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おすすめ蔵見学 達磨正宗〜白木恒助商店さん〜


岐阜駅に降り立つと改札前には白木滋里さんが迎えに来てくれていました。
ずっと行きたくてだいぶ前からお約束していたんです。

これは金の織田信長。

通常ですと路線バスを使って蔵見学に行くことができます。

岐阜城の下を通り、美しい街並みの川原町を通り、長良川を眺めながら車で20~30分ほど。
田んぼが広がる綺麗な景色の中に「白木恒助商店」が出てきました。

美しい街並みの川原町。

「変わり者」と呼ばれた時代

達磨正宗(白木恒助商店)の創業は天保6年(江戸時代)。坂本竜馬が生まれた年に創業し、当時から岐阜のこの地で酒造業を営んでいます。
達磨正宗といえば古酒、というイメージが定着しましたが、古酒造りに取り組み始めたのは昭和40年代でした。

江戸時代には日本酒の中でも上等とされていたのは古酒の方であり、新酒よりも古酒が非常に好まれていたようです。
しかし明治時代に政府は、酒税を安定的かつ確実に徴収するために 酒が出来上がった時点で課税する「造石税」に切り替えます。
そうなると、酒蔵は酒が出来上がったらなるべく早く出荷・販売しないと 税金だけ払って収入がないことになります。この制度により 古酒が姿を消してしまったのです。

そして酒蔵さんたちの中でも、何年も寝かせなければ出来ない古酒は効率が悪く、リスクもあるので古酒造りを再度始める酒蔵はほとんどありませんでした。

当時、晩酌は地酒が一般的。
ワインやビールを飲む家庭などほとんどなく、地元の酒蔵から皆お酒を買っていましたが、

やがて一般家庭にテレビが普及しだした頃、 大手酒造りメーカーのTVCMが流れます。
そして地元の酒屋に大手メーカーの酒が並ぶようになると、 今まで売れていた地酒がしだいに売れなくなってきたのです。

「このままでは、うちのような小さな酒蔵はやっていけなくなる。 」
そう考えた六代目は蔵の独自化について考え始めます。
そして、たまたま蔵の片隅に忘れられていた一升ビンを見つけました。
4、5年は経っているだろうかー 恐る恐る封を切ってみると…
黄金色の美しい色合い。 口に含むと、いつもの日本酒とはひと味もふた味も違ったものでした。



色だけでなく味わいも深く




「古酒で勝負しよう」 
6代目はそう心に決め

その次の日から、試行錯誤が始まりました。

手探りの中で試行錯誤を重ね、熟成してから美味しくなる設計でお酒を造っていく。

造っても売らずにせっせと寝かせる白木さんを見て、まわりの人たちは「変わり者」と笑います。

そこから50年超。
「古酒」に社運を全て賭け、懸命の企業努力を続けてきました。
お陰様でその取り組みは成功。
現在では古酒が主力商品となり、日本を始め海外の方にも飲んでいただけるように。
このところ毎日のようにイタリアやフランスなどからも蔵見学の申し込みが来るそうですよ。

世界からも注目「日本の古酒」

昭和40年代から毎年の古酒が揃う酒蔵はなかなかありません。

先述したように、江戸時代までは新酒よりも古酒の方が高級とされ、「新酒を古酒に似せる方法」なる本まで書かれていたほどです。熟成させることで香りが複雑に増し、カラメルやナッツ・コーヒー・ドライフルーツ・ウッドなど様々な要素が出てきます。色合いは美しいトパーズやガーネット、アンバー。

10年の時が作り上げた美しいコハク色


フランス料理でもフォアグラののったロッシーニやチーズ、中華料理にはもちろんよく合いますし、日本料理でもお醤油で炊いた魚や肉、甘露煮などに最高のペアリングができるのが 日本酒の熟成古酒なのです。
達磨正宗の素晴らしさを 世界的ソムリエ田崎氏や海外のトップソムリエたちはいち早く気付いておられました。
ようやく時代が追いついてきましたね!


ちなみに「達磨正宗」という銘柄の名前は
1891年(明治24年)に美濃と尾張を襲った大地震「濃尾地震」により蔵が倒壊してしまったものの、復活。倒れても起き上がる「達磨」に重ね、「達磨正宗」と名付けたのだそうです。 

レトロ感がかわいい、なんとも良い表情のダルマさん。




現在は六代目から跡を継いだ娘さんの滋里さんが主に広報や営業を担当し、ご主人の寿(ひさし)さんが7代目杜氏として製造を担っていらっしゃいます。
明るくて優しくて楽しいこと大好きな滋里さんと、真面目で几帳面でキレイ好きな寿さん、そして蔵を手伝う次男くん、人が大好きな看板犬、ラブラドールのケンちゃんが お出迎えしてくれる温かい酒蔵さんです。

滋里さんと寿さん
ケンちゃんかわいい

要予約!おすすめの蔵見学コース

一般の方にこそたくさん蔵に来ていただきたい!!という滋里さん。
現在は蔵見学に有料試飲のついたコースをご用意しています。(要予約)
① 酒蔵見学と熟成3年達磨正宗の試飲 2~30分コース 1,100円
② 酒蔵見学と3年・10年・20年古酒がきき酒できる45分コース 3,300円
③ 酒蔵見学と3年・10年・20年に新酒・オリ酒・おつまみ少々の90分コース  5,500円
④ ③に加えなんと超希少な50年以上の熟成古酒のきき酒もついて、たっぷりお話もお聞きできちゃう120分のエグゼクティブコース 11,000円


という4コース。


こんな貴重な古酒もあります。50年以上も前の!
20年古酒をいただけるだけでもすごい

お土産も買えますし、帰りは長良川に立ち寄って納涼船で鵜飼いを楽しむなんてのもいいですね。(5月11日~10月15日に開催しています)

お弁当を買って納涼船に乗り込んで鵜飼鑑賞が最高


岐阜駅前は美味しい飲食店さんがたくさんありますし、是非 達磨正宗の蔵見学と岐阜観光に行ってみてください〜!





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