鯖(さば)断ち三年 その1(全2回)


今日はね、願い事を叶えてもらう方法のお話しさ。
願い事を叶えてもらうためにお祈りして頑張ることを、願(がん)をかけるというんだ。
四国には八十八ケ所のお寺があって、それを全部訪ねて行くと願い事が叶うというんだ。
四国とは四つの国とはいえ、そりゃあ広いところだよ。お願いごとが叶いますようにと祈りながらね、白い服を着て杖をつきながら四国の中を1200キロから1400キロも歩いて一つづつのお寺を尋ね廻って行くんだって。青森県から山口県までがだいたい1500キロというんだから、ものすごい距離だね。何日もかけて歩いて願いを叶えてもらうのだから、よっぽどの気持ちがなくちゃできないさ。それがお遍路さん(おへんろさん)と呼ばれている人たちのことさ。

ポンと昔。四国は八十八札所の番外札所に、鯖大師堂(さばたいしどう)というところがあるんだよ。そこは「鯖断ち三年祈願」と言って、鯖を三年間食べるのを我慢すれば、願い事が一つだけ叶うっていう願掛けで有名な所なのさ。

昔々のこと。鯖を売ってあるいている行商人が徳島県の八坂八浜(やさかやはま)あたりの鯖瀬(さばせ)の海岸道に差し掛かった時のことだよ。お遍路姿のお坊さんが来たのさ。
「その鯖をいくらか分けてもらえぬか?」
「いやぁ、これは売り物じゃ。分けるわけにはいかないんじゃ。」
お坊さんはお金を持ち合わせてはいないからね。鯖売りはそう答えたんだ。すると、そのお坊さん、何やらぶつぶつと念仏を唱え(となえ)始めたんだって。

今日はここまで。
読んでくれて、ありがとう。
お坊さんの念仏。どんな意味があるんだろうかな。
お休み、ポン!

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