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ガラージュをクリアした感想


先日「ガラージュ」のiPhone版を購入して、一応EDまでプレイしたので感想をとりとめもなく。

※ストーリーの核になる話や、謎解きの答えなどは出来るだけ避けますが、それでも一応ネタバレは含むので注意です。

ガラージュについて

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スチームパンクめいた世界観と奇怪な登場人物が織りなす混沌とした状況下で生体機械となった主人公を操作し、自身を改造しつつこの世界からの脱出や自身がなぜ機械化したのかの謎を解いていくアドベンチャー作品。「クーロンズゲート」「BAROQUE」と並び3大歪みゲーとまで称されるいびつな世界観は、少数ではあるが熱狂的なファンを生み出している。

東芝EMIから1999年に発売されたが、東芝EMIがゲームソフトの開発・販売から撤退したため販売本数は少なく中古市場は高騰、「幻のゲーム」として高値で取引されているという[1](市場には3500本しか出ていないそうだ[2])。

ニコニコ大百科『ガラージュ(ゲーム)』より抜粋

私はYouTubeのゲーム紹介動画等でこのゲームのことを知っていましたが、値段から流石に手が出ずに一生プレイする機会が無いかもなとまで思っていました。

やりたすぎるけど流石にお金ないよね。

が、2021年12月に完全版(iOS・Android)が発売されました。
しかもお値段610円で……安い……安すぎるて……

ここまで読んで、作場さんのツイートも見て、少しでもやりたいと思った方はもうこのnote読んでないで一刻も早くガラージュやってくれの気持ちでいっぱいです。

ゲームシステムへの感想

「奇ゲー」とか「歪みゲー」と評されているくらいなので、どんなものが来るのか……とかなり身構えていましたが、蓋を開けてみたらド王道の謎解きアドベンチャーって感じで良かったです。

主人公はガラージュの世界に放り出されて、その中を歩き回り、他の機械と話したり、水棲機械を釣ったり、ちょっとした謎を解いたりして話を進めていくゲームになっています。

難易度はそこまで難しくないのかなと思っています。
初見でほぼ攻略見ずに15時間くらいでした。多分迷子にならなければもっと早いのかな。マルチエンディングで1エンド目です。
モバイル版のガラージュはただの移植という立ち位置ではなく、完全版と銘打たれています。
これは作者の方が、より良いガラージュを追い求めた結果のシナリオ追加やサブクエスト追加だったようです。

システム的には「moon」が連想されました。
1997年にラブデリックが開発した「リミックスRPGアドベンチャーゲーム」ですが、こちらも基本的には世界を歩き回って謎を解いたり、住人のお願い事を聴いたりして進めていくゲームです。

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moonもガラージュも、ゲームの進度によって行動範囲が広がるのが面白いなと思いました。
最初は体力が足りずにあまり遠出出来ないのですが、近場でいろいろしている内に遠くまで行けます。

また、どちらもセーブ場所が決まっているところも良かったですね。
(ガラージュのモバイル版だとある程度オートセーブが効く感じもしますが、精度が分からないので私は割とちゃんとセーブしてました。)

どこでもセーブで行ったっきりではなく、セーブするためにいったん自室に帰って来る必要がある。そんなまどろっこしいような不便なような要素が上手く効いてる気がします。
目的の場所まで行ってやることをやって、「ハイ終わり~」ではなく、家に帰る途中で「あ、ここもついでに寄ってみるか」みたいな気持ちになるので話が広がっていくかなとか…

登場人物たちについて

ガラージュ世界には様々な機械が居て、それぞれがそれぞれの暮らしをしていますし、思想を持っています。

機械には雄と雌の概念があり、雄が基本的に外に出て蟹や蛙狩りをし、雌は家に居て雄に白瓦斯(白ガス)を与えます。雌は蟹や蛙を白瓦斯に変換することが出来るのです。

白瓦斯が車のガソリンみたいなもんで、これが無いと動き回れないわけですね。
このゲーム、結構性的な描写もあるのですが個人的には下品なものではなく、あるべくしてあるんだろうなと感じています。
白瓦斯は何となく母乳をイメージしますね。

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↑ちょっとドキッとする。雄機械は雌機械のお腹を攪拌する。
そして胸から出ている管から燃料(白瓦斯)を補給する。

