「会社の健康診断」結果の読み解き方① 会社健全度

「『会社の健康診断』結果レポートの読み解き方、そして、改善プロセスの考え方」のnoteで、「全体から部分へ」というアプローチ、全体の会社健全度を見て、各ドライバを見て、どこが強くてどこが弱いかを見る。そこで焦点を絞って、さらにアンケート設問項目までブレークダウンして見ていく・・・という読み解き方について説明しました。

「総評」のページは、そのようなアプローチへと誘導する構成としています。

会社健全度

社長、幹部、一般社員の全員を対象とするアンケートが完了すると、回答者ごと・アンケート設問ごとの5段階の回答スコアを集計することによって、全社的な会社健全度、各ドライバ値が算定されます。

「総評」では、まず「全社的な会社健全度」を確認します。全回答者による回答平均値が70問全て3.0だった場合、会社健全度は60点と算定されます。同様に、全回答者による回答平均値が70問全て4.0だった場合、会社健全度は80点と算定されます。2.0だった場合は会社健全度は40点。これを目安にして、自社の会社健全度の数値を理解・評価するとよいでしょう。

「どちらともいえない」3.0を下回っている場合、すなわち50点台、40点台ですと、一部の例外はあるかもしれませんが、会社経営や事業運営の全般にわたって改善を要する課題が存在するということになるでしょう。突出したドライバがなく、ほぼ全てのドライバ値が3.0を下回る状況においては、いずれかのドライバを引き上げていくということは、そう容易ではありません。アンケート結果に表れている現状認識を踏まえて、会社の目指す方向性を明確にするところから取り組む必要があるでしょう。

「どちらともいえない」3.0を上回る60点台の場合には、各ドライバ値、設問ごとの回答平均値や回答分布などから、ある程度、課題の重要度や優先順位が明らかになっていることと思います。まずは70点を超えるところを目指す上でどのようなルートで改善を行っていくか、優先順位、改善の順序を検討することになるでしょう。

会社健全度が60点を超えている状況においては、全社的な参画をもってその優先順位、改善の順序を検討するとよいでしょう。50点台、40点台という状況では、ある程度「トップダウン」的な緊急の取り組みが必要でしょうが、60点を超えている場合、そこから70点台、80点台を目指すにあたってさまざまなルート、選択肢がありますし、社員の皆さんによる経営に対する理解も一定程度は存在する状況ですから、全社的な参画によってより大きな成果につながると言えます。

会社健全度の数値の高低について

全体的な経営の状態を定量的に評価し数値で見える化するものですから、どうしても、その数値の高低に目がいってしまい、その数値によって一喜一憂したり、不安や怒りといった感情が先行してしまったりということがあります。

しかし、会社健全度の数値を見て、「意外と高得点だな」とか「なんでこんなに低いんだ」という思考をすることはおすすめできません。

「意外と高得点だな」・・・の次には、「よし、このままでいいんだ」とか「俺、けっこうやるじゃん」といった慢心を生み、診断結果を改善に結び付けるという思考、アクションに結び付けていくことができません。

「なんでこんなに低いんだ」・・・に続けて起きてくる感情、思考は、「あいつら、なんもわかっていない」とか「そもそもアンケート設問の聞き方に問題があるんじゃないか」といった他責の思考です。これも、診断結果を改善に結び付けるという思考やアクションにはつながりようがありません。

会社健全度の数値が70点台後半、80点台だったとしても、まったく問題、課題がないわけではありません。

全員がすべてのアンケート設問に対して4と回答しているでしょうか?

ある設問について平均点が4点だったとしても、1とか2と回答した社員の声は切り捨てるのでしょうか?

4とか5と回答した社員の「ふつう」の水準は、一般的な水準と比べて低すぎるということはないでしょうか? すなわち、要求レベルが高くない故に甘い点数をつけているということではないでしょうか? 「学習する」「良い画を見る」ことなどによって社員のレベルが上がっていくと、得点は必然的に下がります。

会社健全度の数値を表面的に捉えるのではなく、その数値の背後にある「社員の声」を耳を澄まして聴くようにしましょう。そういう姿勢を持つことによって、会社健全度の数値の高低に心が揺さぶられることはなくなります。

会社健全度の数値の高低を問題にするのではなく、また、他社と比較して一喜一憂するのではなく、自社の過去の会社健全度の数値と比較してその変化の意味合いを捉えるようにすると良いでしょう。この一年間やってきたことは、狙った通りの変化に結び付いているのだろうか? 前回と同じアンケート設問項目を読んで、社員は自社の現状をどのように理解・把握したのだろうか? 社員がアンケート設問で聞いている項目の重要性を学んだことによって点数が下がったということが起きてくれているのではないか? ・・・そうやって会社健全度の数値を見ることができるようになると、良い会社づくりへの大きな一歩を踏み出したことになると言えるでしょう。

職位による認識・評価のギャップ

会社健全度の数値は、経営者のアンケート回答結果に基づく数値、幹部のアンケート回答結果に基づく数値、一般社員のアンケート回答結果に基づく数値の3つが併記されています。

「会社の健康診断」の大きな特徴の一つが、この、職位ごとにアンケート回答結果を集計し診断結果を表示することとしている点です。この点については、次のnoteで詳述しましょう。

成長ドライバの特徴

総評の右側にレーダーチャートが2つ描かれています。メインドライバ、サブドライバそれぞれのドライバ値の高低を示しています。

ドライバ値の満点は、ドライバによって異なります。
メインドライバでは、
・社長:18点
・経営理念・ビジョン:9点
・ビジネスモデル:15点
・システム化・型決め:18点
・行動環境:24点
サブドライバ(メインドライバ「行動環境」の内訳)では、
・ストレッチ:4.4点
・サポート:3.6点
・自律:4.4点
・規律:3.6点
・信頼:8.0点
と設定されています。

したがって、各ドライバのドライバ値のままでは相対的な強み・弱みを把握することが容易ではないため、ドライバ値を5点満点の指数に換算して表示しているのです。

レーダーチャートの五角形の面積が大きいほど各ドライバの値が大きく、したがって全体的な会社健全度も高いということになります。
また、レーダーチャートの五角形の形状が正五角形に近いと、突出したドライバが存在せず、全ドライバがおおよそ同じような値で均衡しているということになります。五角形の尖っているものが突出したドライバであり、へこんでいるものが相対的に弱みと考えられるドライバです。

レーダーチャートによって、自社の強み・弱みとなるドライバはそれぞれ何かを把握します。

そして、強みを生かして弱みを改善することができるのではないかと、改善の順序や具体的な施策を考えるようにします。また、弱いものが複数ある場合、それらを同時に高めることのできる施策がないか考えるとよいでしょう。

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