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出星前夜【読書メモ】

島原の乱に至るプロセスとリアルな戦況をつぶさに描く読み応えある小説。

勧善懲悪の空気でストーリーは進むが、会社勤めをしていると「大企業病」を患う悪側の幕藩体制のほうにも3割くらいはシンパシーを感じてしまう。

「五十石お米をサポートしてあげる」って言った舌の根も乾かぬうちに「それやっぱ今年の年貢に上乗せして返してね、よろ」とぬかす藩のブレブレな意思決定や、原城攻略時に各藩の独断専行をまったくまとめきれず挙句の果てに自分が討たれちゃうという幕府官吏のグダグダ感。

渦中にいれば人間どんな行動をとるかわかったもんじゃない。特に組織という構造の中に組み込まれているなら尚更。それぞれのちょっとした決断が想像を絶する結果を引き起こす…心がザワつく内容であった。

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