直接的にそうは言われてないんですが、雄雌の機械で同棲している組も結構居て、割と夫婦のような関係性も見えます。
誰かのために頑張れるのは機械も私たち人間も同じなのかもなとか思います。

また、結構登場人物たちの見た目が人によっては不気味なものになってるんですが、進めていくうちに、話していくうちに愛着がわいてきて普通に好きになれます。このあたりも上手いなと思いました。

最初から美男美女キャラを用意するのもいいですが、現実世界でも全員が全員そうなわけないじゃないですか。
なんか最初は「変な奴だな~」と思ってた人も、一緒に喋ったり職場の休憩室で会ったりするうちにだんだん慣れてきて、もしかしたら好きになることもあるかもしれません。
なんか、そういうところ凄い人間っぽいというか、いいなと思いました。

作品のテーマについて

ここに関してはちょっと上手く話がまとまらないかもですが。
そしてここからちょっとネタバレ濃度増すので再度ですがご注意を…

ガラージュ世界には順応度というパラメータがあります。
ゲーム内UIには「EGO」とあるメーターです。

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順応度って言うのは
あんたがどれくらいあんたらしいかって事を表しているんだ。

と順応堂のギムノンが教えてくれます。
順応度が下がっていくと、自分らしさを失ってしまい、一定より下がると「オトヌケ」「ウデヌケ」になってしまいます。
それぞれ「口がきけなくなる」「腕が動かず物を持てなくなる」状態です。

結局、どのくらい自分らしさを保てるのか、という話なのかな。

ガラージュ世界内に出てくる機械たちは結構自分なりの哲学を持っていて、いろいろ私たちに語り掛けてくる。

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機械たちも工場で働いているものや、店を経営しているものもおり、ちょっと刺さること言って来る。

VTuberの黛さんと、作者の作場さんが対談している中で、黛さんはガラージュのことを

遊べる自問自答

と評していますが、これはなるほどなと思いました。
ガラージュの登場人物から投げかけられる言葉で、考えさせられる。
考えるのはいい事か悪い事かそれは分かりませんけど、ちょっとこう後に残る感じがいいなぁと思いました。

こういう難解そうなビジュアルや文章で、また歪みゲーと評される中で最終的なテーマは「エゴ(自我)との闘い」なのかなと感じました。

ガラージュ世界に登場する「カゲ」といった概念からもそうなのかなと思いますが。
やっぱり自分の気持ちの中にはいろいろな感情があるじゃないですか。

「仕事したくないな」とか「でも仕事したら楽しいところもあるしな」とか「売れたいな」とか「でも売れちゃったら面白くないよな」とか、「痩せたいな」とか「でも甘い物いっぱい食べたいしな」とか
そういう、いわゆるもう一人の自分とか、いろいろな人格が合わさって人一人って成り立っていると思っていまして。

そこに対して向き合っていくとか、受け入れていくとか、拒んでいくとか、いろいろあると思うですけど、そういう話だったな~良かったな~という感想です。

類似した話だと、「ペルソナ4」や「ブレイブストーリー」が浮かびました。
(どっちも好きな作品で、僕がゲーム作る時は結構影響受けています。)

ちょっとプレイ後間もないので、ぼやっとした解釈になっているんですが、今の素直な感想としてはこんな感じですね。

総評

正直めちゃめちゃ良かったです。最近のめり込めるゲームがあんまりなく、久しぶりにこんなにゲームやってよかったなと感じました。
周回要素とか、実績系はやれてないんですがかなり自分の中で大切なゲームになったなぁと思っています。

また数年たって忘れたころにプレイしてみると、見え方が変わるかもしれませんね。


最後にもう一回貼っときます、ぜひ手に取って遊んでみてください。
僕の好きなゲームです。


参考

【20万人記念】スペシャルゲストを呼んで、話してみたかったことを話す。【黛 灰 / にじさんじ】
https://www.youtube.com/watch?v=-7_bKaLRCLA

#1/2【GARAGE/ガラージュ】25万で買った幻の三大奇ゲーをやる。【黛 灰 / にじさんじ】
https://www.youtube.com/watch?v=06XEwatBj5M

黛さんのはモバイル版でなくPC版のプレイなので、変化した点に気付けたりして見てて楽しかった。ガラージュきっかけで初めて黛さん見ましたが、静かに丁寧に遊んでていいなと感じました。

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