「ウクレレ好き100の質問」 #011~#020
最初のあいさつ
どうも、麻生洋平です。
よかった。とりあえず10個の質問に答えることができました。
ヤギさんたちも喜んでいます。
僕は今、「ウクレレ好き100の質問」と題して、TwitterやInstagramなど各種SNSにて、ウクレレや音楽にまつわる質問やご相談を受け付けています。
そちらで集めた質問をこのnoteでまとめていきたいと思います。
とはいえまだ10個、100個までは長い道のりです。
今回は11から20までの質問です。
まだまだ大募集中です。よろしくお願いいたします。
ウクレレプレイヤー&講師のサイトウユウキさんにも助けてもらいながら、
楽しく回答できればと思います!
#011 2023/12/25
人と一緒に弾くこと
サイトウユウキさん、ご質問ありがとうございます!
2/17(日)、阿佐ヶ谷でのイベント共演よろしくお願いします。
さて、僕が人とセッションする時に大事にしているのは、相手の音を聴くこと、そして自分の居場所を探すことです。
人と演奏するのは会話だと思っています。楽しい会話にするために、相手の言葉をしっかり聞き、相槌を打ち、必要ならば質問します。
話している相手が心地よく話せる状況、そしてその会話を発展させられるか、さらに面白い話にできるかを考えます。
もちろんライブ演奏ではお客さんもいるので、お客さんが楽しんでくれる会話になるようにも注力します。
最終的に、一緒に演奏した相手が輝き、お客さんが喜ぶ、そんな状況を作るのが、僕は好きですね。
みんなが輝けば、僕も輝いて見える。
全員が輝けば、その音楽は素晴らしいものになる。
そういったイメージで演奏しています。
最後に今一番心がけている、大事に思っていることは、何も弾かないことです。
不必要な時に音を出さない。
意外と一番難しいことかもしれませんね。
思い切って黙ってみる。
そうすると違う視点が開けるのかも。
サイトウさんと演奏するのが楽しみです。
麻生洋平
#012 2023/12/25
伴奏弾きを発展させる
ドラゴンズ馬鹿日本一のドラキチ社長さん、2度目まして!
ご質問ありがとうございます。
歌の合間にギターやピアノなどが合いの手を入れるフレーズ、聞いたことありますか?
あれをオブリガードと言います。
歌に対しての別の旋律を弾くのですが、それを取り入れると良いですね。
「よいしょ!」
「そーれ!」
などの合いの手を入れる人をカラオケなどで見かけると思うのですが、
それこそがオブリガードですね。
合間合間に歌い手が気持ちよくなる合いの手を入れましょう。
もう一つのポイントですが、歌とウクレレの伴奏だからシンプルな編成。
だからウクレレはずっとコードを弾いて、ストロークでジャカジャカしてないといけない!というのは間違いです。
単音でオブリガードを弾く。
リズムが安定して入れば、それだけで十分に音楽は成り立ちます。
思い切ってコードを弾くのをやめて見ましょう。
マリーナ・ショウのFeel Like Making Loveの
デイビッド・T・ウォーカーとラリー・カールトンのギターを聞いてみてください。
音楽のスペース、無音、発展の仕方、盛り上げ方。
2人の名ギタリストがどう音楽のスペースを使っているか、お互いの居場所を見つけているかに注目して聞いてみてください。
今、その音楽を聞きながら、この文章を書いているのですが、
少なく見積もっても最高ですね。
気持ち良い!
麻生洋平
#013 2023/12/26
時間がなくて練習できない
あめさん、2度目まして!
