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BONのコンセプトについて

僕らにとって5年ぶりの新しい施設になる「DENIM HOUSE BON」。築90年以上の古民家を改装してつくった、1日1組のための“泊まれるデニム屋”。構想から1年半。ついに完成するこの宿を前に、BONにまつわるいくつかの思い出を、しばらく時間をかけて振り返ろうと思う。

コンセプトを明快に語るのは難しい。だからまずは、BONのサイトに掲載している文章を見ていただきたい。

ここはいつも気候おだやかな瀬戸内のとある街。

海をのぞむ景色がそばにある、一棟貸しの宿BON.

気の置けない仲間と集う場所。

一晩の暮らしのために私たちはやってきた。

静けさに耳を傾け、夕暮れの中でまどろみ、

月夜は、にぎやかな食卓を囲む。

肌と心で感じるこの土地らしさ

一つひとつを、きちんと味わう。

いまこの時とつながりを確かめ合う。

嬉しいね、
楽しいね、
美味しいね、

分かち合える仲間がいる喜びを。
皿を分け合うごとに、深まっていく関係を。

ああ、こんな永い夜は久しぶりだ。

これからも大切にしたい、そう思える人とともに。

BONという名前の元になっているのは、漢字の「盆」だ。“皿”を“分”けると書いて、盆。日本にはお盆という風習があり、死者を弔う行事としてずっと続いている。

宿の名前を検討している中で、たまたま盆という漢字が浮かび、これは!と思った。皿を分けるという行為が持つ繋がりの意識、温かさは、自分だちが宿に込めたい思いのイメージとしてピッタリだった。

30歳を過ぎて、大切な人たちと食卓を囲むことが、何気ないようでとても尊いことなんだと思うようになった。特別なことじゃないのに、なかなかできなくて、たまに集まれた時に「ああそうだ、これが幸せなんだ」とじんわり感じる。

4人くらいで集まって、料理をする人がいたり、音楽をかける人がいたり、何もしなくて座ってる人がいたり、うろうろしてる人がいたり、各々が各々の役割でもって、みんなでその場の空気をつくって共有している時間がとても愛しくてかけがえのないものだと強く強く思う。

僕と同じように、もしかしたらそんなことこそ大事だと思ってくれたなら、旅の際にはぜひBONに来ていただけたら嬉しい。

旅行での泊まり先において数多ある選択肢の中で、一棟貸しを選ぶとき。それは、私たちが私たちで旅することを本当に大切にしているときなんじゃないかと思う。このメンバーだからこそ意味があって、この関係性だからこそ想いがあって、旅を楽しみたいと心から期待している。

その思いにBONとして応えたいし、応えるために家と体験をしつらえた。人と場所と時が重なって成り立つ心地よいひとときを、ぜひBONでじっくり味わってほしいのだ。

続く。