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劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト感想【舞台少女の未来と恐怖】

劇場版を観てありとあらゆる感情が破壊されたので自分なりの解釈とか考察を軽くまとめておきます。がっつりネタバレを含みますのでご注意を。

少女たちの「怖い」という感情

劇中では複数の登場人物がこのような感情を抱いていました。


愛城華恋
幼い頃、ロンドンへ行くひかりに対して次に会うときはスタァになったとき。返事はいらないから手紙を出すという約束を決めた華恋。それから7年間、その約束を守りながら舞台少女としての道を進んでいた華恋は神楽ひかりという少女について『見ない、聞かない』といった自分ルールを課します。12歳の頃に「調べない?」と言われた時も拒否していましたが、その際に

怖いの?

と言われて微かに動揺しています。
もしも、ひかりが約束を忘れていたら、舞台少女以外の道を進んでいたら、と思うとその恐怖も当然です。華恋は『見ない、聞かない、調べない』といった神楽ひかりに関する情報を全てシャットアウトすることで、ひかりが約束を忘れているかもしれないと言った恐怖から逃れていました。


神楽ひかり
5歳の頃、華恋と一緒にスタァライトの舞台を見た際に眩しくて手の届かない、怖いといった感情を発しています。
そして、もう一つ。まひるとの競演のレヴューでロンドンに行った理由を明かしています。

怖かったの、華恋のファンになってしまう自分が

その後、まひるの演技についても本当に怖かったと感想を述べていますね。最も、これに関しては演技なわけですが。


露崎まひる
こちらも競演のレヴューから。ひかりの本心を聞いて、

怖かったんだ、私と一緒だね

と諭すようにひかりに語り掛けています。競演とは狂演のことでもあり、ちゃんと演技できるか不安だった。眩しい舞台を目指すことが怖かったとも。
まひるとひかりは性格は違うようでも本質は似ている部分が多いと思っています。アニメでは華恋に依存してひかりに嫉妬心を抱いていたまひるですが、今作ではひかりが華恋に会うための覚悟を応援する役割を果たしています。
ゴールテープを切るひかりがまひるの演技を『舞台女優』と称しているのが印象的でした。舞台少女ではなく舞台女優。一段と成長したまひるが見れて嬉しかったです。夢咲く舞台に輝くまひるを応援しています。


眞井霧子(B組の演出の子)
雨宮詩音さん(B組の脚本の子)とよく一緒にいる子。第101回聖翔祭で【スタァライト】の脚本が最後まで完成していなかった時に拡声器で叫びました。

ああぁーー!こわいなぁあああああ!

これは眞井さんと雨宮さんの本心でもあり、ここにいるみんなが少なからず思っていたことです。1回目のスタァライト、そして2回目の結末を変えたスタァライト、では3回目は? 卒業公演ということもあり、周りの期待も高いはずです。そんな中で全員の恐怖心を確認することで、みんなで作るスタァライトを実現させています。


頻出されたこの「怖い」というフレーズ。同様に何度も出てきたセリフが他にもあります。


列車は必ず次の駅へ──では舞台は? あなたたちは?

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皆殺しのレヴューにて大場ななが問い質した言葉。
かつて幾度もの再演を望んだななだからこその疑問です。このセリフに反応できたのは天堂真矢だけでした。

観客が求めるなら、私たちはもう舞台の上

進路を決めつつある99期生が新国立第一歌劇団への見学をまるで遠足のように浮かれていたことに対して、なながその覚悟を確認するためのレヴューでした。
舞台少女として死んでいる全員を一度皆殺しにして再生産させる。その後、なな自身も含んだ華恋以外のメンバーが新たなレヴューを行うことで、自分たちの進む未来への答えを出しています。


これらは全て不安定な未来であることは間違いありません。それはロンドロンドロンドの主題歌でもある【再生讃美曲】の歌詞にも綴られています。
劇場版を観てから聞くと歌詞が染み渡りますね。

あまりに不確かな可能性を
追いかけてあの子は
何を燃やして生まれ変わる

あまりに遥か遠い星を
目指して裸足で
硝子の上を歩くかのよう


まだ何者でもない私たちが眩しい未来へと進んでいくには少なからず恐怖心を抱くと思います。


各々の少女たちが「怖い」と言っていたのは将来への不安と眩い希望が入り混じった結果なのでしょう。エンドロールでその結末が分かった時は思わず泣いてしました。

列車は必ず次の駅へ

舞台もまた次の舞台へ

舞台少女もまた次の舞台へ


この物語は劇場版でしっかりと終止符を打たれています。

列車は必ず終点へ

舞台もまた終演へ

ではあなたたちは?

終わった舞台の再演を永遠に望み続けることは、かつての大場ななと同じです。

ならば、私たちも過去に囚われずに進まなければなりません。たとえ恐怖に打ち勝ってでも。

なんて、既に3回鑑賞して、次はいつ観に行こうかなと楽しみにしている私が言える台詞ではありませんね。

そんな終わりのない眩しい世界から抜け出すためにも、他人の言葉ではなく自分の言葉でこの感想と解釈を書いて見た限りです。



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