見出し画像

ごぜ滝の由来(その1 全2回)

今日はね、地名の由来さ。埼玉県の秩父市にあるごぜ滝の事だよ。
ポンと昔。どのくらい昔のことかな。埼玉県秩父のおおたきのまめやきさわにごぜさんたちがやってきたんだ。琵琶という三味線ににた楽器を持った眼の見えない女の人たちの4,5人のグループだったよ。背中には大きな風呂敷を背負っていて、手には竹や木で作った長い棒を杖にしていたんだ。
ごぜさんたちは村にくるとお泊りできる広い家はないかと聞いてね、その家に訪ねて行って泊まらせてもらったんだ。そこがごぜ宿となっていったんだ。
「あそこんちがごぜ宿になったっちゅうで」
村のもんたちはそのごぜ宿に集ってきては大騒ぎさ。そうさ、パーティ会場になったって分けだよ。
「べんべん、諸行無常の鐘の声、、、」
ごぜさんたちは昔から歌い継がれている平家物語なんかをこうして琵琶で伴奏しながら語ったりしてたんだ。
村人たちは、ごぜさんが爪弾つまびく琵琶の音を聞いたり、歌を歌ってもらったり、遠くの村の話なんかも聞かせてもらったりしていたんだ。
ごぜさんたちは眼が見えなかったけれどじょうずに琵琶をひいたり歌を歌ったりすることができたんだよ。そして、食べ物やら少しのお金なんかをもらっていったんだ。
ごぜさんたちは何日か泊まるとまた隣の村へと旅を続けていったんだよ。
「村のしゅう、お世話になりました。これからしなのの方へ行ってみますよ」
ごぜさんたちはまた大きな風呂敷を背負って琵琶をかかえてね、ぽっつらぽっつらと足探り足探りしながら、しなのの方へと歩いて行ったんだ。
「よ、ごぜさん、ゆんべの歌はよかったで、ちょっくらかりさか峠ぐれえなら送ってってやんべ」
村の男の人がきてくれてね、ごぜさんたちの手をひいてくれたり、こっちだよと声をかけたりしてくれたんだ。ごぜさんたちは眼の見えるもんがついてくれたんで大喜びさ。道を探り探り歩かなくても楽々に歩けたからさ。
 
今日はここまで、読んでくれてありがとう!続きは明日のお楽しみ!お休み、ポン!
 
#視覚障碍者 #盲人 #弾き語り #琵琶

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?