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手放しの雪解けとはいえない日韓首脳会談

日韓首脳会談をめぐる報道は、韓国側の方が実状がよく分かる。韓国の新聞や韓国の放送局系のYouTube政治討論番組をみて、気がついた点をいくつかメモしておきたい。

歴史認識については「金大中ー小渕宣言の中身を読み上げてほしい」と韓国側が要請したが、結局、従来の表現から出なかった。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

これは、謝罪すれば際限なく謝罪させられるという過去の経験からで、これからは一切お詫びを口にしないという方針が、日本政府内で決まっていると韓国メディアは伝えている。

戦後70年談話 安倍晋三首相

シャトル外交合意といいながら、岸田首相は冒頭発言で訪韓時期に触れず、質問を受けても「適切な時期」とあいまいに答えた。

外交儀礼上「季節のいい時に」とか「紅葉のころ」などと言うはずなのに、消極的。場合よっては行かないことも考えているのではないか。

韓国の財団が、日本企業の「賠償金」を肩代わりし手に入れる「求償権」(賠償金相当額の返還を企業側に求める権利)は、韓国では通常10年とされている。肩代わり開始から発生する。

尹錫悦大統領は、この権利を行使することは想定していないと語った。「行使しない」とは言っていないことに注意が必要だ。

韓国の政権は通常10年で保守、進歩が政権交替する(文在寅政権は5年で保守に交替)ので、求償権が進歩政権下で問題になる可能性がある。韓国の大統領が、求償権の行使について言及するのはそもそも越権行為になる。

条約と法令に対する最終解釈権限は最高裁にある」とし「国会が新しい国民的合意を集めて立法をすれば分からないか、行政府が行政行為でこれを覆すことは明らかに憲法的価値に反する」と言った。

ハンギョレ新聞

首脳の懇談の席で、岸田首相が独島(竹島)問題を出したと日本側が発表した。

韓国側は否定。シャトル外交のたびに、この問題が出てくると、そもそも議論が進まなくなる。

今回の会談で、大きな重しが取り除かれたのは間違いないが、あちこにち足を取られる石が転がっているという印象だ。

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