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コロナ禍で転職したこと


1: したこと

足掛け9年半務めた某スウェーデンの通信機器会社を退職しました。今後は某アメリケンなクラウドのサポートエンジニアをします。

2: なぜやめるか

約9年の中でサポート、構築、コーディングといくつかポジションを経験しましたが正直最後に所属していた組織は日本支社内では最高のポジションだったと思います。業務内容がいわゆるデリバリーというプロジェクトの枠組みでは取り入れづらい自動化や社内で新しいコンセプトの働き方を導入していくような内容で、個人的にも前職のSEでの経験や大学院でやっていたような内容も取り込んでいける面白い仕事でした。

またマネージャーやダイレクターの支援も手厚く個人的にはとても尊敬できる上司、big bossに恵まれたなと思います。特にテクノロジーや、ビジネスの話をする中で、社会インフラを提供する上での自負というか「それを通じて社会のためになるのか、一般のエンドユーザーのためになるのか」を真摯に重要視する方がリーダーシップチームでは何人かいて、自分もいつも心がけないといけないなと思わされました。

一方で自分のキャリアを考えたときに、今の環境では以下のようにやりたいことを達成しづらいなと感じる事もありました。
# テクニカル面では弱いので、これまでやってきたプラットフォームの技術をより深い(低い)レイヤーから経験したい
# ビジネス面でテレコムはよくも悪くも規制産業なので、結局のところお上やお客さんとのズブズブの政治で決まってしまう

 個人的には最後にいた組織のように比較的新しいコンセプトを導入する場合、システムだけではなくてビジネスモデルも含めて設計をしないといけないとは思います。一方で、それに必要な意思決定の仕組みに組織がまだ対応していないなとは感じていました。結局のところ、そのギャップが埋まらないままプロジェクトが動き始めてしまうのでその差分を現場で埋めないといけないというのも、今後の事を考えるとサステイナブルではないなと感じていた点もあります。そしてその環境はある意味ぬるま湯というか居心地よくもできるのですが、そこに染まってしまうとそのビジネスモデルが通用しなくなって、急に環境が変化した時に茹で上がってしまうかなという危機感を感じていました。特に自分のようにほとんどのキャリアをこの業界で過ごしていると他業界のドメイン知識みたいのが必要なんじゃないかなと思いました。もっとも他の業界でもこういったお上の政治で決まるみたいなところはあるあるなのかもしれませんが。

そんな感じで、技術面で成長できそうかつ様々な業種のお客さんの対応がありそうというので今回のポジションをacceptしました。

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あ、やっぱそういう綺麗は話いらないですかね。本当は嫌だった事は、ありました。あまりネガティブな話は書きたくないのですが特筆するとしたら①責任を取るべき人が責任を取らない事がある ②技術の会社ではなくてフィナンシャルの会社となっていたという点です。

①に関しては契約だったりエンゲージメントだったり、それ相応の責任者的役割はあるにはあるんですが、その専門性が弱いと感じていました。背景としては人材の流動性が高く、ある程度の経験があるからという理由で本来必要な能力が十分にない人でもやらざるを得ないといけない状況があったと思います。プロジェクトの体制として人をアサインする事はいいのですが、結局の所十分な専門性が身に付いていないと必要な場面で発言ができなくなります。その結果私は自分の本来の担当ではないし、自分の発言の結果として起こりうる可能性のある事のコミットメントを取る事ができない状況でも自分が発言せざるを得ない状況に置かれる事がありました。これが続くと本当に虚無になります。

また②に関しては、儲かっていた時代にはある程度グローバルの開発部門の人を呼んだりお金をかける事でどうにかなっていたようですが、7-8年ほど前、技術のコモディティ化や新興ベンダーとの競争の激化が進んだ結果、具体的なメトリクスは分かりませんがプロジェクトの中の人材の稼働率などいかにコスト効率性を高めるかが圧倒的な優先事項になったように感じていました。もちろんコスト効率を優先する事自体は悪い事ではありません。けど一人の人間で3−4つのプロジェクトを回すのは限界があります。朝10時〜昼までプロジェクトAの作業 → 2時間くらい仮眠(ねれない)→夕方から新幹線で横浜大阪移動(この間にトラシューに必要なスクリプトを書く)→ホテルチェックインして荷物置いて客先移動→22時くらいからプロジェクトB夜勤→明け方終了予定がサービスインで問題発生して9時終了予定が12時解散→移動とホテル帰って13時半くらいに仮眠(ねれない)-> 15時次の会議用の資料作成→16時プロジェクトC会議 → 17時プロジェクトA daily 会議 →19時新幹線移動横浜戻る→振り出しに戻るみたいな生活が続くと、心の弾力というかとても自己肯定感も下がるし虚無ります。もちろんこれよりもずっと大変な環境はあると思いますが。またコスト効率を追求していくと共有のラボ環境もコストを維持できなくて導入できなかったり、過去たてた環境もどしどし廃止していく事があります。試したい事も試す環境がないのでお客さんから聞かれている事もチケットを上げて質問するメッセンジャーになる、そんな事が続くととてもエンジニアとして自分が十分に稼働できる時間(当時はまだ20代だった) を無為にしているなと虚無る事がたびたびありました。Service Dominant Logic によると単数形のservice はcompetency の提供です。ITサービスの場合は何がそれに相当するのか、僕はエンジニアの知的生産活動だと思っていたのでそのために本質的に必要な施策が経営の優先事項にはなっていないと感じました。

