伝える、はプレゼント。004

わかりやすく伝えるには相手目線を持ちましょう。

…というのは当たり前ですし、今さら文章化してくどくど伝える内容ではないかもしれません。

しかし、「わかる」と「できる」は大きく異なるものです。

そしてそれ以前の「わかる」すら大多数の人ができていないのが実情です。

以前、製造業のお取引先とさらにそのお取引先を混じえた、交流のための宴会に参加したことがありました。

そこで30代くらいの人がこんなことを話してきました。

「最近の若い連中は、本当に気が利かないんですよ。もっとこっちのすることを察して動かないといけないのに、全然ダメ。先生、どうやったらいちいち言わなくても動かないようになるんですかね。」

念のため、これは60代の方ではなく30代の方です。細かい言い回しは忘れてしまいましたが、ほぼこのような趣旨のことを言っていました。

私はこの方が明らかに「伝える」ことをしていないのだろうな、と言葉の端々から感じました。何も伝えていないのに「察して」「考えて」動け、というのはエスパーでなければ不可能です。ところがこの方はいわゆる「空気を読む」ことができない若手が悪い、というところから話がスタートしていました。

宴会の席であり私も議論するつもりはないので、こんな風に話を切り出しました。

「そうですね…、部下の方が察して動けないんですね。私は基本的に、『伝わったかどうかは、伝える側に100%責任がある』と思っているんですよ。」

するとこの方は「部下の察しが悪い話をしているのに、なぜ伝えるうんぬんの話になっているんだ??」と怪訝な表情に変わってしまいました。宴席であり、私もそれ以上の話はできそうにない、とやめてしまいました。(このときの私の「伝え方」が悪い、と言われたらそれまでですが…)

この方は「察して動けない」部下が100%悪いという発想であり、「自分がどう伝えれば動くか」という発想ではないようでした。おそらくこの方も20代の頃、なんとか上司の心を「察して」動こうと努力したため、それができない今の新人はけしからん、という心情になっているのだと思われます。

前回もお話ししたように、「伝わる」とは、こちらと相手の双方で成り立ちます。よくキャッチボールにたとえられますが、こちらが完璧なボールを投げたと思っていても、相手にとっては不満であればそれは伝わったとは言えません。

だからこそ相手目線、すなわち
『私が』どう伝えれば、相手に伝わるか
ではなく、
『相手が』理解しやすい伝え方とは何か(それを私が実行する)
と主客を逆転させなければなりません。

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