手放しの雪解けとはいえない日韓首脳会談
日韓首脳会談をめぐる報道は、韓国側の方が実状がよく分かる。韓国の新聞や韓国の放送局系のYouTube政治討論番組をみて、気がついた点をいくつかメモしておきたい。
歴史認識については「金大中ー小渕宣言の中身を読み上げてほしい」と韓国側が要請したが、結局、従来の表現から出なかった。
シャトル外交合意といいながら、岸田首相は冒頭発言で訪韓時期に触れず、質問を受けても「適切な時期」とあいまいに答えた。
外交儀礼上「季節のいい時に」とか「紅葉のころ」などと言うはずなのに、消極的。場合よっては行かないことも考えているのではないか。
韓国の財団が、日本企業の「賠償金」を肩代わりし手に入れる「求償権」(賠償金相当額の返還を企業側に求める権利)は、韓国では通常10年とされている。肩代わり開始から発生する。
尹錫悦大統領は、この権利を行使することは想定していないと語った。「行使しない」とは言っていないことに注意が必要だ。
韓国の政権は通常10年で保守、進歩が政権交替する(文在寅政権は5年で保守に交替)ので、求償権が進歩政権下で問題になる可能性がある。韓国の大統領が、求償権の行使について言及するのはそもそも越権行為になる。
首脳の懇談の席で、岸田首相が独島(竹島)問題を出したと日本側が発表した。
韓国側は否定。シャトル外交のたびに、この問題が出てくると、そもそも議論が進まなくなる。
今回の会談で、大きな重しが取り除かれたのは間違いないが、あちこにち足を取られる石が転がっているという印象だ。
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