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村田陽一ビッグバンド『Crawling Forward』2021年インタビュー Vol.2 (Interviewer:内田正樹)

2021年2月にリリースされた村田陽一ビッグバンド『Crawling Forward』はコロナ禍に行われた無観客配信ライブの模様を収録したアルバムである。リリースに際して村田に行ったインタビューをnoteに寄稿する。このVol.2では、アルバム収録曲の全曲解説を中心にお届けする。楽曲誕生の背景やバンドのエピソード、さらに村田陽一ビッグバンドの今後の展望が語られている。前後編合計12,000文字のロングインタビューから、より深く村田陽一ビッグバンドの世界を楽しんでもらえたら幸甚である。(内田正樹)  [写真協力:BLUES ALLEY JAPAN]


M1.「Bad Attitude」

 ──ここからは収録曲についてのお話を交えながら進行させてください。まずアルバムの1曲目を飾るのは2001年のソロアルバム『タイトネス』及び2008年の『トリビュート・トゥ・ブレッカー・ブラザーズ』に収録の「Bad Attitude」です。後者は、現在、主要ストリーミングサービスでも楽しめますが、これ、やはり改めて今聴いてもトリビュートアルバムの良作だと思います。

「うれしいです。いいアルバムですよね。僕自身、ランディ・ブレッカーの仕事としてもベストな部類に入ると思っています。皆さんにももっと聴いて頂きたいですね」

 ──今作におけるこの曲はトリビュートよりもだいぶテンポを落としていて。スコアもビッグバンド用に書き下ろされている分だけ、より整然としていますね。

「そうですね。僕自身、ブレッカー・ブラザーズからとても影響を受けているので、よりコンテンポラリー且つトリッキーなものにしたくて書きました」

 ──2曲目然り、村田さんが受けたファンクの影響と言うと、いわゆるPファンク以降のアーティストでしょうか?

「はい。僕は20代の中頃、MAMBABOO(マンマブー)という、久保田利伸のレギュラーバンドだったMOTHER EARTHのメンバーとJAGATARAメンバーの混合バンドに参加していたんですが、久保田利伸君とも仲がよかったので、彼らとジョージ・クリントンと一緒にセッションさせてもらったり、Pファンクのホーンズ――つまりはジェームズ・ブラウンのJBホーンズとも交流を持てて。結構ハマっていましたね」

 ──ギターがグルーヴを牽引するようなカッティングを聴かせてくれますが、こうしたギターもスコアを作る段階から村田さんが書いているのですか?

「一応パターンは書きますが、僕自身、ギターの再現スキルがそこまで高くはないし、むしろ重要なのは人選です。デモを作る段階から、この曲でこういうギターなら絶対このカッティングを弾いてくれるだろうといった見地から人選をします。今回の養父貴君はファンクのマナーもブラジル音楽も熟知している。僕の周りの人は、あまり養父君と一緒にやっていなかったんですが、今回は絶対に彼で間違いないと思って。そういう人と人との接着剤みたいな役回りは、PONTA BOXの時に村上PONTA秀一さん(筆者注:2021年2月9日逝去。享年70)から大きく影響を受けたのかもしれません。彼はとてもボーダーレスな人柄で、人と人の化学反応を生み出せる人でした」

 ──村田さんと養父さんの出会いは?

「渡辺貞夫さんのバンドでした。渡辺さんは基本的にギタリストを使わないのですが、使う時は必ず養父君。18年にデイヴ・グルーシンが日本で『ウエスト・サイド・ストーリー』を演奏した際、ギターのリー・リトナーが体調不良で来日出来なくなって、その代打を引き受けたのが養父君だったというぐらいの腕前で。着実な音選びで、しかも堅実でソウルフルに弾ける。もっと世に広く知られるべきギタリストだと思います」

 ──ライブにおける各パートのソロの設け方についてはどのように?

