労働保険の諸手続

労働保険の諸手続きについて5つ
①継続事業
②有期事業
③メリット制
④労働保険事務組合
⑤労災保険の特別加入制度

①継続事業
継続事業とは?
一般の継続的な事業、建設工事のようなあらかじめその事業の期間が予定されている「有機事業」ではない事業のこと

1)適用事業所であるとき
適用事業所については、その事業が開始された日に保険関係が自動的に成立。
届出が必要で、保険関係が成立した10日以内に保険関係成立届けを提出し、その成立した翌月から起算して50日以内に概算保険料申告書により保険料の申告・納付がいる。

2)労働保険料概算保険料申告書
①「全ての労働者」の範囲
労災保険については、その事業に使用される労働者は常雇、臨時雇、日雇いなどの雇用形態に関係なく全て含めなければならない。
雇用保険については、被保険者である労働者の全てをいう。
②「賃金総額」の範囲
賃金総額とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず事業主が労働の対象として、労働者に保険年度中に支払う全ての賃金の合計額の総額(定期代も含む)。

3)労働保険増加概算保険料申告書(賃金総額の見込額が増加した場合)
保険年度の当初または、事業開始の当初に予定した賃金総額の見込額が2倍を超えて、増加かつ増加後の概算保険料の額と申告・納付済みの概算保険料の額との差が13万円以上となるときその増加が見込まれた日から30日以内に申告・納付がいる

4)労働保険概算・確定保険料申告書(年度更新の手続)
労働保険料の「概算額の納付と確定精算」は、継続事業においては、毎年6月1日から7月10日まで行わなければならない。
これを「年度更新の手続き」という

5)継続事業の一括扱い
労働保険の保険関係は、適用単位となる個々の事業ごとの成立となるが、支店や営業所等の複数の保険関係の全部または一部を一括して1つの保険関係として処理することを「継続事業の一括」の制度という。

6)継続事業の一括要件
①事業主が同一人であること
②それぞれの事業が、継続事業であること
③それぞれの事業が、一定の保険関係が成立している事業であること
④それぞれの事業が、労災保険料率による事業の種類を同じくすること

②有期事業
有期事業とは?
その事業の性質上、あらかじめ一定の期間が予定され、その予定期間内に事業目的を達成して終了する事業。
1)建設事業、林業の手順
①保険関係成立届および概算保険料の申告・納付(二元適用事業)
②延納
③建設事業の一般保険料
④賃金総額を正確に把握できる場合
一般保険料=賃金総額×労災保険率
⑤ 賃金総額を正確に把握できない場合
一般保険料=請負金額×労務比率×労災保険率
⑥元請負人と下請負人との関係
⑦下請負人事業の分離
⑧その他の諸手続

2)一括有期事業
【一括の要件】
①事業主が同一人であること
②それぞれの事業が適用事業であって、建設事業または立木の伐採のいずれか一方のみであること
③それぞれの事業が一定の保険関係が成立している事業であること
④それぞれの事業の規模が、概算保険料額が160万円未満であって、かつ、建設の事業においては、請負金額が1億8000万円未満であること
⑤それぞれの事業の種類が、建設事業においては、労災保険料率による事業の種類が同一であること。

③メリット制
1)メリット性
労災保険の割合となる労災保険率は事業の種類ごとに定められており、その業種、事業の種類により災害リスクが異なります。
そのため事業主の保険料負担の公平性を保つことそして各々が災害防止に努力していくことを促す目的で、一定の範囲内で労働保険率あるいは労働保険額を増減させる制度。

2)継続事業メリット制
適用事業
連続する3保険年度中の各保険年度において、一定の事業であって、その連続する3保険年度中の最後の年度に属する3月31日において、その3保険年度の「収支率」によって労災保険料率の引き上げ、引き下げを行う。

④労働保険事務組合
1)労働保険事務組合とは
事業主に委託を受けて、事業主が行うべき労災保険及び雇用保険の事務処理代行について、厚生労働大臣の認可を受けた中小企業の団体のこと。

2)委託できる事業主の範囲
①工場など一般の事業は、常時300人以下の労働者を使用する事業主
②金融業・保険業・不動産業または小売業では、常時50人以下の労働者を使用する事業主
③卸売業またはサービス業の場合は、常時100人以下の労働者を使用する事。

⑤労災保険の特別加入制度
1)特別加入制度の趣旨
特別加入制度とは、事業主、自営業者及びこれらの家族従事者について業務の実態、災害の発生状況などから見て、一般の労働者に準じて労災保険により業務災害及び通勤災害について保護するにふさわしい人々、また、海外の事業所に派遣された労働者について、労災保険本来の建前を損なわない範囲内で、特に労災保険への加入を認めることとしたもの。

2)特別加入できる者の範囲
①中小企業主とその家族従事者または法人の代表者とその他の役員(第1種特別加入者)
②一人親方その他自営業者及びそれらの家族従事者(第2種特別加入者)
③特定作業従事者(第2種特別加入者)
④海外派遣者等(第3種特別加入者)


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