このように、この場所に居続けると自分をいつか決定的に損なってしまう気がすると一度思ってしまうと戻れなかった事も背景にはあったかなと思います。マネジメントの方向けですが、こういう事が続くとエンジニアの心折りますよ!

3:なんで導入・開発系からサポート系?

前職もそうだったのですが、個人的には新しいドメインに入っていくときにサポートはいいのかなと思っています。その環境をとにかく勉強するし、お客さんの痛い所を押さえるとプリセとかに映ったときも話のタネになったり、構築系のお客さんと運用系のお客さんの橋渡しになる事もあるからです。まぁ経験上血ヘドは吐く事になるのでマゾヒスト(物理+メンタル)向けかもしれませんが。

4:今後のキャリアパスどうなん?

知りまへん。
数年前に自分の年齢と定年までの年数をエクセルに引いて、それまでにやりたい事とか制限あるんであれば、だいたいどの時間帯(30-35歳代など)に目標とかの表、今でいうタイムバケットみたいなやつを引いた事があるのですが、全くもって当てはまってないので今後も予想どおりにはならないと踏んでいます。
振り返ると何だかんだやりたい仕事や部署、会社、大学、大学院、出版と実現出来てきたのでその時にやりたいと思った事をやるようにしたいと思います。

5: 転職活動の中身

<5.1 背景>

もともとのスタンスとして外資ではあるあるだと思いますが、いい機会があれば話を聞いて興味があればアプライするという事は普段からしていました。まぁ社会人大学院に行ったりしていたのでそろそろキャリアアップになんかあればいいかなというくらいのスタンスでした。

<5.2 スペック>
社会人11年目/私大文系メジャー学部卒/ゆとり教育&リーマンショック第一世代/中小IT企業に新卒入社/TOEIC 925/応用情報/社会人大学院でMOT修了/独身非モテ

<5.3 今回の活動>
#5.3.1 きっかけ
数年前に転職先が採用を強化していた事もあり、Linkedin でリクルーターから案件の紹介がありました。同じ頃採用イベントもやっており、直接エンジニアの人と話をしていたりしました。今回面接の中ではその時話した人も面接官として出てきたのは、流石にまじかと思いました。後で聞くとサポートエンジニア四天王のようなトップエンジニアの方だったらしいです。
実際には当時今回のポジションは受けており、その時は落ちたのですが今回は通ったという感じです。(僕ごときにもオファー出すくらいなので、それだけ激務になっているのではと正直びびっています)

#5.3.2 面接
現在はすべてremote でした。
質問内容は非公開というか、そもそも全く覚えていないのですが、こういう所を見ているのかなと私が特徴として感じた事は以下です。

5.3.2.1 基礎をきちんと深く理解しているかを問う
つよつよの人ほど、基礎をきちんと理解していて、それを下敷きに新しいコンセプトを理解していくという傾向があるかと思います。全体的にはある基礎的なトピックや質問から初めてどれだけdigれるか、みたいなとこを見ているのかなという印象を受けました。最後のQAの時も結局新しい技術も基礎的な理論をベースに応用の実装がくるので、そこをちゃんと分かっているかが大事みたいな事をおっしゃていたように思います(うろ覚え)。前職の会社でもそうですが、こういうつよつよな方ほど人徳に優れているというか謙虚な方多いので、自分のようなよわよわからすると、ほんまなんやねんという感じです。せめて足臭くあってくれと思ってしまいます。

そしてこれは入社してから感じる事と共通するのですが、会社として基礎的な事を徹底する強みというのは感じます。例えばあるポジションがあって必要なトレーニングをしないといけないけど、何だかんだOJTで現場に丸投げして長時間労働で解決する、というのはITあるあるだと思います。一方今の所はある程度必要なコンピテンスやトレーニングを体系立てて勉強の日と実務の日と分けているように見えます(ニワカですが。)個人的にはこうした技術を経営していく上で突飛な奇策に走るのではなくて、普遍的な原理原則を徹底して行う(というか行えるだけの体力がある)のはある意味すごいんじゃないかなと感じています。

