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学歴フィルターはわからないけど、面接官に学歴バイアスはあるかも。

前回に続いて、就活の面接官の経験について書いてみます。

少し前に、マイナビの学歴フィルター疑いのニュースが出てました。私が就職活動を行った20世紀末は、学歴フィルターどころか、大学別採用のコースがありました。1次面接は普通に受けて、2次面接から大学別というところが多かった記憶があります。

そして、新卒で入った会社では、2年目になると大学別リクルーターをやりました。でも、その翌年から大学別採用はなくなりました。

その後、約20年の間、何度も新卒採用の面接官をやってきました。他社はどうか知りませんが、21世紀になって、学歴=大学名で露骨な格差は、昔ほどなくなった印象を持ってます。

では、「現在、世に言う学歴フィルターがあるのかどうか」です。これは採用担当の人事ではない私にはわかりません。

でも、学歴フィルターがあろうがなかろうが、面接官個人としては、学歴バイアスを持っている可能性はあります。なぜかと言うと、私にそのバイアスがある自覚があるからです。

新卒採用の面接官の学歴バイアスの事例として、私のバイアスを紹介します。面接官の頭の中がどうなっているのかという点で、就職活動する学生の方の参考にでもなれば、嬉しいです。

学歴バイアスとは

アンコンシャス・バイアスの一種です。「男性はこうだ」、「大阪の人はこうだ」とかのように、「〇〇大学の学生や卒業生はこうだ」という先入観のことです。

採用面接や部下の評価にあたり、私はこうしたバイアスについての研修を、一通り受けています。バイアスを減らす努力もしています。また、面接の合否判断は学歴と関係ない基準で決めています。

でも、同じ大学の学生の面接を何度も繰り返すと、学歴(学校名)に対するバイアスが形成されてしまいます。

このバイアスは20年前と今で、そんなに違いはないです。おそらく、時代を超えた絶対的なものでなく、時代ごとの学校間の相対的な傾向差がなぜか似ていて、その傾向差が学歴バイアスになるのだろうと思います。

以下は、そうした経験に基づく、私の学歴バイアスの内容です。業種は電機メーカーとITソリューション会社です。いわゆる大手企業です。首都圏勤務のため、バイアスは関東の大学に対するものになります。

当然ですが、極めて主観的なものです。また、業界が違うと、志望する学生の傾向も違うはずなので、真逆のケースもあるかもしれません。

私が面接官をやる際の学歴バイアス

①東大

私の勤め先には、それほど応募がないのが東大です。20人面接して1人いるかどうかくらいのレア度です。でも、出身大学ということもあり、人事から学生対応を色々と頼まれて、それなりの数の就活中の東大生に合ってきました。

では、電機メーカーやITソリューション会社を志望する東大生はどんな感じかというと、この業界の仕事に対して、その人なりの思い入れがある学生が多かったです。内定が出た後に、他社に逃げられた学生は、ほぼ全員が同業他社を選んだ記憶があります。

また、就活中の東大生は、就活に没頭している感じはなく、焦りも少なく、余裕をもって面接に臨んでいた印象です。やりたい仕事もよく考えています。

これまでの経験の延長に、志望する仕事がある感じで、自分なりのストーリーを語れる学生が多かったです

自然体で就活を行っていて、入社後の活躍が期待できそうな優秀な学生が多いのが、当社の面接を受けてくれる東大生でした。さらにレア度は高いけど、一橋の学生も近い感じでした。

②早稲田・慶応

この2つの大学の学生は、面接官を1日やれば、数人は面接します。就職活動に頑張って努力している学生が多かった印象です。志望動機なども、きちんと答えてくれます。面接慣れもしている。外れは少ない感じでした。

でも、「本当にこの業界でその仕事をやりたいのか」となると、その熱量が怪しいのがこの2つ大学という印象が残ってます。併願先を聞くと、幅広く色々な業界を受けており、そこから自分に合った企業を選ぼうとしている学生が多かったと思います。

一定レベルをクリアしているけど、やりたい仕事の軸が先にあるのではなく、数をこなして、入りたい会社を探している学生が多いというのが、早稲田と慶應に対する私のバイアスです。

ちなみに、勤め先に応募してくる学生だと、女性の方が男性よりも優秀(入社後の活躍が期待できそう)なのも、この2つ大学の特徴でした。これは学歴バイアス×ジェンダーバイアスの組み合わせかな。