「基本的には全て演奏メンバーへの当て書きですね。現場でソリストを変えてみようということはほとんどなくて、持ち込む譜面の段階で決めてあります。今回も素晴らしいソリストが集まってくれたので、なるべく均等に見せ場を設けられるように書きました」

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M2.「Everybody(Know It’s All Right)」

 ──2曲目は1999年『HOOK UP』収録のナンバー「Everybody(Know It’s All Right)」です。村田さんはオリジナルのメロディを作曲する際、どんなプロセスで書いていかれるのでしょうか?

「基本的にキーボードで曲を作ります。ラインを考えたら五線ノートに手書きで書いて、そこに当てていくコードを探しながらコードネームを書く。コード進行から作って、次にメロディを考える場合もありますが、とにかく最初は一段の譜面で書きます」

 ──メロディから浮かぶ際は、同時にある程度のアンサンブルがもう頭のなかで鳴っている感じなのでしょうか?

「そうですね。次にそれをfinaleという楽譜ソフトに打ち込んで、バンドで演奏する場合はベースラインとか他の楽器の譜面もシンプルに書いて。それをスタンダードMIDIファイルという形式にコンバートして、さらにLogic Proというソフトにインポートする。この時点で様々な楽器の音源を使って演奏/レコーディングが出来る状況になります。そこから全体のパートを作曲しながらトラックを作っていく。ここまでがここ何十年か変わっていない僕のセオリーです」

 ──村田さんのメロディってキャッチーですよね。いわゆるサビの位置が最もキャッチーな場合もあれば、出だしが最もキャッチーな場合もあるんですが、総じて口ずさめるメロディというか。

「ありがとうございます。やっぱり鼻歌で歌えるものがいいなって。僕の場合、歩いていてふとメロディが閃く、みたいな作り方はもうここ三十年ぐらいなくて。『今から作るぞ』とスイッチを入れて、キーボードの前で鼻歌から作る。だから自然とキャッチーになる場合もあれば、自分で意識してそうする場合も両方あるんです」

 ──メロディ面で強く影響を受けたアーティストはいますか?

「メロディはシンプルだけど、その背景には割と複雑な和音があるという点で言えば、まずはイヴァン・リンスでしょうか。ジノ・ヴァネリも好きですね。ああいう何だか妙にドラマチックなメロディが好きで(笑)。あと、サウンドにはそこまで色濃く影響が出ていませんが、ドビュッシー、ラヴェル、バカラック。アントニオ・カルロス・ジョビンもそうですね。ブラジルのサロンミュージックの要素にはフランス近代のクラシックからの影響が大きいせいもあって、メロディはシンプルだけど背景の和音が複雑になる。彼らのメロディの置き場所はいつも自分の琴線に触れますね」

 ──ジャズのスタンダードなどからは、あまり影響を受けていないんですね。

「そう(笑)。あと、ビートルズの影響もほとんどない。ただ、近年、トロンボーンの四重奏のためにビートルズを洗い直したら、やっぱりよく出来ていて。良い曲がいっぱいあるなあと感じましたね」

 ──この2曲目のような、いわゆるリフものに関する影響については?

「やはりブーツィー・コリンズやジェームス・ブラウンのJB’sでしょうか。『HOOK UP』の時もリッキー・ピーターソンに参加してもらいました。彼はミネソタ州ミネアポリス出身でプリンスと幼馴染だった。彼みたいなテイストにもすごく惹かれましたね」


M3.「N.Y.U」

 ──3曲目は村上PONTA秀一さん率いるPONTA BOXによる2001年のアルバム『NYPB』への提供曲です。これもリフの強いファンクですが、ややフュージョンっぽさもあって。

「PONTA BOXは当時ベース不在で、PONTAさんとピアノの佐山雅弘さん(筆者注:2018年逝去。享年64)の二人体制から成るユニットでした。当時、僕はレーベルメイトだったのでプロデュースで立ち会って。どうせベースが不在なら、当時、僕が『HOOK UP』で付き合いのあったウィル・リーとアンソニー・ジャクソンにやってもらおうと提案してニューヨークに渡りました。つまりウィルとアンソニー在りきで書いた曲でした。ベースのリフが立っていて、サビがちょっとキャッチーになっている。様々なメディアのSEなんかで切り出して使ってもらえたらという、やや邪な気持ちも当時はあったのかもしれない(苦笑)」

