姫路城の七不思議より お菊の井戸 その3(全3回)


お菊さんはな、お皿の入っている箱にすら触れたこともなかったのにと青ざめておった。お殿さまにこのことが知れてしまえば、お手打ちとなってしまうんじゃ。お手打ちとはな、殺されてしまうことじゃよ。お菊さんは一生懸命に身に覚えのないことでありますと答えていったんじゃ。するとな、
「そうか、ならばワシの妻となるならば、ワシがその皿を見つけ出してみよう。」
などと言うじゃないか。お菊さんはすぐに分かったんじゃ。このお皿を隠したのはこの鉄山(てつざん)だとな。なんと酷いことをするとお菊さんは思ったんじゃろうなぁ。
「結構でございます。私が見つけてまいります」
とお菊さんはキッパリと言ってしまったんじゃよ。この鉄山のお嫁さんになるのは嫌じゃったんじゃな。この返事を聞いてな、青山鉄山(あおやまてつざん)はカチッと頭にきてしまったんじゃ。お菊さんのことが憎らしくなってしまってな、
「えい、何を小癪な(こしゃくな)無礼者!!」
というが早いか、お菊さんに飛びかかると、持っていた刀でお菊さんの白い首を一気に切り落としてしまったんじゃ。そうしてなぁ、お菊さんの体をな、天守閣の南側にある井戸に投げ込んでしまったんじゃよ。惨い(むごい)ことよの。

そうじゃ、このことがあってからじゃよ。夜になるとな、この井戸の中から女の人の細い声がするんじゃと。「1枚、2枚、3枚、、、、9枚」「1枚、2枚、3枚、、、、9枚」とな、9枚まで数えると、また1枚から数えだすんじゃと。いつまでもいつまでも数えているんじゃそうじゃ。今でもこのお菊の井戸は、ぽっかりと暗い暗い穴を開けているそうじゃ。今でもなぁ、この時期になると、このお菊さんの声が井戸の底深くから聞こえてくるそうじゃよ。

頑張って読んでくれて、ありがとう。
早く寝ちゃおう。お休み、ポン!

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