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保険本来の趣旨に沿った営業活動に役立つ備忘録③-日税連令和6年度税制改正に関する建議書から生命保険に関連する箇所を抜粋-

現所属先の業務に差し障りのない範囲で、生命保険営業に関連する情報、法令・通達、裁判例などについて、不定期で発信できればと思っております。

生命保険業界に関連する方や、ご興味のある方は、宜しければ、お付き合いください。

※発信内容は、過去も含め、所属・関与する団体等とは一切関係ありませんのでご留意ください。



はじめに

日本税理士会連合会は、令和5年6月22日に開催された第1回理事会において「令和6年度税制改正に関する建議書」を決定しました。
※日本税理士会連合会は、税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官 公署に建議し、又はその諮問に答申することができると税理士法に規定されており、この規定に基づき、税制改正に関する建議書を毎年取りまとめています。

大変恐縮ではございますが、素人ながら、生命保険営業に関連しそうな箇所について抜粋いたしました。

税制 - 日本税理士会連合会 (nichizeiren.or.jp)



重要建議項目

中小法人税制

・中小法人が配当を行う場合には、中小法人の所得のうち配当に充てられた部 分に対する法人税率を低くするとともに、中小法人の個人株主が配当を受ける場合にも申告 分離課税制度を認めることや配当控除を引き上げることを検討すべきである。
なお、この場合には、取引相場のない株式等の評価に際して株式評価額が上昇しないような制度とすることが必要である。

・損金不算入とする役員給与を明 示したうえで、役員報酬及び賞与について株主総会等の決議によって事前に確定した金額の 範囲までの部分については、不相当に高額なものを除き、原則として損金の額に算入すべき である。

所得税

・給与所得課税の適正化を図るためには、特定 支出控除制度をより一層拡充し、給与所得控除額については、その構成を明らかにしたう えで縮減すべきである。

・公的年金等への課税は、…実質的に非課税に近い制度となっている。
したがって、公的年金等控除額は可能な限り縮減すべきである。



基本的な考え方

中小法人税制

・令和5年度税制改正においては、中小法人における賃上げの機運を醸成していくためにも、その生産性の向上や経営基盤の強化を促すことが重要であるという観点から、法人税の軽減税率の特例、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制の適用期限が2年延長された。し かしながら、中小法人が近年の深刻な人手不足、ICT 化へ向けて必要となる設備投資、エネルギ ー等を中心としたコストプッシュ型の物価上昇等による収益環境の悪化といった環境変化に対応していくためには、内部留保の充実をはじめ、事業の存続や新規事業への取組みに対して、 今後もさらなる税制による継続的な支援が必要である。


相続税・贈与税

・相続税の課税方式については、資産移転時期の選択に中立的な税制を構築していくうえでも遺産取得課税方式の導入を視野に入れて、今後検討すべき である。

・喫緊の課題である中小企業の事業承継問題の解決を早期に税制面から推し進めるため には、非上場株式の贈与税及び相続税の納税猶予制度における免除要件の緩和ないし思い切っ た非上場株式の株価の評価減の制度を創設すべきである。


国税通則法

・納税者の最低限の権利保護を目的として、諸外国にも例の多い納税者憲章を制定するとともに、 国税通則法第1条(目的)に「納税者の権利利益の保護に資する」旨の文言を追加すべきであ る。


税制改正建議項目

所得税・法人税等 起業を促進する税制

・起業直後の個人の事業の損失については、適正な記帳を要件として、10 年程度の繰越控 除を認めること。 
・起業に係る設備投資に関しては、即時償却を含む特別償却を認めること。 ・ 起業を指向する個人のスキルアップを支援するため、起業の準備に要する教育訓練費及 び自己啓発費用で、起業に直接かかわると認められる費用の一定額について、起業した年 に開業費として繰延資産に計上し、後年度における償却費を通じて必要経費に算入するこ と。

所得税

・公的年金等については、その控除額を縮減したうえで、独立した所得区分とすべきである。
・医療費控除は廃止を 含めた見直しが必要である。
・個人が業務用不動産を譲渡し たことにより生じた譲渡損失についても、損益通算等を認めるべきである。

中小法人税制

・中小法人については、引き続き定率法と定額法との選択適用を認めるべきである。
・賃上げ促進税制についても繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度を設け、人材投資を促進する当該制度をより実効性があるものとすべきである。
・留保金課税制度は廃止 すべきである。少なくとも、中小法人に対しては現行の適用除外を維持すべきである。

法人税

・受取配当等は全額を益金不算入とすべきで ある。
・労働協約や就業規則等により退職金や賞与の支給が明確に規定され、かつ、 企業の確定した決算においてその金額が掲げられている場合には、退職給付引当金及び賞与 16 引当金の繰入れについて、損金算入を認めるべきである。
・貸倒引当金については、…債権者への配当割合は極めて小さい。また、引当金の形式的な 50%の繰 入限度額という設定は現実と大きく乖離している…実際の配当率等を参考にして繰入率を見直すべきである。
・現行法上、規制の対象となる交際費等のうち「得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用」については、社会通念上当然支払うべきものである上、社会 的批判を受けるものでもない。 …これらの費用については、通常要する金額の範囲内であること及び帳簿等に一 定事項を記載することを要件として、税務上の交際費等から除外すべきである。


相続税・贈与税

・取引相場のない株式等の評価の適正化を図るためには、
①相続開始前3年以内に取 得した土地等と建物等についても通常の評価とすること、
②評価会社が確実な退職給付債務を 負っている場合は、一定額を負債とすること、
③土地保有特定会社等の特殊な評価方法を見直 すこと、
④議決権制限株式などを活用した事業承継を推進するために、種類株式の評価方法を 見直すこと、
⑤事業承継の円滑化の観点から、相続及び贈与に係る株式評価額には配当金額を 反映させないこと等のさらなる検討をすべきである。
・相続税・贈与税の連来納付義務を廃止すること。
・法人版事業承継税制(特例措置)に係る対応期限を延長し、各種届出や申告手続を簡素化す ること。
特例承継計画の提出期限及び相続・贈与の実行期限を、それぞれ令和 10 年 3月末日及び令和 14 年 12 月末日まで延長し、各種届出や申告手続の簡素化を行うべきである。


おわりに

駄文・雑文にも関わらず、最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。

早いもので、令和5年も約半分が経過、令和6年税制改正に向け、政府税調等や各官公庁の税制改正要望等の動きも活発化してくることかと存じます。
身の丈の範囲で学び、お役に立てる情報発信に努めて参りたいと思います。

※当記事は、著作権法、税理士法第52条、弁護士法第72条などに抵触しないよう、細心の注意を払い作成しているつもりですが、万が一、内容に誤り、不適切な点、法令に抵触するような点がある場合は、その旨ご指摘くだされば幸いに存じます

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