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Kindle本「カフカの『変身』を読み解く」を出版しました

Kindle本を出版しました。「カフカの『変身』を読み解く」です。

『変身』を分析し、解釈を行ったものです。筆者のほかの「読み解く」シリーズとは違って、作品の翻訳は載せていません。

『変身』は20世紀文学を代表する作品です。でも、いまだ決定的な解釈はなく、さまざまな解釈が乱立しています。しかも、それらの解釈のほとんどは、グレゴールがなぜ変身したのかという点に集中していて、作品全体を統一的に捉えるところまでいっていません。本書は、以下のさまざまな問いに答えることによって、作品がどのようなテーマを扱っているのかを明らかにしています。

  • グレゴールはなぜ変身したのか

  • 妹グレーテはどのような変化を遂げるか

  • グレゴールの部屋の片付けをめぐる母親と妹の言い争いにはどのような意味があるのか

  • 物語の後半に登場する三人の下宿人はどのような役割を果たしているのか

  • 妹のバイオリン演奏の場面で唐突に出てくる「未知の糧」とは何か

  • グレゴールを人間に戻すことができるとすれば、それは誰だったのか、あるいは何だったのか

  • 三人の下宿人が退去した後、最初に姿を表すのが肉屋の小僧なのはどうしてか

  • 物語末尾の場面はどう理解したらいいのか

そのほかにも、グレゴールの父親と母親、第1章で登場する会社の支配人、第3章の手伝い女などの脇役がどのような人間として描かれているのかについても触れています。

目次は下記のとおりです。「解釈」部分は、別に出版した『カフカ―世界への異和感』に書いたものとほとんど同じなので、そちらを買われた方はこの本を読む必要はありません。

「補足」は本書で新たに書き加えました。補足1では、『変身』第1章に見られるユーモアをいくつか指摘しています。補足2では、『変身』末尾のシーンがこれまで批評家や研究者によってどのように受け取られてきたのかを概観しています。

『変身』という作品が何を描いているのかを知りたい人、読んでも感動できなかった人、物語を細部まで理解しないと気がすまない人、そして何よりも「もう変身してしまいたい!」と思っている人――そのような方はぜひこの本を読んでみてください。

【目次】

『変身』解釈
 はじめに
 一 グレゴールの変身
 二 グレゴールの家族幻想とその崩壊
 三 グレーテの権力性
 四 三人の下宿人
 五 未知の糧
 六 グレーテの宣告
 七 グレゴールの死
 八 家族の反応
 九 三人の下宿人の退場
 十 グレーテの成熟
 むすび

補足1――『変身』のユーモア

補足2――『変身』末尾について

あとがき

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