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13脚&足:光を浴びたり、棒になったり


脚と足

 脚とはヒトの腿(たい)、膝(ひざ)、脛(すね)、足首までの部分を指す。足首の先にあるのが足である。腿と言う字自身は太腿(だいたい・ふともも)や脹脛(ふくらはぎ)を指す。上腿(じょうたい)と書いて下肢の膝から上の太腿を、下腿(かたい)と書いて下肢の膝から先の脹脛を指す。

腹鰭

 生物学的には「ヒトの脚は哺乳類の後肢にあたる」とも、反対に「哺乳類の後肢はヒトの脚にあたる」とも表現可能できる。この脚は魚の腹鰭(はらびれ)に由来している。現在の普通の魚類(条鰭亜綱)において、腹鰭は胸鰭に近い位置にある。ただし、 肺魚類などのいわゆる古代魚では腹鰭は肛門近く、体のかなり後方にある。これは後肢の位置に近く、四肢動物の後肢に相当する。

 脚は身体全体の重さを直接的に引き受ける部位である。したがって、全身中最も太い骨(大腿骨や脛骨など)と、瞬発力と持久力を兼ね備えた筋肉を備える。脚の筋肉は骨格筋によって構成され、大きく大腿筋、下腿筋、足筋に分けられ、それらと骨を繋ぐ腱とで脚の動きを調節することができる。

 脚、特にふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれる。体液停滞浮腫は立位時に地球の重力に従って下方向へ体液が流動することにより引き起こされる。これを脚の血管周辺の筋肉の運動によって上部へ押し返し再び循環系に戻している。押し返す行ないは脚を使った運動、歩行や走行などにより促進される。そのため、運動は全身の血の巡りを良くする効果が望める。

 脚には手と同様に利きがあり、反対側よりも筋力、長さ等が発達していることが多い。左右の不均等が全身の歪みを引き起こすとも言われている。また、下半身骨格の歪みが利き足同様の症状を引き起こすことがある。その場合は脚のみの利きよりも症状がハッキリと出るので注意が必要である。

脚線美

 脚は日常の動作だけでなく、舞踊やスポーツのパフォーマンスを左右する。格闘技において攻守ともに重要である。蹴り技や足払いといった、脚を使うあるいは狙う攻撃方法がある。一方、脚の長さや姿勢、肌の状態は、人間の容姿において重要な要素である。主に女性について脚線美という表現が使われる。


ラエトリ猿人の足跡

 直立二足歩行とは、脚と脊椎を垂直に立てて行う二足歩行のことを指す。現存する生物のうち、直立二足歩行が可能な生物は、ヒトだけである。人類とその祖先である人類以外の類人猿は生物学的には直立二足歩行ができるか否かによって区別することができる。例として、400万年前のアウストラロピテクスを上げることができる。脳容量がチンパンジーと大差ないため、知能的にはチンパンジーと大同小異だったと推定されている。ただし、骨格化石や足跡化石から直立二足歩行が行われていたことが明らかなことから、人類の一員に分類されている。ラエトリの猿人足跡化石は彼らが直立二足歩行をしていたことを示している。

 頭部が直立した胴体の直上に位置することにより、その体躯に比べて巨大な頭部を支えることが可能になった。ヒトの体重に対する頭部の重量は全動物中でも最も大きい。必要があれば、その頭部のさらに上に重量物を載せて運ぶことも可能なほどの余裕がある。結果として、ヒトは体重に比して巨大な脳容積を獲得し、全動物中最も高い知能を得た。

 ヒトの足は形態学的に踝(くるぶし、足首の左右のふくらみ)あたりから末梢端接地部までを指す。ヒトに限らず、末端を「爪先(つまさき)」、上面を「足の甲(こう)」、下面を「足の裏」、または「蹠(あしうら)」・「足底(ソクテイ)」・「趺(あなひら)」、下面の後端を「踵(かかと)」・「きびす」と呼ぶ。足の指を手の指と区別して「趾(あしゆび)」と呼ぶこともある。ヒトの足には土踏まずが形成されるが、サルの足には形成されない。

 最後に脚や足に関する慣用句と熟語を挙げておく。熟語は多すぎるため、カットした部分がある。
*慣用句
馬脚を現す   脚光を浴びる  足が付く   足下から鳥が立つ
足が早い    足が棒になる  足が向く   足元に火が付く
足に任せる   足場を固める  足を延ばす  足元から鳥が立つ
足を洗う    足を入れる   足元を見る  足元の明るいうち
足を掬う    足を取られる  足蹴にする  足元につけ込む
足を引っ張る  足を踏み入れる 足を棒にする 足を向けて寝られない
手足を伸ばす  揚げ足を取る  二の足を踏む 後足で砂をかける
足が奪われる  足が乱れる   足をすくう  足下へも寄りつけない
足を出す    足を使う    足を抜く   足下の明るいうち
足を伸ばす   足を向ける   足が重い   足下に付け込む
足が出る    足が遠のく   足を展ばす  足下に火がつく
足下を見る   空足を踏む   烏の足跡   足下にも及ばない
浮き足立つ   足を空に    驥足(きそく)を展ばす
*熟語
脚付き     脚付      脚下     脚湯
後脚      雨脚      行脚     韻脚
後ろ脚     襟脚      風脚     脚気
脚韻      脚下      脚光     脚色
脚線美     脚注      脚部     脚本
脚力      脚立      脚福     脚絆
急脚逓     急脚逓     橋脚     雲脚
健脚      三脚      失脚     隻脚
隻脚      双脚      球脚     猫脚
馬脚      ばた脚     日脚     火脚
飛脚      船脚      前脚     四つ脚
立脚      両脚      櫓脚     櫓脚
足跡      足入れ     足音     足掛け
足植      足掛かり    足懸かり   足掛り
足懸り     足形      足型     足固め
足搦み     足搦      足がらみ   足軽
足切り     足癖      足首     足頚
足蹴      足芸      足腰     足拵え
足繁く     足摺り     足駄     足代
足溜まり    足溜り     足序で    足ついで
足序      足付き     足付     足つき
*食品なんでも相談所 横山技術士事務所
*3頁目 発酵食品もの知り講座
*4頁目 大豆総合研究所
*中国ひとり歩記録 目次 中国ひとり歩記
*吉祥寺サバイバル 目次 吉祥寺サバイバル
*働くヒト器官 目次 働くヒト器官


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