見えにくくて、読み取れないこと
昨年新たに登場したthreeの「吹き出し」シリーズ。
漫画や、LINEなどのメッセージアプリでもおなじみの、吹き出しという二次元上の存在を具現化した作品です。
キャラクターフィギュアの集合体が一つの吹き出しの形を作り出しています。
『1098g』
three @333thr333
素材:フィギュア、アルミ、塩ビ、木
サイズ:W300 × D40 × H340 mm
年代:2022
Photo: ©three
これらのキャラクターは、それぞれの物語の中で発したセリフがあります。
フィギュアとはその情報が埋め込まれたものだとすると、threeのこの作品は、大量のセリフの集合体が、また新たな一つのセリフを生み出す、という構造になっていることが分かります。
例えば、
「バスケがしたいです・・・」
「クリリンのことか!」
「バルス」
「マヨネーズを持ってきてくれ」
などのセリフは、それまでに起こった色々なことから生成され、発せられた一言である、ということになります。
ある一言に、複雑で多様な背景が埋め込まれている。
このことがthreeの作品も構造的に同じなのだと思います。
(ちなみに筆者は30代です)
といいますか、考えてみると、私たちが発する一言一言もやはりそのような構造になっているのかもしれません。見えにくく、読み取れないことがほとんどだと思いますが。。
と、そんな話を作家としている中で、セリフの引用のみで対話してみよう、ということになり、ここ最近、インスタストーリーズで作家と対話しています。
アーカイブはプロフィール画面から追ってご覧頂けます。
@minnano_gallery_tokyo
現在は対話がある程度進んだところなのですが、引用元は作家が影響を受けた作品であることから、結果的にその作品群のリストアップに繋がりました。
今後はそれぞれの引用元についてもう少し掘り下げた内容での発信を、連載的に行っていけたらと考えています。
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three
アーティスト集団 threeは、2次元キャラクターのフィギュアや魚型のプラ醤油差しなどの身近な素材を大量に用いた立体作品や、巨大なインスタレーション作品を、国内外のギャラリー、美術館、アートイベントで多数発表しています。
用いる素材に付随する多様な背景を巧みに操り視覚化することで、見えにくい社会のありようを、その実体や本質を明らかにしていきます。
https://www.minnanogallery.com/artists/three
◆ 展覧会情報:
アートフェア東京2023
3月10日(金) − 12日(日)
S004 みんなのギャラリーブース
https://artfairtokyo.com/
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