ボクサーの夢 フィリピン・ミンダナオ島 2013年3月6日

 

とにかくすごい番組でした。ボクシングの非情な世界を、内部に入り込んで描いていました。 NHKの番組のことです。

もう放送は終わってしまいましたが、ホームページがあります。また再放送するかもしれません。ぜひ見ていただきたいと思います。'世界最強'伝説ラスベガス 世紀の一戦です。

この番組の主人公は、ボクシングの本場アメリカで6階級制覇という前人未踏の偉業を成し遂げた伝説のボクサー、マニー・パッキャオです。

彼は試合のたびに、途方もないファイトマネーを手にしますが、それをフィリピンの故郷であるミンダナオ島に還元しています。彼はフィリピンの下院議員でもあるんです。

番組中にも、パッキャオが自分のお金で立てた市民ホールの前で、演説するシーンがあります。

ミンダナオ島の場所をちょっと確認しておきましょう。ミンダナオ島はフィリピンの1番南に位置する島です。

第2大戦中、日本と米国の間で激しい戦闘が行われ、多くの犠牲者を出しました。戦後も旧日本兵が山の中で発見されるなど、戦後の陰を長く引きずっています。

元フィリピン特派員で、私の職場の同僚である若松篤さんは、この島に何度かいったことがあるそうです。若松さんによれば、意外に複雑な歴史を背負った島です。根深い宗教的対立が続いているのです。

「イスラム教徒の世界に、北からカトリックが入植し、これが今日のイスラム過激派の背景ですが、それも厭戦気分が高まり、まもなく和平合意が結ばれる見通しです。アメリカやイスラエルが関与し、日本は距離をおいていますが、もっとも重要な経済面での支援を続けているんです」

ミンダナオ島は、こういった紛争を背景に、フィリピンでも最貧困層の多い地域だそうです。「ミンダナオ島」への 食糧自給促進プロジェクト(外部リンク)

冒頭に紹介したボクサー、パッキャオは昨年末の試合で、ライバルであるメキシコのボクサーに、あえなくKO負けを喫します。痛々しい映像があります。パックマン敗れる パッキャオ×マルケス(外部リンク)

体力も衰え、生活もみだれが見られ、再起が危ぶまれているそうですが、本人はまた試合をして、ファイトマネーを故郷に持って帰り、島を豊かにすることを夢見ています。

フィリピンといえば、海辺の観光が思い浮かびますが、それだけではありません。人口約8000万人の国なのに、約1割に当たる800万人が海外で生活しています。出稼ぎ大国と言われる所以です。その6割は女性だそうです。

さらに、現在中国との間で南シナ海をめぐる紛争を抱えています。

日本も中国とのあいだで尖閣諸島をめぐるトラブルが起きています。そのためフィリピンは日本に大変親近感を抱いているそうです。この本がとても話題です。私も購入しました。

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」(外部リンク)

今回の記事は、この本を参考にしました。

現代フィリピンを知るための60章(外部リンク)

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