下の句は、「切りたくもあり切りたくもなし」 その1(全2回)


今日はね、福岡県の早良郡(さわらぐん)に伝わる、和歌を詠む面白いお話しだよ。
ポンと昔。福岡県のあるお寺に和尚(おしょう)さんと三人の小僧さんがありました。

ある日のこと、和尚さんは立派な大きな梨をお土産にして法事のお勤めからお寺に戻ってきました。和尚さんは考えていたことを、出迎えてくれた三人の小僧さんに言いました。
「ほれ、見事な梨じゃろ。法事に行った先のお宅からいただいたものじゃ。ほー、良い香りじゃて。さてと、梨はこれ一つじゃ、お前たちは三人。この梨を三つに切ってお前たちに分けてやりたいところじゃが、切ってしまうには惜しいほどの立派な梨じゃて。そこでじゃ、「切りたくもあり切りたくもなし」と歌の下の句の七七を詠んだでな、上の句の五七五をうまく詠んだ者にこれをやるとしよう。どうじゃ」

三人の小僧さんたちは、美味しそうな梨を目の前にして、それではと、うーむうーむと頭を抱えて考え込みました。すると、一番目の小僧さんが言いました。
「和尚さま、出来ました」
「どれ」
「鶯(うぐいす)が 踏み散らしたる 梅の枝 切りたくもあり 切りたくもなし」
「ほう、きれいに詠んだのぉ。梅の枝が見えてくるようじゃ。なかなか上手いのぉ」
赤や白の梅の花を咲かせた梅の枝に春を呼ぶ鶯がとまって、いくつかの梅の花を壊してしまったんでしょう。それが何とも美しく見えて、枝を切って持って帰りたいような、このままにしておきたいような。

次に、二番目の小僧さんが言いました。

今日はここまで。
読んでくれて、ありがとう。
また明日ね、ポン!

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