ご質問ありがとうございます。
仕事をしたり普通に生活していると、毎日楽器を弾くことは難しいですよね。
実は個人で活動しているミュージシャンも、練習をしている暇がない人が多いです。
でも考え方を少し変えるだけで、いつでもどこでも練習ができます。
そういった練習方法はいくつもあるのですが、その中で一番効果的だったものを紹介します。
それは「すべてのものにリズムを感じる。」です。
例えば電車の揺れを「1、2、3、4」と4拍子でカウントしてみる。
カフェで流れている音楽のリズムをカウントする。
リズムとは1、2、3、4などの繰り返される周期です。
三拍子なら1、2、3の繰り返し。二拍子なら1、2の繰り返し。
世の中の全ての事象に周期を見つける。
見つけたらそれを繰り返す。
それの発展形として、僕はよく歩くときにリズムを感じて歩いていました。
頭の中に今練習している音楽や好きな曲を流して、
右足を出して、1、左足で、2、また右足で3、左足で4。
あとはその繰り返しです。
慣れてくるとそこに裏拍を感じるようにします。
右足を出して、左足に移る動作の時に足に力を入れて上体を持ち上げる。
右足と左足の動作に移る間にも裏拍のリズムを感じます。
「1&2&3&4&」の&の時にリズムを感じ、体を伸ばす感じです。
ちょうど黒人の人たちの歩き方のように上体が伸びる、しなやかな動きを目指してください。
あるいはラッパーのようなワルな感じの歩き方。
そういう風に歩いていると、リズムを感じる能力がどんどん伸びます。
そしてリズムに乗ることが当たり前になります。
そしてリズムに乗った人から出る音はどれもカッコ良いものになります。
ただし弊害として、歩き方が目立つ変な人になります。
白い目で見られる可能性がぐんと上がります。
友達も減るかもしれません。
くれぐれもお気をつけを。
麻生洋平
#014 2023/12/26
アンサンブルのポイント
杉本竜馬さま、ご質問ありがとうございます!
僕がアンサンブルの際に気をつけているのは、全体としてのまとまりです。
バンドのメンバーのすべての音がしっかり聞こえること。
調和がとれていること。
全体が音楽として機能していること。
演奏前に特に何も決めず、ヘッドアレンジで弾く場合は、
演奏中に周りの音を聞いて自分の立ち位置を決めます。
弾くよりも聞くことの方を重視する。
思い切って何も弾かないことも大事ですね。
話し上手と呼ばれる人と実際会って見ると、
相槌を打つのがうまい聞き上手な人の方が多い気がします。
逆に自分の話を頑張ってしてしまう人は
話し下手と言われる傾向が多いような気がしますね。
無駄な音は弾かず、周りの音をしっかり聞いて、
ここぞという時にきらりと光るフレーズを弾く。
そんな音楽家になりたいです。
アンサンブルの際は自分の演奏よりも、音楽ファースト。
それが一番大事な気がします。
麻生洋平
ご質問ありがとうございます。
アンサンブルの時に気をつけていることは
・呼吸が揃っている
・調和が取れている
・相手の音をよく聴く
三つ書いてみましたが、実際は独立している
訳ではなく、バランスよく織り成す
そんなイメージですね。
一人の時とは違い二人、もしくはそれ以上
複数人で演奏するとなると呼吸が揃っている
ことがとても大切です。
常に「同じタイミングで息継ぎしてね」
とかそういった話ではないのですが…
演奏には呼吸がありそこが感知出来ていると
自然とリズムが噛み合ったり
自然と演奏の熱量が噛み合ったり
所謂一体感というものが生まれてきます。
そして…調和
これって色々なニュアンスを含んでいます。
具体的には
・音量のバランス
・フレーズの内容
・リズムの体幹
・演奏の熱量 etc.
色々ありますがこういったものが
独りよがりだと馴染んでこないのですね。
これが次に繋がってきますが…
相手の音をよく聴く
これって人と演奏する時に必要なマナーです。
で…ボーッと聴いていてはダメですよ!笑
しっかりと心から相手の音に耳を傾けて。
アンサンブルは音での会話です。
会話だったら話のテーマがあります。
例えばラーメンの話をしていて、
うどんの話が返ってきても困ります。
※話の切り替えのタイミングなら有りですが
テーマに沿ってワクワクしてみたり
「げっ、マジ?」ってなってみたり
そんな風に“展開”をしていきます。
ですので相手の音をよく聴き
理解し尊重し…
アンサンブルを展開していく。
そんな演奏をしていると更には
見ている人まで楽しくなったり。
“その日その場所で出逢えたその人とだから
生まれる音楽を創ること”
これが一番のポイントかも知れません。
サイトウユウキ
#015 2023/12/26
自然の中で演奏する
ちなつさん、ありがとうございます!
