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どうやって敷地から出るか ~平板を使った通路のブラッシュアップ、あれこれ
在宅介護において、外出が簡単にできるかどうかはそれを続けるための、とても重要な要素になる。介護保険をつかえば、在宅介護のうちの一部の機能を、文字通り外注できるからだ。デイサービスとか、ショートステイとか。それが利用者ご本人だけでなく、日々を一緒に過ごす介助者の健康を守るために必須であること、経験された方ならよくおわかりになると思う。
なので、そんな相談を受ける際、コンクリートにしてしまうかなど、いろいろな要素を考えて通路の素材を選んでいたのだが、最近はおおよそこれに落ち着いている感がある。
透水平板。皆様の街の歩道でも、バリアフリー法に沿って歩道が更新される際、多く使われているお馴染みのブツである。当たり前の存在すぎてお気づきでない向きもいるかも知れないけど、皆様の足元で大活躍してます。
なお、これの特徴は、
1、水を通す
当たり前だろう、と言わないでほしい。この要素、実は敷地内の狭いところで効いてくる。仮に、コンクリートで通路をバッチリつくったとして、雨が降ったらそのあたりがどうなるか、皆さんはご想像できるだろうか。
ひとことでいうと、通路がダムになるのである。なので、地面の透水性によってはなかなか水が引かず、ちょっとした池ができたりもして、あまりよろしくない。なので要所に塩ビ管の水抜きを入れたりするのだが、えてして詰まる。
でも透水平板なら、その板の中に水が通るので、通路横に水たまりができにくい。そういったときでも水はけがよくなるし、どういうふうに通路を通すか考えるときに、水の心配が少なくて済む。ありがたい限りである。
2、表面がすべりにくい
公共の歩道に使うだけはあり、透水平板は表面がちゃんと滑り止め効果を発揮するような凹凸(でも尖っていない)になっている。見た目も綺麗。
これがコンクリートだと、表面仕上げは職人の技術に依存するし、天気や季節によっては修羅場になる。特にこれからの時期ですね。
夏場のコンクリートはそれ以外の時期に比べて、瞬速で硬化していく感があるのだが、それは仕上げができるタイミングも短いことを意味する。なので職人は必死に平らにし、金ゴテで押さえ、滑り止めの刷毛模様をつける。でもその時間を十分に取れず、仕上げが今ひとつになりがちである。
また工事が終わるまで雨が降らなくても、その後すぐに降った場合に表面は雨打たせ仕上げとなったりする。要は、コンクリートの土間は、施工で気を使う部分が多いのだ。
生コンクリートってそういう意味なんですよ。ほんとに生モノなのです。
3、工事後しばらくして踏める
平板は表面はすでに硬化している。コンクリート製品だからね。
なので、工事が終わってしまえば、その日から踏もうと思えば踏める。あくまでそーっと、だけれども。
これ、コンクリート打設だとそうはいかない。翌日はあらかた固くなるけれども、表面に傷はできる。なので、可能なら3日くらい養生しておいてほしい、というのが施工側としては思うところなのだが、一戸建て住宅にて、玄関からの通路がしばらく通れなくなることを許せるケース、実はあまりないのですよね。なので選択肢はすぐ踏める平板、となるのだった。
と言ったところだろうか。
実際、どんな感じかみてみます。
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視力障害のある方からのご相談。介助で外出しているのですが、いよいよ歩行では厳しくなってきたとのことで、安全に外出できる環境整備です。
この場合は、安全に摺り足、もしくは車いすなどで外出できるよう、外部までの段差を徹底して改善します。なので通路レベル調整、開始。
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エアコンの室外機の足なども、この時に高さを調整したりもします。
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ここ、通路に120°曲がりがあったので、車いすでの移動の際、ショートカットでも切り返しでも対応できるように通路の形状を選んでいます。
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ひたすら段差なしで道路まで出られる形としております。幅は平板1枚30cmなので3枚並べで90cm、自走車いすでも対応できる寸法です。
施工のときに気を使うポイントは、この平板をダイヤモンドカッターで切断するときに音と、ホコリが出ます。集塵機を使っても少し飛ぶので、周囲の洗濯物にご迷惑がかからないよう、ご近隣にちゃんとご説明が必要です。なので、むやみに切断部を増やさないように割り付けることもけっこう大切だったりします。
ちなみにうちが使っているのは、鳶さんご推薦のこれ。なんでも、横ロックの溝がないぶん、きちんと目地が詰まって施工性が良いそうで。
アクリナペイブ【東洋工業(株)】
さて、こういう通路、それだけで外部までつながるとベストなんですが、そうもいかないときもあります。
そういうときは、貸与品のスロープと組み合わせを想定して、通路をつくります。ビフォーアフターでどうぞ。
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でも実は、平板は斜めに据えられるのはあまり得意ではない。据えている最中にズルズル動きがちなのです。一枚11kg、けっこう重たいですからね。なので下から順番に据えてもらって、なんとか形になりました。
でも、これだけだと介助でも出入りは困難。で、スロープが必要なのです。
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ちなみにスロープの利用可否ですが、このスロープのメーカー【(株)ダンロップホームプロダクツ】さんのサイトから引用するとこんな感じ。最大の長さのもので、70cmの段差に対応できるわけですね。
でもこの勾配、うちでは送迎の介護スタッフがいる場合限定で工事をやることにしております。老老介護だと、ともに暴走する危険が否めませんゆえ。
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こちらの事例は送迎のスタッフの方にもあらかじめ動作をご確認いただきました。けっこうギリギリな設計ではありますが、これで週3回デイに行けて、お風呂も久方ぶりに入れるようになったそうです。
なお、この考え方を応用すると、途中に階段があっても成立します。
こちらもビフォーアフターで。
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横に手すりもついた、踏面300mm、蹴上110mm 6段の階段になりました。でも最上段に長さ2.7mのスロープを引っ掛ければ、車いすでの出入りにも対応できる予備工事にもなっております。
自分でまだ歩けるけど、将来の車いす利用にも対応したい、などのご希望にはいきなりスロープを考えるより、歩いての外出の余地が残るこの提案の方が良いかな、と思っています。急なスロープしか通路が選べないと、実は危ないですからね。
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