 ──実際、途中ですごく歌心のあるメロウなメロディが出てきますね。

「完全にブラジル音楽の影響です。不思議とあまりそういう声が聴こえないけど、そもそもファンクとブラジルって相性が良いと思うんですよ」

 ──本作を聴けば聴くほど同感ですね。

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M4.「Closer」

 ──4曲目は2010年の『Janeiro』収録のナンバーです。ここでも養父さんによる後半のギターがサンタナに代表されるラテン・ロック的なギターソロを聴かせてくれます。

「このメンバーで演奏するならこういう形かなと思って。ピアノの松本圭司君なら、ちょっとサルサ寄りに向かうだろうなあとか。あと、予想外だったのはベースのリフも特徴的なので、ファンクの解釈も行けると思っていたんですが、納浩一さんが弾いてくれたら意外にキューバっぽい感じにもなって。こういう曲はメロディ以外の後ろの伴奏に回っている管楽器が妙にリズムを刻んでしまうと、そのリズムに全体が支配されがちです。今回のアレンジは、全曲、音符のリズムを刻むというよりは、ロングトーンのハーモニーをメロディの後ろに当てる感じにした。そうすることでリズムを邪魔しないので、リズムセクションがやりたいようにやってもらえますから。リズムセクションに全体のイニシアティブを取ってもらった格好と言えるかもしれませんね」

 ──なるほど。編成の違いはもちろんありますが、前作の村田陽一オーケストラ『LIVE!』と今作を比べると、前作はやっぱりキュッとしていましたね。

「そうですね。前作は元々学生に向けて書いたスコアでしたから、どうしてもそうなった。結構あれもこれやって下さいと忙しない演奏を要求してしまったので、『次はもっと楽しめる曲にするからね』と、みんなと約束をしていたんです(笑)」


M5.「Bossa for Tom」

 ──「Bossa for Tom」は五十嵐一生さんが1995年にリリースしたアルバム『ゴールデン・リップス』への提供曲です。

「Tomはアントニオ・カルロス・ジョビンの愛称です。この曲は五十嵐君のアルバムの前に、ジョビンが亡くなった時、村田陽一オーケストラで彼のトリビュートをするために書いた曲でした。その当時のバンドに五十嵐君がいたんですが、彼が自分のアルバムを作る時、僕に『これ、やっていい?』と言って。彼の演奏は僕の解釈とは全く異なる録音で興味深かったですね。オーケストラ名義の録音物は残っていなかったので、今作で初録音となりました」

 ──五十嵐さんのバージョンはジャズバラッドっぽい感じで。一方、今回はボッサ寄りのゴージャズなアップデートで。

「そうですね。こういうサウンドはアンサンブル能力に長けている方々じゃないとなかなか出せない。ある意味ブラジル音楽では定番のウッドウィンズを上手く使ったアンサンブルを作りたかったので、今回のようにスタジオでのレコーディング的なことをライブでも出来る皆さんだから成立させることが出来た。当時から加筆した部分もかなりありました」

 ──先程、メロディに関してはあまりジャズの影響を受けていないといったお話もありましたが、この曲のメロディには初期のマイルス・デイヴィスでありギル・エヴァンスっぽい感じがありますね。

「そうかもしれない。そもそも村田陽一オーケストラというのは新宿ピットインがマイルス・デイヴィスの没後に作った、ライブハウスマターのバンドだったこともあって。たしかに僕自身、ギル・エヴァンスへの追悼の気持ちが色濃く出た曲でした」


M6.「Double Clutch」

 ──6曲目の「Double Clutch」は、村田陽一オーケストラによる2009年のアルバム『コンポジション』に収録されていたナンバーです。これは楽器の応酬が気持ち良いですね。

「初めて自分で原盤権を持って村田陽一オーケストラでレコーディングをする際、前日に書いた曲でしたね。今回はトロンボーンやサックスがメロディを担当していますが、あくまでもアディショナルで伴奏が付いてくるという、ビッグバンド全体が引っ張っていく感じじゃない演奏にしたかった。実際、そうなってよかったと思います」

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M7.「Crawling Forward」

 ──アルバムのタイトルチューンでもある7曲目の「Crawling Forward」は今回が初録音です。これはいつ頃に書かれた曲でしょうか?

