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『校内居場所カフェスタッフ養成講座 基礎対応編』 感想文

「基礎知識編」への感想がことのほか喜んでいただけたので、今回も書いてみたいと思います。(転載・引用ご自由に)

演出家の演出ノートを見るようだ

関係性や場づくりについての心得帖なのであるが、4K、8Kの解像度で見るかのよう。声なき声、芽を吹く前の、種の動き。
P2~3で下線を引いた単語は
「戸惑い」「さり気なく観察」「過ごしやすそうな場所」「気持ちが開いているように感じたら」「素っ気ない」「擦り合わせ」「傍観者」「歯痒い」「生徒の好奇心が動き」
全部、実在が確認できぬ何か。(この後のページでも、声なき声のサインを表す表現に延々、線を引いた)

この能力を高めるとは、演劇ワークショップの、感受性トレーニングか。俳優が同じ言葉を何通りにも表現するように、「きもい・うざい・やばい(P39)」を何通りにも聞き分ける能力。P12~13では、五感を発揮することが大切とある。

支援対象者の語彙力・言語能力に依拠した面談スタイルでは拾いきれぬ、なにかを拾う力。

主人公を定めぬ群像劇

生徒はどんな若者たちなのか、多くを語らぬが本書。校内カフェをわかってもらおうと、TV番組や漫画にするなら、視点人物(主人公)を定めねばならぬし、どんな人物にするか、どう描くのか、演出で現実とは違う色がついちゃう。
それは共感を得るには大切だけど、本書は安易な理解を拒む。その分、「もうすでに奥歯に物が挟まったような文章になってきてしまいました…(はじめに)」。

既成の物語になぞらえない分、ボランティアもどんな気持ちできたらよいのか。確かに、語ると長くなる。心得帖で1冊かかる。

でも本書のそれがいい。
資金調達にはわかりやすい弱者像が役立つんだろうけど、それで取りこぼしてきた何かがある。
ボランティアを集めるにも、わかりやすいキラキラモデルが役立つんだろうけど、それをしない意義がある。

生徒たちの友達関係、恋人同士の”イチャイチャ”。スタッフはそんな群像劇の、フレームであり、劇場小道具。そんなスタッフへの演出ノートが本書。

「ソーシャルワーク」の前奏曲

校内カフェはソーシャルワークの入口、という位置づけ。そういえば、まだその話題が出てませんね。この後はどう展開指定のか、次作で取り上げられるとうれしいです。

校内カフェを考えると、思い出す映画

えーと、私のジャニーズ趣味前回なんですが。イノッチが演じる主人公が、石井さんのイメージとよく重なります。

「声なき声」の表現 抜き書き


以下、自分の備忘録に、抜き書きしておきます。
(P4)促してくれるのを待っている、「しょうがねえなあ~」と渋々入ってくれる、他愛のないことで声をかけて来る、支援臭のしない、見渡せる、(P5)食べ物のおいしそうな匂い、引き寄せられる生徒、
(P6)駆け引き、誘い言葉、「これ美味しいから食べてみなよ」「それどうなってるの?」、聞き捨てならない
(P7)上手に負けてあげる、”貸し”を使って、やんわりと「しつけ」、ハニカミ、私たちの役に立ちたがってるようです
(P8)勇気がなくて
(P10)茶飲み文化
(P12)嗅覚、触覚、聴覚、穿った見方、忌憚なく
(P13)「なんか変」、3年かけて行うような、ゆったりとしたタイム感
(P14) 非常に幼い印象、笑いのツボも独特、突出して不器用
(P15) お目こぼし、地元トーク、このグループの中でだけ天然キャラとして成立、「あいつは違うから」的な教員
(P16) 関係が積み重なってく手応え、ふと寂しそう、心ここにあらず
(P20) 守らない生徒多数、許容範囲が違うという曖昧な感じ、試し行動
(P21) どの口が言ってるんだ
(P28) 他者からの視線を気にしている、友人たちの前で恥をかかせてはならない
(P30)常になにかをやってもらうことはないかと考える習慣
(P32) 一声かけることは抑止になる、気をそらす
(P34)居場所の住人としての責任を果たしたい、”あしらい”
(P37) 「待ち」と「荒技」、「場の力」
(P38) カモフラージュされて見えなくなった援助希求、「いや、別に…」
(P42) 実際に起きたことと、それに対しての反応が不釣り合い
(P51) ケロっと気が変わる
(P52)なんとなく引き延ばし作戦
(P54)感じる違和感、心配するべき発言




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