屋外での演奏気持ちが良いですよね。
自然の中での演奏はいつもと違って素晴らしいものになる、
と言いたいところです。
しかし撮影となると、カメラの設定や音の調整など色々大変で、
実はあたふたしているうちに撮影が終わってしまいます。
終わった後にようやく自然や風景を楽しめます。
思い出に残っている場所は、石垣島の猫島です。
海辺で撮影の準備をしていたら、猫が1匹よってきて、
絶妙な距離でくつろぎ始めました。
僕が演奏を始めても、猫は何も気にせず、
伸びをしながら自由に過ごしていました。
音楽も人も猫も自然も、全てが並列に存在していて、
誰もお互いを気にせず、邪魔せず、ただそばにいる。
気持ちの良い空間でしたね。
麻生洋平
ご質問ありがとうございます。
屋外で自然の中で演奏するのはとても気持ちが
良いですよね!
演奏するときの気持ちですが…
“自然とセッションをしている”
そんな気持ちです。
陽の光、風の音、空の眼差し
大地の鼓動 etc.
感じるものが沢山ありますよね。
地球上で生きる一つの生命として
「ご一緒しても良いですか?」
そんなイメージで音を奏でると
なんだか気持ちよく迎えいれて頂ける
気がします。
少し話は逸れますが、僕は作曲する際に
自然界の中からインスピレーションを得て
作曲します。
自分の人生とは比べ物にならない永き時間を
重ねてきた自然界の姿はとても美しく荘厳で
とても感動するのです。
そうそう!
自然界のみならず建造物を伴う美しい景観
というところで、鎌倉や京都が想い出深いので
それを描いた曲なども作っていきたいですね。
サイトウユウキ
#016 2023/12/27
緊張との付き合い方
へいさん、2度目まして。ご質問ありがとうございます!
大前提として、僕は緊張します。
ライブの日は朝起きた時から少しいつもと違ったりします。
落とさない歯ブラシを落としてしまったり、水道を閉め忘れたり。
なんだか心がそわそわします。
ですので、緊張は必ずするものだ、と思っています。
緊張にも、良い緊張と悪い緊張の2種類があります。
良い緊張は集中力を高め、今ここ、に全力を尽くすことができます。
悪い緊張は意識が散漫になり、演奏中も早く演奏を終わりたい、ここから逃げ出してしまいたいと思います。
僕もどちらも経験しました。
絶対に感じる緊張を、悪い緊張にせず、どうやったら良い緊張にできるのか。
色々考えました。
僕なりの解決方法はただ一つ。
「自分は今、緊張しているなあ。」
と意識することです。
例えば歯ブラシを落としたら、「今緊張して、体の動きがいつもと違って安定していないから、物を落とすんだ、意識して落とさないようにしよう。」と思います。
「水を閉め忘れるのは、注意力が散漫になっているんだ、しっかり指差し確認しよう。」
ライブで演奏する段階になったら、まずは環境を整えます。
なるべくいつもと同じ姿勢で、同じ視点で、いつものように弾く。
立つ場合は右足が前だった?座る時は足組んでた?
普段の自分がどうだったかを意識します。
そしてなるべくゆっくりのテンポで演奏するよう心がけます。
緊張すると心臓の鼓動が速くなっているので、いつもより早いテンポで演奏をスタートしてしまいがちです。
クリックがあれば事前にいつものテンポを聞いておきましょう。
そして全てが整ったら、今ここに集中して、演奏します。
お客さんのことも、何も気にしなくて良いです。音楽に集中しましょう。
「次のCパート、難しいんだよな。」「MC何喋ろう。」「さっきの音失敗した!」などと
ちょっと先や、ちょっと前のことを考えるのではなく、自分が弾いている「今ここ」に集中しましょう。
音楽に集中していると、頭の中に言葉は出てきません。
そこにあるのは音とイメージだけです。
同時にこうも思います。
「失敗しても死ぬわけではない。気楽にやろう。」
全てが整っても、失敗する時もあります。
何が失敗だったのかを考えて、次の演奏までに直していく。
そうすればどんどんよくなっていくはずです。
僕は自分にそう言い聞かせてます。
麻生洋平
#017 2023/12/28
曲を身体に染み込ませる
Saeさん、ご質問ありがとうございます!
