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追沼くん

僕らにとって5年ぶりの新しい施設になる「DENIM HOUSE BON」。築90年以上の古民家を改装してつくった、1日1組のための“泊まれるデニム屋”。構想から1年半。ついに完成するこの宿を前に、BONにまつわるいくつかの思い出を、しばらく時間をかけて振り返ろうと思う。

BONの設計は「OF THE BOX inc.」の追沼翼さんが手がけている。彼とこういった形でご一緒するのは初めてだが、付き合いは古く、出会いはお互い学生時代、2017年のこと。

宮城出身で当時山形の大学生だった追沼くんは、すでに様々な形で活躍しており、活動の一つとして池袋東口の活性に携わっていた。その一環として開かれていたマーケットイベントに僕らが出店者で参加したのがきっかけで初対面を果たしている。

翌2018年、キャンピングカーで47都道府県を巡る旅に出ていた時、追沼くんが山形で迎え入れてくれたことで再会を果たす。大学院生になった彼は引き続き活躍の幅を広げており、「PARAKING JACK」という駐車場を活用したイベントに僕らを呼んでくれたのだ。

2018夏キャンピングカー47都道府県の旅−山形編−

1年3ヶ月の旅の中で最も灼熱だったと言っても過言でない真夏の山形の洗礼を受け、駐車場でキャンピングカーを停めデニムを販売させてもらった。余談だがこの頃はこうしたストリートスタイルの販売機会がとても多く、今では考えられないほどいろんな場所に出店していた。この時の経験が今も自分を支えている。

そこから5年の間は、追沼くんが仕事で岡山に来た際にfloatを訪れてくれたりなど、不定期の交流を続けていた。分野は違うが学生時代に事業を始めて継続しているという同じ境遇もあって、常に親近感はあり、いつかは彼に仕事をお願いしたいと考えていた。

2023年春、追沼くんに岡野邸を見てもらい、一緒に宿をつくっていくことが決まった。建築設計の中でも古民家リノベーションを得意とする彼の知識と経験によって、BONの骨子は固まっていき、スムーズにプランを立てることができた。

実際に工事が始まったのは2023年10月。そこからもたびたび岡山に来てくれ、工事の進捗状況の確認にとどまらず、僕らと一緒に自主施工(主に壁、床塗り、インテリアの組み立て)を行ってくれた。

ベッドサイズの確認

年末年始も挟み、たくさんの時間を共有した追沼くんと僕ら。BONが完成することで一緒に居られなくなったのは残念だが、ITONAMIの今後でまた必ずお願いしたいと考えている。

BONができるまで心地良くずっと伴走してくれた彼は、建築関係の仕事の他、山形市でコーヒー屋「Day & Coffee」を営んでいたり、「日非 yamagata」で山形の観光情報を発信していたりなどする。

尊敬する人と力を尽くし合えることは、出来上がったものを特別にしてくれる。それが同世代であればいっそう嬉しいし、こうしてますます愛着の湧いてくるBONを大切に大切にしていきたい。

続く。