「たしか4、5年前。『HOOK UP』用に書きました。高円寺のJIROKICHIで、ライヴのリハーサルの時にドラムの佐野(康夫)かベースの小松(秀行)かどちらかに、『これってミリタリースカだよね?』と言われて、そういう類のビートがあることを初めて知って。『つまり匍匐前進っぽいってことか』と、そのままタイトルにしました。ビッグバンドでやるには珍しいビートの曲なので面白そうだなって」

 ──このアルバムの制作の動機にコロナは関係ないというお話しでしたが、一方で「俺らミュージシャンはコロナ禍でも音楽を続けるぜ」というメッセージを感じさせるアルバムタイトルでもあるようにも感じ取れました。

「そうですね。匍匐前進ながらも、一つ一つ、楔を打つようにしっかりと活動していきたいという思いは込めていますね」


M8.「JANEIRO」

 ──8曲目「JANEIRO」はアルバム『Janeiro』のタイトルチューンですが、これは「別の曲かな?」というくらい装い新たなアレンジになって。

「はい。サウンドも厚みを増して、ブラスだけのアンサンブルとか『Janeiro』時には入っていなかった要素も足しています。自分でもこの曲から感じますが、僕は曲のなかに全然違う要素を急にボコっと入れるとか、例えばイントロだけ全然違うといった作り方をほとんどしないんですね。基本は同じメロディと同じフォームを繰り返し応用している。管楽器だけのアカペラっぽい場面も、実は主旋律と尺は全く一緒ですね。ハーモニーが乗っかったメロディを基に、その変奏というかバリエーションからまた更にメロディを作っている。全てを交換するのではなく、必ずどこかのパートのバリエーションとなっていて、要所要所で細かく印象を操作している。そこに自分のジャズ好き、クラシック好きが表れているというか。ある意味、様式美的な作り方が好きなのだと思います」 


M9.「Vast Continent」

 ──9曲目「Vast Continent」は『コンポジション』のナンバーですが、元々の構造から非常にビッグバンド映えする曲ですね。

「ありがとうございます。村田陽一オーケストラではもっと混沌としていましたね。結構アフリカンな曲だし、パーカッショニストがもっとたくさんいたら更に面白くなるのかもしれませんね。今回のビッグバンドは、ベースとパーカッションはオーケストラと同じメンバーで、ドラム、ピアノ、ギター、リードトランペットが違うのですが、そこも反映されていると思います。オーケストラはトランペットが二人なので、ホーン“セクション”という考え方はしていないのですが、ビッグバンドは四人いるので。リードトランペットの西村浩二君がどっしりとした音を吹いてくれています」

 ──西村さんは体格もどっしりとされています。

「それがサウンドにも反映されている。音像がどっしり、はっきりとしていてね」

 ──それこそ西村さん然り、トランペットの菅波雅彦さん然り、バリトンサックスの山本拓夫さん然り、メンバーにはもう長年のお付き合いの方々も多いですね。

「長いですよ。『SOLID BRASS』の頃には既によく一緒にやっていましたから、もう35年ぐらいになるのかな?」

 ──するとプレイヤーとしての特性はもちろん、パーソナルな部分も互いによく理解し合っている?