自分が楽器そのものになる、いつでも目指しています。
まだ道半ばですが自由に音楽が奏でられたらどんなに良いだろう、と思って練習してます。
1曲にかける時間は曲によってまちまちですが、以前ライブ前に演奏する曲を100回弾こう、と思ったことがあります。
自分がステージに立っている感覚を持って、集中して100回。
一応回数をメモつけていましたが、50回も行かなかった気がします。
それでも本番では集中した良い演奏になりました。
そしてレッスンの際に生徒さんにも伝えているのですが、曲を覚えてからが本番です。
暗譜して弾けるようになったら、ようやくスタート地点。
そこからその曲を磨いていく永遠の旅が始まります。
僕が自分の中に染み込んだな、と思う曲は、
Isn‘t She LovelyとClose to youです。
Isn‘t She Lovelyは20代前半から弾いています。ギターなら何のキーでも弾けるし、アドリブも寝てても取れます。ボサノバ、ラテン、ファンク、どんなビートでも大丈夫です。
でもまだその音楽を良くする余地は無限に広がっています。
ウクレレソロのClose to youは同じアレンジですが、どんな状態でも弾けると思います。
いくら間違っても建て直せる。そういう腹の底で腑に落ちた感覚のあるアレンジです。
長いこと音楽をやってきましたが、そういう風に言えるのは2曲しかありません。
ライブプレイヤーで無かった弊害かもしれません。
でも一生付き合っていく曲が数曲あるだけでも、幸せなことのような気がしますね。
麻生洋平
ご質問ありがとうございます。
歌うように…そして楽器と一体感のある演奏に
感じて頂けて嬉しいです。
これはとても大切にしているポイントです。
実際に歌うとなると“息継ぎ”があるように
演奏にも“息継ぎ”が必要です。
息継ぎを感じない演奏は指先だけ動いている
ようで体との一体感も希薄な印象を与えて
しまいますね。
ソロなら実際にメロディを歌いながら弾くこと
伴奏なら歌の呼吸に寄り添う“伴奏の呼吸”を
知ること。
そんな日々の積み重ねが演奏に反映されるまで
相当な時間、そして人前での演奏経験が必要な
イメージです。
ですので、僕は一生かけて磨き続けよう…
そんな風に想っております。
あとは、曲単位での弾き込みについてですね!
僕の場合ですと、これまでの音楽人生の中で
好きでずーっと弾いている曲が数曲あります。
それに加えてライブレパートリーとなるような暗譜している曲が10程度
※その都度入れ替わります
そしてセッションでやるようなレパートリーとして20~30曲程度
※ギターの時は50~60曲程度ありました
そうなると現在50曲位の曲を隙間時間に少しずつ同時進行で練習しているような感じです。
曲単位で弾き込むというよりも
音楽を深めるというイメージで日々少しずつ
学び演奏に落とし込めるようにしています。
ですのでこれもゴールはなく人の人間関係
のようにその曲とお付き合いしているときは
関係が深まるよう弾き込むし、そうでない時は
関わりがなくなったり…
そんな移り変わりを楽しみながら結局一生
かけて弾き込むのでしょうね。
サイトウユウキ
#018 2023/12/29
高速ストロークについて
高速ストローク、確かに疲れますよね。
僕は自分のアレンジには大変なので取り入れないのですが、Jake Shimabukuroさんのアレンジを教えることもあるので、高速ストロークの練習はしました。
もちろん意識は脱力、そして手についた水を払うように弾くことは大事です。
そして弦に対して、指を浅く当てることも大事です。
ホールの上ではなく、指板の上でストロークするようにすると、浅くあてる癖がつくと思います。
さてここまでは初心者向けのアドバイスです。
そう言ったことは全部試した。それでも上手く弾けない、という方向けへのアドバイスをしたいと思います。アドバイスは2つあります。
まず1つ目のアドバイス。
「完全な脱力は存在しない。」です。
日々、重力に耐えている体は、寝ている間も完全に休まることはありません。
脱力を求めるのであれば、無重力空間に行くか、死海でぷかぷか浮くしかありません。
それでも完全なる脱力は存在しないでしょう。
つまり楽器演奏とは本来疲れるものです。
ですので目指すのは、「疲れなくなる。」ではなく、「すぐ疲れないようにする。」あるいは「疲れにくくする。」です。
疲れにくくする一つの方法は筋トレです。
ですが、僕は筋トレを続けられる根性がないので、これは割愛します。
筋肉について相談したい場合は、ぜひお近くのスポーツジムに行って相談してみてください。
それでは筋肉がなく、それでも疲れにくくするためにはどうしたら良いでしょう?