5.3.2.2自分の弱みとそれをどう改善しようとしたかのストーリーを語れるか

どこの会社でもカルチャーフィットみたいな質問はすると思います。どういう質問だったか忘れましたが今回自分は大学院での留年の話などをしました。なぜそれが起き、それをどのように改善しようとしたか、そしてどういう結果になったかという話をしました。まぁ自分が採用の面接官をする時も今まで一番苦労した話とそれをどう考えて行ったか、そこから得た知見などを聞くようにしていたので,そういうa)苦労する場面での考え方とb)それをストーリーとして人に伝えられるかの能力を見ているのかなという印象を受けました。

こういった自分の経歴に関する整理と語り方に関して以前スクリプドクターの本を読んでいて、自分の場合はどうだろうと思っていたので転職考えている人にはおすすめかもです。
https://www.amazon.co.jp/スクリプトドクターの脚本教室・初級篇-三宅-隆太/dp/4403120245

#5.3.3 時間
他の方のブログ[1]にも書かれていますが、この会社がそうなのかアメリカ系ではそれが普通なのか分かりませんが基本めっちゃ長いです。今回は5月頃に連絡が来て結局内定したのは8月上旬でした。そのうちほとんどは結果の待ち時間でした。ちなみに前回のように落ちた時はめちゃめちゃ早いという印象でした。(たしか当日中に電話で来た)

#5.3.4 びびった事
今回は聞かれませんでしたが、たしか数年前受けた時は非エンジニア(人事か総務みたいな所)の人にXXソートの計算量は?とか好きなシステムコール何?みたいな割とディープ目な事を聞かれて非エンジニア職の人でこのレベルなのかとびびりました。

まぁぶっちゃけ記念受験だなーと思っていたので、正直なぜ採用されたかまったくもって分かりません。

#5.3.5 リファーラルを受けたか。
後から知ったのですが、今の会社にも前職出身の方が何人かいたようです。
けれど、今回は特にreferralを受けてはいません。あくまでlinked inに声かけてきたリクルーターとつながって、紹介してもらったイベントに参加したりという感じです。
尚リクルーターは正社員のリクルーターと業務委託のリクルーターでかなり質が違うなと感じました。もし、興味のある会社から声がかかってもそのリクルーターのキャリアを少し確認した方がいいかもなとは思いました。

#5.3.6 英語
また外資の転職を考えている人の中には英語が気になる人もいるかもしれません。
ちなみに自分のレベルは短期の留学(学生時代にカナダ二ヶ月)をしたり新卒の研修がインド(三ヶ月)だったりしたのでドキュメントを読んだりするのに苦手意識はないけれど、speakingとか超苦手という感じです。これは前職でも感じた事なのですが、外資でもいわゆるネイティブが出てくる事はそこまでないかもしれないという状況です。特に人口的にも日本で働くnon Japan のvolume zoneは中国、台湾、韓国やインド、あとはスリランカ、インドネシアあたりだと思います。そのため、話す相手もネイティブではない状況だと、キーになるポイントだけ押さえておけば後はなんとかなるというという気がします。そうであってほしいという願望もありますが。ちなみにコミュ障の僕は日本語でもしゃべる事が苦手なので発音の練習にELSAというアプリを日課にしていました。

https://apps.apple.com/jp/app/英語発音を確実に改善するアプリ-elsa-speak/id1083804886

#5.3.7 落ちたとき
外資あるあるだと思いますが、僕のように一回落ちて2回目で通るという事もあります。また前職がそうだったのですが、応募したポジションでは落ちたけれど、こっちのポジションは向いてそうだから受けてみない?という連絡が来ることもあります。自分が面接官をやる時の事を振り返ると、後で困るのでいくつかの観点で合わなそうな人を採用してしまうよりかは、いいかもしれない人を落とす方がましだと考えていました。正直時の運だと思うくらいでいいのかもしれません。

#5.3.8 おちんぎん
内内定が出たらリクルーターと電話で給与交渉があります。
自分は今の年収伝えてこれと同じがそれより上だったらいい、と伝えました。
もっとも、今回の採用のjob rankではギリだった見たいで正直現金ベースではあまり変わりませんでした。アメリカ系ではよくある事ですが、RSU という仕組みで株をもらえるのでその分だけ上がったという感じです。もっともRSUは1) 権利確定してもらった時 2) 売却した時にどちらも税金がかかるので怖いですが。

Openworkなど見ていると同じポジションでも少ない給与レンジだったようなので、今後がんばりたいなーという所です。

6: これから


まずはお仕事を早くキャッチアップするぞ!という気持ちです。
まだまだonboardingの段階なので、まったく使い物にならなくてすぐに出戻りするかもしれませんが、まぁ動いていたらどうにかなるやろの精神で、その時に面白い!やりたい!と思ったことをするようにしたいなと思います。


#参考文献
[1]https://tjo.hatenablog.com/entry/2019/03/27/123000

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