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【エッセイシリーズ】よじまま家のこどもたち/長男トト編

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よじまま家の長男トトのことを書いたエッセイです。特性を持ったトトとの関わり。父親と野球との関わり。次々に起こる問題に立ち向かいながら現在に至るまでの物語です。
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記事一覧

トト#9:誕生日お出かけ。明らかになる闇の真実

小学6年生に進級した長男トト。 去年の秋に学校の先生から父親S男に対して注意してもらったことによって、自主練習の強制や体罰はなくなったものと思っていた。 ところが、トトが6年生に進級する前の春休み頃から、再びS男による支配が再開され始めた。 少しずつ、放課後の自主練習は増えていき、S男との夜の練習も再開されていったのだ。 ・・・ 無くなっていた自主練習が再開されただけではなかった。 自主練習に加え、コーチの自宅で行う練習会に週3回、毎週金曜日にはS男とバッティングセン

トト#8:6年生進級、悪夢は繰り返される

長男トトが小学校5年生の秋、学校で「野球がしんどくて死にたい」と担任に話したことが発端となり、両親と学校の先生6人での話し合いが行われた。 その話し合いで、トトへの暴力が明らかとなったS男は先生たちから厳重な注意を受けることとなり、結果的にトトへの異常なほどの野球に対するプレッシャーや暴力は無くなった。 ように見えた。 ・・・ トトが小学校6年生にあがる前の春休みに入る頃から、S男は再び動きを開始しだした。 それまではいっさいトトに対して家での野球の練習については何も

トト#7:学校での話し合い【後編】

小学5年生の長男トトが学校で「野球がしんどくて死んだほうがマシ」と担任に話したことで、事実確認の為に学校での話し合いに呼び出された父親(S男)と母親の私。 担任の先生からの質問に対して、自分は無関係だと言わんばかりの回答を話すS男だったが… S男と私からの話を聞き終えたところで、私が小学校で一番信頼している学年主任の先生が口を開いた。 球技スポーツの指導経験を持ち、自身のお子さんにも同じスポーツを教えているという、S男と似た経歴を持つ先生だ。 学年主任はおだやかに、S

トト#6:学校での話し合い【前編】

父親S男から放課後の野球の自主練を監視され、自由に遊ぶ時間もなくなってしまった小学5年生の長男トト。 そんな時、トトが学校で担任に「もうこんな生活が続くなら死んだほうがいいかも・・・」と言ったことが発端となり、父親S男からの厳しすぎる指導や、”しつけ”という名の元に行われる暴力が明るみになったことで、学校側からS男に対して注意喚起を行ってくれることになった。 ただ、いきなりS男を学校に呼びつけて注意だけしても、S男の怒りを買う事となり、トトや私がS男から報復されかねない。

トト#5:もう死んだほうがいいかも…

小学5年生になったトトは、父親S男から放課後にやる自主練習をどんどんと増やされていった。 友達と遊びたいトトは自主練習をサボって遊びに行っていたが、S男にバレてしまい、自主練習をする時間になるとS男から電話でチェックされるようになった。 そしてトトは放課後に友達と遊びに行くこともできなくなってしまった。 ・・・ 学校から帰った後、自宅での自主練習をS男(父親)に電話で監視されるようになってから、トトは家でもイライラすることが増えていた。 心配になって声をかけても「大丈

トト#4:監視の中の自主練習

父親S男の夢「プロ野球選手になる」を背負わされ、小学1年生から野球を続けてきた長男トト。 小学5年生になったトトはある朝、練習に行く前に泣き出して玄関から出ようとしなかった。 泣いて嫌がるトトを引きずり連れて行こうとするS男を止め、その日は練習には行かなかったものの、S男はトトをどこかに連れて行ってしまった。 そして翌週からは何事もなかったように練習に行き出したトト。 その後しばらくしてトトは夜中に起きてきて、私に「野球を続ける」と言った。 視線は合わせず、なにもない表情

トト#3:身代わりアスリート

この言葉をネットで見た時に「まさにS男とトトのことだ!」と直感した。 父親S男の夢はプロ野球選手になることだったが、共働きの両親が忙しかった為に小学校では野球をやらせてもらえず、中学校の部活からしか始めれなかったそうだ。 高校卒業時にプロテストを受けたが不合格となり、夢はそこで諦めることとなった。 もっと早い時期から野球を始めていれば、結果は変わっていたのではないか… ずっとそう考えていたそうだ。 そんなS男にとって自分に息子ができたら、夢を託そうと思うのは自然なことだ

トト#2:はじまりは、一つの習い事だった

長男トトが小学校に入る前の冬。(年長時) 父親のS男が「長男に野球をさせたい」と言ってきた。 S男自身も中学時代から野球をしていて、一時はプロも目指していたほどの野球好きだ。 夢は叶わなかったが、社会人になってからも地元のチームに入って活動しているくらいなので、いつかそう言いだすだろうとは思っていた。 「トトが興味あるならやるのはいいけど、もうすぐ4人目が産まれるし、私は他の子たちの世話や家のこともあるから野球には付いて行けないよ」 最初に釘を刺しておいた。 少年野球

トト#1:人の話しを全く聞かないお調子者。だけど嫌と言えないナイーブ君。

よじまま家の長男「トト」は現在中学1年生の12歳。 2024年3月某日に私と他のきょうだい達と一緒に、元住んでいた地域と父親から離れて神戸に来た。 ところが、その2ヶ月後、トトは父親の元へ戻ってしまった。 トトから「戻りたい」と言われた時は鈍器で頭を殴られたみたいにショックだった。 だって、私が結婚後から住んでいた場所を離れ、父親からも離れた一番の理由が父親とトトとの関係性であり、トトは父親から離れた方がいいと判断したからだ。 私は間違っていたのだろうか…? トト