③GMARCH

私の勤め先だと、応募者のボリュームゾーン。個別大学だとバラけるけど、グルーピングすると、2次面接や最終面接で一番多かったのが、このグループ。

で、面接で似たような話を聞くのが、これらの大学。ほぼ全ての学生が、サークルかゼミかバイトのリーダーをやっている感じです。

早稲田や慶応と同じくらい、就活は頑張ってる印象は受けます。でも、何かが足りない。就活の定石通りに努力した結果、逆に大事なところを外してしまった学生が多い感じでした。

ただ、面白いことに、複数の面接官の評価をすり合わせる時に、満場一致で全員がトップ評価している学生がいたりするのも、GMARCHでした。東大や早稲田・慶應よりも、仕事で活躍できそうな感じがする学生がいたりしました。

こうした経験から、「玉石混合で、学校名よりも個人を見るべき大学」という逆説的な学歴バイアスが入るのがGMARCHです。

④東大以外の国公立大学

1日面接官をやると、ポツポツといるのが国公立大学の学生。関東エリアが中心だったので、都立大、横浜国立大、筑波大とか。

でも、ほとんど印象が残っていないのが、こうした国公立大学です。なぜかはわかりません。優秀な学生もいたし、今ひとつな学生もいたのだろうと思います。でも、大学名で違いがほとんどなかったような感じがします。

その意味では、大学名は認識するけど、バイアスがないのが国公立大のグループです。私立大だけど、上智・ICU・東京理科大もこのグループに近い感じです。

⑤日東駒専以下

マイナビの学歴フィルターのニュースに出たのは「大東亜以下」でした。でも、私のバイアスは「日東駒専以下」かな、と思います。要は①〜④以外です。

1日に面接する学生の半分くらいがこの区分です。大学名があまりにも多岐に渡るので、大学名をほぼ認識してないのが実情です。日東駒専も大東亜帝国もそれ以外も全部同じです。

そんな過半を占めるこれらの大学の学生は、正解を探してパターン反応する学生が非常に多いという印象です。

面接の想定質問に対する回答を事前に作成して、丸暗記して、その通りに答えようとする傾向が強いです。志望動機も一夜漬けで作った感じで、思い入れが乏しいものが多い感じでした。

こうした学生との面接は、対話にはなりません。読み上げ発表を聞く感じになります。そうなると、仕事で活躍してくれそうな印象が薄くなります。結果、合理的に不合格になります。

もちろん、このタイプの学生は、他の区分にも存在します。でも、数が多い中で比率が高いので、「丸暗記の読み上げ発表で不合格」という印象(バイアス)が、強く残るのがこのグループです。

ただ、こうした大学から応募してくれる学生の中にも、仕事で活躍できそうな優秀な学生も当然います。最終面接まで残る学生になると、他の大学の学生と遜色ないです。

逆に、そうした優秀な学生を面接して、エントリーシートの学校名を改めて見ると、「学校名と優秀さは、やっぱり関係ないよなぁ」と印象に残ります。

「大半の学生は合理的に不合格、優秀な学生がいると逆に目に付く」のが、こうした大学の学生に対して、私が持っているバイアスです。

入社した後も学歴バイアスは続くのか?

続きません。一緒に仕事する人に対して、学歴バイアスはないです。そもそも、同僚の学歴を知る機会は少ないです。部下の学歴は経歴書で目にすることもありますが、それ以外は雑談で話題に出て知るくらいです。

一方、これまでの部下は、高卒・短大卒・高専卒・大卒・院卒など色々いました。大卒・院卒は、上記①〜⑤の全ていました。でも、仕事の成果と学歴はほぼ関係なかったです。

もちろん、個人ごとに業務内容に対する向き不向きがあります。それを認識した上で、できる限り向いている仕事にアサインして、元気に活躍してもらえるようにするのが、管理職の仕事です。仕事のアサインの際に、学歴は基準にもバイアスにもなりません。適材適所があるのみです。

まとめ

何度も書いていますが、私の勤め先では、学校名は採用面接の合否判断には影響しません。とはいえ、同じ大学の学生に何度も会っている面接官の頭の中には、学歴バイアスが形成されている可能性があります。

少なくとも、面接官としての私には学歴バイアスがあり、それは上記のような内容になります。面接にあたり、バイアスを最大限排除する努力はしますが、思考パターン・行動パターンに一定の影響は与えていると思います。

たぶん、これは他の会社の面接官でも同じことが言えるだろうと思います。ベテラン面接官ほどバイアスが形成されている可能性が高いはずです。ただ、バイアスの内容は、業界と面接官によって違うと思います。

これから就活の面接に臨む学生の方は、面接官の頭の中に学歴バイアスが存在する可能性を理解してもらえればと思います。そして、そのバイアスを超えた対応を行ってもらえると良いと思います。この記事が何らの参考になると、嬉しいです。

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