2022年 鹿児島大学 前期 理(化/生)他 大問6

大小2個のサイコロを同時に投げる. 大きいサイコロの出る目を十の位, 小さいサイコロの出る目を一の位としてできる2桁の数を$${X}$$とし, 小さいサイコロの出る目を十の位, 大きいサイコロの出る目を一の位としてできる2桁の数を$${Y}$$とする.
(1) 確率$${P(X-Y\gt{0})}$$を求めよ.
(2) 確率変数$${X}$$の期待値$${E(X)}$$と分散$${V(X)}$$を求めよ.
(3) 確率変数$${X-Y}$$の標準偏差$${\sigma(X-Y)}$$を求めよ.

解答
(1)
大きいサイコロの目を$${L}$$, 小さいサイコロの目を$${S}$$とする.
$${L,S}$$は$${1}$$以上$${6}$$以下の整数である.
このとき, $${X=10L+S, Y=10S+L}$$となる.
$${L=S}$$のとき$${X=Y}$$であるから, $${X-Y\gt{0}}$$, すなわち$${X\gt{Y}}$$となるのは, $${L\gt{S}}$$の場合である.
この条件を満たすのは, 各$${L}$$に対して$${L-1}$$通りであるから, 合計で15通りである.
すべての組み合わせは$${6^2=36}$$通りであるから, 求める確率は
$${P(X-Y\gt{0})=\frac{15}{36}=\dfrac{5}{12}}$$である.

(2)
各出目の出る確率はすべて同様に確からしいから, 期待値$${E(X)}$$は, $${X}$$の総和を$${36}$$で割ったものに等しい.
ここで, $${x_i}$$を$${X}$$としてとる値, $${\sum}$$を総和として表すと
$${\sum{x_i}=\sum_{L-1}^{6}\lbrace{\sum_{S=1}^6(10L+S)}\rbrace}$$
$${=\sum_{L=1}^{6}(60L+21)}$$
$${=60\times{21}+6\times{21}}$$
$${=6\times{21}\times{11}}$$
よって, $${E(X)=\frac{6\times{3}\times{7}\times{11}}{36}=\dfrac{77}{2}}$$である.

また, これは平均$${\bar{X}}$$を求める式と等しいから, $${\bar{X}=\frac{77}{2}}$$
よって, $${V(X)=\frac{\sum(x_i-\frac{77}{2})^2}{36}}$$
ここで, $${\sum(x_i-\frac{77}{2})^2}$$について,
$${\sum(x_i-\frac{77}{2})^2=\sum({x_i}^2-77\sum{x_i}+(\frac{77}{2})^2)=\sum{x_i}^2-77\sum{x_i}+\sum(\frac{77}{2})^2}$$であり,
$${\sum(\frac{77}{2})^2=36\times{(\frac{77}{2})^2}=9\times{77^2}}$$
$${77\sum{x_i}=77(6\times{21}\times{11})=77^2\times{9}\times{2}}$$
$${\sum{x_i}^2=\sum_{L=1}^6\lbrace{\sum_{S=1}^{6}(100L^2+20LS+S^2)}\rbrace}$$
$${=\sum_{L=1}^{6}(600L^2+20L\times{21}+7\times{13})}$$
$${=600\times{7}\times{13}+21\times{20}\times{21}+6\times{7}\times{13}}$$
$${=6\times{7}\times{13}\times{(100+1)}+6\times{7}\times{10}\times{21}}$$
$${=6\times{7}\times(1313+210)}$$
$${=6\times{7}\times{1523}}$$
ゆえに, $${\sum(x_i-\frac{77}{2})^2=6\times{7}\times{1523}-77^2\times{9}\times{2}+ 9\times{77^2}}$$
$${=6\times{7}\times{1523}-77^2\times{9}\times{(2-1)}}$$
$${=3\times{7}\times(2\times{1523}-3\times{7}\times{11^2})}$$
$${=3\times{7}\times{(3046-2541)}}$$
$${=3\times{7}\times{505}}$$
したがって, $${V(X)=\frac{3\times{7}\times{505}}{36}=\dfrac{3535}{12}}$$である.

(3)
$${X-Y=(10L+S)-(10S+L)=9L-9S=9(L-S)}$$
ここで, $${L-S}$$について考えると
$${L=1}$$のとき, $${L-S=0,-1,-2,-3,-4,-5}$$
$${L=2}$$のとき, $${L-S=1,0,-1,-2,-3,-4}$$
$${L=3}$$のとき, $${L-S=2,1,0,-1,-2,-3}$$
$${L=4}$$のとき, $${L-S=3,2,1,0,-1,-2}$$
$${L=5}$$のとき, $${L-S=4,3,2,1,0,-1}$$
$${L=6}$$のとき, $${L-S=5,4,3,2,1,0}$$
だから, 平均は$${0}$$であり, 分散は
$${V(L-S)=\frac{55+31+19+19+31+55}{36}=\frac{210}{36}}$$
$${X-Y}$$は$${L-S}$$の各値をそれぞれ$${9}$$倍しているから, 二乗和はそれぞれ$${9^2}$$していることに注意すると
$${V(X-Y)=\frac{9^2\times{210}}{36}}$$となる.
よって, 求める標準偏差は
$${\sigma(X-Y)=\sqrt{\frac{9^2\times{210}}{36}}=\frac{9\sqrt{210}}{6}=\dfrac{3\sqrt{210}}{2}}$$である.

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