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【ゲームレビュー】バロック▲シンドローム

あらすじ
その年は若者の自殺が急増していた。いずれも不可解な理由によるもので、あるコメンテーターはこう述べる。「彼ら自殺者の妄想は、荒唐無稽なようでいて、不気味なほど生理的で圧倒される説得力がある。 バロックだ。」以降、動機不明の犯罪はバロック型との呼称が広まっていった。
主人公の金沢キツネは、そうしたバロックに侵された人間に対して、報酬を対価に相手が望むバロックを作成する「バロック屋」のひとりである。そのキツネの元に、バロックの少年・文が訪ねてくる。いつも通りバロックを作成するキツネだったが、文は強い不満を示し、キツネに一枚のディスクを渡して去る。「これを聞けば世界が変わる」そう、キツネに言い残して。

セガサターンとPSで発売された、ダンジョン探索型アクションゲーム「バロック」の前日譚となるノベルゲームがスマホ版で登場。
私は去年PSアーカイブスでバロックをプレイしており、その独特の世界観にどハマりして以来大ファンです。そのシリーズがスマホで出来ると聞き、やらいでかァ!!と喜び勇んでDLしました。……バロック本編もスマホで出来る?いやあれは…(目を逸らす)(そもそもデベロッパーがアップデートしていないのでできない)

良かったところ

テキストでも変わらないバロックの世界
この世界はひと言で言い表せないのですが、とにかく謎が多いです。感覚球、異形、天使……数々のキーワードが出てくるのですがそれに対する明確な答えは出てきません。まさに「考えるな、感じろ」というような世界。そこが人によってハマるポイントだと思います。ノベルゲームになってもその空気は変わらずで、舞台が現代日本になっても独特の世界を維持しています。主人公キツネが理知的で冷静にことに当たる点も良かったです。

気軽に楽しめるバロック
ストーリー自体は短いですが、5つあるEDによってオチが全然違うし提示される情報も違うので、周回が苦ではなかったです。また移植に伴いバックログ、中断再開機能、スキップ等がついたとのことで、気軽にバロックを楽しめるようになりました。設定的にバロックが気軽になっちゃうとなんかアレですけどね!

逆に良くなかったところ

当然ながら前作をやっていないと意味不明
今作は、前作の設定の掘り下げという意味が強いかなと思いました。舞台は全く違いますが、同じ設定を違う形でアプローチしたのが今作かなと。なので当然前作をやっていないと分からない概念は多いと思うのですが、問題なのは、前作がSSとPS、PSアーカイブスでもPS3かPSP、リメイクはPS2とWii(を元にしたスマホ版)と現行機種では遊べないということです。しかもリメイクは評判がよろしくなく……せめて前作をなんらかの形で遊べるようにしたあとで出した方が良かったのではと思いました。しかし据え置きで出すのは難しいとも分かるので強くは言えないのですが……。

全体的なボリューム不足
一周が短く遊びやすいので周回が楽なのですが、その分初回のプレイの展開の早さについて行けないこともしばしばで。これでEDの種類がたくさんあったり、分岐が多ければ納得ですが、EDは5つで展開が途中まで同じものもあり、分岐は基本的に即死トラップであったりなど、もう少し盛って欲しかったなぁというのが正直なところです。

総括

前作の雰囲気をそのままテキストに起こし、設定等より深く掘り下げてくれた作品でした。バロックの世界が好きな方にはぜひオススメしたいです。
繰り返しになりますが、前作プレイ前提の作品なので、現在では間口が非常に狭いと思われます。しかしこれをプレイしようという人に新規さんがいるのかと言われれば……なので、まあ、良いのか?という気もします。
怪作との呼び声高いシリーズですがハマる人はとことんハマる作品でもあるので、これをキッカケにシリーズ展開とかしたらいいなぁ!!……というのが私のバロックです。よろしくお願いします。

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