弁護士、1級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士)
・満60歳以上の労働者との労働契約

2)有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
①契約締結時の明示事項
・更新の有無
・契約更新またはしない場合の判断の基準
②雇止めの予告
契約締結時にその契約を更新する旨を明示していた有期労働契約(労働者を1年越えて継続雇用している場合に限る)を更新しない場合は、少なくとも契約満了の30日前までにその予告をしなければならない。
③雇止めの理由の明示
使用者は雇止め後または雇止め予告後労働者から雇止めの理由について証明書を請求された場合は遅滞なくこれを交付すること。
④契約期間についての配慮努力(できるだけ長く雇用するように)

3)労働契約の有効要件
労働基準法で定める基準、または就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その基準に達しない部分のみ無効。
無効となった部分は、労働基準法や就業規則で定める基準による。

4)労働条件明示義務の3つの範囲
①絶対に明示しなければならない労働条件の範囲
②定めがなければ必ずしも明示しなくても良い労働条件の範囲
③必ず書面で明示しなければならない労働条件の範囲

5)改正労働契約法
①雇止め法理の法定化
有期労働契約に対し、使用者が雇止めをすることが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない時」は、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で労働契約が更新される。
②無期労働契約への転換
有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合。(労働者からの申し込みによる)
③不合理な労働条件の禁止
有期労働契約者と無期労働契約労働者間で、不合理に労働条件の処遇に相違を設けることは禁止。

6)有期雇用特別措置法
専門的知識を有する有期雇用労働者等に対して、事業主が適切な雇用管理の措置に関する計画について、厚生労働大臣の認定を受けることで、一定期間(約10年間)、無期転換申込権が発生しないとする特例が設けられた。
*特例の対象となる有期雇用労働者
①高度な専門的知識等を有し、年収が1075万円以上の有期雇用労働者
②定年後引き続き雇用される有期雇用労働者

7)その他禁止事項
・国籍等による差別扱い
・性による賃金差別
・違約金と賠償予定

8)労働者雇入れ時の作成備付帳簿、報告書等
①戸籍証明書
②労働者名簿
③賃金台帳
上記②③など、の重要書類については3年間の保存義務

③就業規則
1)就業規則とは
労働条件の明確化、職場秩序の維持により労務管理を目的とするための手段である。

2)作成が義務づけられている事業場
「常時10人以上の労働者を使用する事業場」

3)作成上の注意事項
①対象労働者
その事業場における全ての労働者が対象(正社員用・有期雇用社員用等)
②記載事項
【絶対的必要記載事項】
・第1号・・・「始業および終業の時刻」「休憩時間」「休日」「休暇」「就業時転換に関する事項」
・第2号・・・「賃金の決定、計算および支払いの方法」「賃金の支払い及び支払いの時期」「昇給に関する事項」
・第3号・・・「退職に関する事項」
       (解雇については、具体的な解雇事由の明記が必要)
【相対的必要記載事項】(定めがなければ記載の必要ない)
・第3号の2〜第10号 退職手当・賞与等
【任意記載事項】
経営理念、服役規律、営業機密や個人情報の取扱、IT機器の取扱規定等

4)制裁規定の制限(「種類および程度」を就業規則に記載しなければならない)
「減給の制度」
・1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
・総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

5)作成の手続き
就業規則の作成に際しては
「労働者の過半数で組織する労働組合」または「労働者の過半数を代表するもの」の意見を聞かなければならない。

6)就業規則の周知
見やすい場所への掲示、備付、書面での交付等の手段による周知義務

7)就業規則による労働契約の内容の変更
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
*変更後の労働者への周知

8)就業規則と法令、労働協約、労働契約との関係
法令(憲法、民法、労働基準法)→労働協約→就業規則→労働契約の順


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