日本の内科診療所における危険な飲酒、アルコール依存症疑いの有病率に関する論文
伴 信太郎. アルコール関連障害に関するプライマリ・ケア多施設協同研究. 日本医事新報. (通号 3945) 1999.12.04,p.37~43.
この研究は、18の診療所、1388人の外来患者さんから得たAUDITの結果を用いて危険な飲酒、アルコール依存症疑いの有病割合を調査したものです。
その結果、22%(95%信頼区間:20%–24%)の方が危険な飲酒をしているか、アルコール依存症が疑われることが明らかになりました。
また、AUDITスコアが上がるにつれ、飲酒習慣を改善しようという意識も高くなることがわかりました。
一方、スコアが8~14点の危険な飲酒レベルの方のうち、過去1年間に医師を含む他者から飲酒について心配されたと報告したのはわずか22%(95%信頼区間:16%~28%)で、女性においてはわずか11%でした。
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受理原稿
雑誌掲載ページ
アルコール依存症の入院治療を精神科医療機関で行っていると、開業医や総合病院からの紹介が年々増えているのを感じますが、紹介された時点で、身体合併症が精神科医療機関の限界を超えて重症であることが頻繁にあります・・・。
例えば、アルコール性肝硬変は、断酒していれば肝機能が維持される代償期なら受け入れ可能ですが、断酒していても肝機能が低下し、肝不全となるリスクがある非代償期は厳しいです。しかし、非代償期であっても、肝不全になっていないと、総合病院の内科では入院不要とされます。
家族や本人が希望しても、内科にも精神科にも入院できないという状況になってしまうのです。
そのならないためには、もっと身体合併症が軽度のうちに繋ぐのが良いわけで、そのために、内科医療機関に受療している方に対して、短時間で実施可能で効果的な介入手法の開発がなされてきましたが、開発も普及もいまだ途上です。
内科、総合診療科、開業医、産業医の方々に参考となる書籍をあげておきます。