ここで2つ目のアドバイスです。
「人間は本来楽をしたい生き物だ。」
どういうことか。
僕は近くのスーパーでレジの列に並んでいる時、レジを打っている店員さんを眺めます。
ベテランの店員さんは無駄な動きがなく、列はあっという間になくなっていきます。
新人の店員さんは一生懸命頑張って動くのですが、無駄な動きが多すぎて、列は一向になくなりません。
ベテランの店員さんは長く働いているから技術が上がったのか、それともその人のみが持つ特殊な方法があるのか。
もちろんそういったこともあるでしょうが、基本的には繰り返すことで無駄な動きを削いでいった、というのが正解でしょう。
新人さんのように頑張って動いていると、毎日疲れ果ててしまう。
なので長く働いていると、頭で考えなくても、身体がどんどん無駄を削いで楽をしようとしていきます。
例えば自分の歩き方を見てみましょう。
モデルのようにキビキビ歩いているでしょうか。
いいえ。あれは意識と訓練の賜物です。
人はあんな風には歩きません。もっと楽に疲れないように歩くはずです。
頭で考えなくても、体は無意識で楽な方法を求めるはずです。
さてウクレレ演奏に戻ってきましょう。
高速ストロークをしますね。
だんだん疲れてきます。それでも繰り返していると、体は楽な方向に逃げようとするはずです。ずっと弾いていると、自分の体にあった楽な動きを体が求めてきます。
そこに注目しましょう。
体が楽を求めた時、自分の手の動きがどうなっているか、確認してみましょう。そこに自分のストロークのヒントが隠れているはずです。
自分の身体の声を聞きましょう。
僕は自分の体の声を聞いた結果、高速ストロークはやらないということになりました(笑)
ぜひトライしてみてください。
麻生洋平
#019 2023/12/29
LIVEのセットリスト、MCについて
Madokaさん、ご質問ありがとうございます!
LIVEのセトリ、曲順、セットリストのことですね。
自分のライブの時には決めません。その時の空気感を大事にして、その場所、雰囲気にあった曲を弾くようにしています。
でも最初の曲ぐらいは決めておきます。
自分のその時のコンディション(緊張の具合や、手の動き、自分の体の状態)を確認するために、弾き慣れた曲を弾きます。
そしてそのコンディションを確認して体の動きを微調整していきます。
周りのメンバーや会場でセットリストが必要な場合は話し合って決めます。
その際は、どんなライブになるのか想像して組むのですが、予想した通りの流れ、空気感になったことがないので、セットリストの中に余白の部分や変更できる部分を作っておきます。そしてその日の流れで現場対応して、より良いものにしていきます。
僕が目指すのは、
来てくれたお客さんが満足して、また来たいと思ってくれること。
共演した人が楽しかった、また一緒に演奏したい、と思ってくれること。
会場のスタッフが、またイベントしてほしい、と思ってもらうこと。
それら全てが叶うことを目指して、演奏しています。
なかなか、難しいですが。
MCは僕も悩んでいました。
でもある時、後輩のギタリストに聞いた話で、もう悩まなくなりました。
それはこういった話です。
後輩の男の子は大阪から出てきて、路上ライブや対バンライブで活動していました。
そういった活動のなか、元19の岡平健治さんに出会い、岡林さん主催のイベントにギター弾き語りで出演することができました。
大阪から出てきた彼は、得意のトークで会場のお客さんをどんどん沸かせて、歌を歌いギターを弾き、大満足でステージを降りたそうです。
ライブの後、岡平健治さんが、彼に言ったそうです。
「MCでどんどんウケなくて良い。僕らはお笑い芸人ではないんだ。」