「分かりますよ。こういうスコア書いたら機嫌が悪くなるだろうなあとか(苦笑)。いつも一緒に仕事をしている同士って、その関係だからこその危険も孕んでいて。ここで上手くいかないと、他の現場での関係性も悪くなる場合だってあるじゃないですか。でもビッグバンドのリーダー役って、正直に言うとポイントはそこしかないと思うんです。ビッグバンドだけでビジネスが成り立つような時代じゃないし、だからこそ集まってくれるメンバーは、互いの関係性とか『こういう音楽が好きだから』という理由で参加してくれているんです。そこであまり気持ちの良くない思いや、あまりにキツくて理不尽な演奏なんてさせてしまったら、とてもじゃないけど成立させられない。互いに嫌な気持ちになりたくないし、させたくもない。そこは演奏する側と仕切る側の両方を経験して自分なりに学びました。でもそんなバランスが分かってきたのも5年前くらいでしたね。それ以前は無駄な気負いも多かったような気がします」

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M10.「VITORIA」

 ──ラストを飾る「VITORIA」は初録音です。

「15、6年前に作った曲です。実は今回のアルバムを出す前に、過去作で言うと『Tapestry』に近い、私的な作風のソロアルバムを出そうとしていたんです。『Janeiro』の時に参加してくれたレオナルド・アムエドというギタリストがいまして。彼はウルグアイ出身・LA在住で、スティングとかクリス・ボッティのところで弾いているんですが、二人でリモートを駆使して昔のブラジルっぽい曲を録っていたんです。そんな流れもあってこの曲を引っ張り出してみたら、『これ、絶対、渡辺貞夫さんだ』と思って」

 ──渡辺貞夫さんとのお付き合いはどのくらいになりますか?

「27〜28年くらいでしょうか。ビッグバンドは途中ブランクもありましたが、近年、また良い関係を築かせて頂いています。去年の秋、貞夫さんのビッグバンドのライブがあったので。リハの際、『貞夫さん、厚かましいお願いですが、僕の曲を1曲やってくれませんか』と頼んで。そうしたら快諾を頂けて。次の打ち合わせの時、僕は当初4拍子で書いていたんですが、『ブラジルなら4分の2拍子だろ?』とご自身で書き直されて。メロディも『こっちのほうがいいんじゃない?』と手を入れられて。すると面白いものでちゃんと渡辺貞夫サウンドになるんですよ(笑)」

 ──おお。

「今作に収録したのは、僕が書いた方の最初のバージョンですね。こっちはこっちで残しておきたいという気持ちもあったので。実はこの曲にはあともう一つバージョンがあって。自分が打ち込みで作ったトラックに、4月にリモートで山木秀夫さんがドラムを叩いてくれたバージョンがあるんです。曲のタイトルのVITORIAはブラジルの街の名前で、その時に山木さんが命名してくれました。ちなみに貞夫さんにも同じタイトルの曲があったんですが、ご本人は全く覚えていませんでした(笑)」

 ──親交のあるアーティストが自分の書いたメロディを演奏してくれる。そこにはやはり格別の醍醐味があるのでは?

「おっしゃる通りです。『Janeiro』におけるイヴァン・リンスも椎名林檎さんもそうでしたが、今回もその喜びを再確認しました。活動は自分なりのペースとスケールですが、一方でやはり自分の書いたメロディは大切にしたいし、少しでも多くの人に聴いてもらいたい。だからそう簡単に、前の曲を捨てて新しい曲を書こうという気持ちが湧かないというか。そこは僕がアーカイブにこだわる理由でもあるんです。書いた当時より今のほうがピンと来る曲もあるし、そのためにも楽譜を残しておいてよかった」

 ──ありがとうございました。これにてアルバム全曲についてお伺いしました。最後に、村田陽一ビッグバンドについて今後のプランがあればお聞かせください。

「おかげさまで前作今作と2枚のアルバムを形に出来たので、村田陽一ビッグバンドのアルバムはひとまず小休止させて、今年から来年(2022年)にかけてのどこかのタイミングでソロ名義の新作をリリースしたいと考えています。『Janeiro』で一緒にやったレオナルドやウィルともリモートで録音が出来るし、良いアイデアがあれば国を跨いでどんどんトラックを作っていきたい。新たな出会いにも恵まれたらうれしいですね」

(了)

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