「音楽で人を感動させないと。」
彼のMCはすごく受けていたのですが、肝心の音楽がお客さんにあまり届かなかったようです。MCで大ウケしていた彼はそこに気づいていなかった。
その話を聞いて以来、僕は MCなんてどうでも良い、と思っています。
もちろん人を傷つけたり、ネガティブな言葉は言わないようにはしていますが、気の利いたことなんて言わなくても大丈夫です。
音楽に集中して演奏する。技術が高かろうが低かろうが関係なく、一生懸命やる姿に人は感動するのだと思います。
僕もいつかMCなしのライブで、お客さんを満足させられるようになりたいと思っています。
麻生洋平
#020 2023/12/29
演奏するとき下を向いてしまう
mamiさん、ご質問ありがとうございます!
人前で演奏されているとのこと、素敵です!
さて、指板を見ないと弾けない人には、「目を瞑って演奏する方法」と「寝ながら演奏する方法」を教えているのですが、普段は指板から目を離して弾けるのですね。
それは単純にお客さんの方に顔を向けられないということでしょうか。
そうするとお客さんを見ると緊張する、ということが考えられます。
そうだとしたらおすすめは2つです。
1つ目は馬鹿馬鹿しく聞こえるかもしれませんが、サングラスをかける、です。
大事なのはお客さんから、自分の目が見えないくらい濃いサングラスをかける、ということです。
1枚色付きのグラスを挟むだけで、びっくりするぐらい周りの現実味が消えます。
自分と他人との間に1枚ベールが挟まることによって、安心感を得られます。
意外と人の目が気にならなくなります。なぜならこちらが見ていることに向こうは気づかないからです。
騙されたと思って試してみてください。
2つ目はライブハウスに出演する、です。
これはちょっとハードルが高いかもしれませんが、ライブハウスは暗く、照明が強く当たるので、演奏中お客さんの顔がほぼほぼ見えません。
MC中はもちろん見ることはできますが。
おそらくmamiさんは店内が明るくて、お客さんの顔をしっかり見えてしまうところで演奏しているのではないでしょうか。それだったら誰だって緊張します。
でもライブハウスだと照明のおかげで演奏に集中できます。
ぜひ機会があればお試しください。
さて楽しそうに、かっこよく弾くためにはどうしたら良いか。
僕はステージでも自然体でいること、が良いと思っています。
そもそもウクレレ演奏は楽しいですよね。家で弾いている時は楽しんでいるはずです。
でもステージだと楽しめない。緊張してしまう。
それは考えないといけないことがいっぱいあるからですね。
前に緊張についての質問でも答えましたが、ステージの環境をなるべく自分が普段いる時と同じにすることが大事です。
椅子の高さ、譜面の位置、いつもの体制で弾けるようにする。
サウンドチェック中、なるべくステージ上に長くいて、その場所に慣れる。
そこから見える景色に慣れる。
まるで自分の家にいるかのような環境をステージ上に作る。
そうすれば自然体で弾けるようになると思います。
僕の敬愛するTuck&Pattiという夫婦のボーカル&ギターデュオは、ブルーノート東京のライブの最初ににこやかに笑って、「ウェルカム トゥ ブルーノート」と言います。いらっしゃい、と歓迎してくれます。
そして、まるで友人に言うかのように「How are you today?」「Good Day?」と聞いてきます。
自分の家にみんなを招待したかのような、自然な言い方と笑顔です。
お客さんはそれを観て安心します。素敵なショーが始まるんだと。
ステージで自然に笑って、自然に演奏する姿は美しいはずです。
ぜひやってみてください。
麻生洋平