2022年 公立はこだて未来大学 前期 大問4

自然数$${n}$$に対して, 整式$${f_n(x)}$$を次の条件によって定める.
 $${f_1(x)=1,f_2(x)=x,f_n(x)=xf_{n-1}(x)-f_{n-2}(x)\space(n=1,2,3,\dots)}$$
以下の問いに答えよ.
(1) $${f_5(x)}$$を2つの2次式の積の形に因数分解せよ. また, $${f_5(x)=0}$$を解け.
(2) $${0\lt{\theta}\lt{\pi}}$$のとき, $${f_n(2\cos{\theta})=\dfrac{\sin{n\theta}}{\sin{\theta}} (n=1,2,3,\dots)}$$であることを証明せよ.
(3) $${n\ge{2}}$$のとき, 方程式$${f_n(x)=0}$$のすべての解を, $${n}$$と三角関数を用いて表せ.

解答
(1)
$${f_3(x)=x^2-1}$$
$${f_4(x)=x(x^2-1)-x=x^3-2x}$$
$${f_5(x)=x(x^3-2x)-(x^2-1)=x^4-3x^2+1}$$
ここで, $${x^4-3x^2+1=x^4-2x^2+1-x^2=(x^2-1)^2-x^2}$$より,
$${f_5(x)=(x^2+x-1)(x^2-x-1)}$$と因数分解できる.
また, $${f_5(x)=0}$$は$${x^2+x-1=0}$$または$${x^2-x-1=0}$$だから,
$${x^2+x-1=0}$$より$${x=\frac{-1\pm{\sqrt{5}}}{2}}$$
$${x^2-x-1=0}$$より$${x=\frac{1\pm{\sqrt{5}}}{2}}$$
以上より, 求める解は$${x=\dfrac{-1\pm{\sqrt{5}}}{2}, \dfrac{1\pm{\sqrt{5}}}{2}}$$

(2)
数学的帰納法を用いる
(i) $${n=1}$$のとき
$${f_1(2\cos{\theta})=1}$$で, $${\frac{\sin{\theta}}{\sin{\theta}}=1}$$より成り立つ.
(ii) $${n=2}$$のとき
$${f_2(2\cos{\theta})=2\cos{\theta}}$$で, $${\frac{\sin{2\theta}}{\sin{\theta}}=2\cos{\theta}}$$より成り立つ
(iii) $${n=k}$$のとき$${f_k(2\cos{\theta})=\frac{\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}, n=k+1}$$のとき$${f_{k+1}(2\cos{\theta})=\frac{\sin{(k+1)\theta}}{\sin{\theta}}}$$が成り立つと仮定する.
$${f_n(x)}$$の定義より,
$${f_{k+2}(2\cos{\theta})=2\cos{\theta}f_{k+1}(2\cos{\theta})-f_k(2\cos{\theta})}$$
仮定より,
$${f_{k+2}(2\cos{\theta})=2\cos{\theta}\frac{\sin(k+1)\theta}{\sin{\theta}}-\frac{\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}}$$
$${=\frac{\sin{\{\theta+(k+1)\theta\}}-\sin{\{\theta-(k+1)\theta\}}}{\sin{\theta}}-\frac{\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}}$$
$${=\frac{\sin(k+2)\theta-\sin{-k\theta}}{\sin{\theta}}-\frac{\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}}$$
$${=\frac{\sin{(k+2)\theta}+\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}-\frac{\sin{k\theta}}{\sin{\theta}}}$$
$${=\frac{\sin(k+2)\theta}{\sin{\theta}}}$$
より, $${k+2}$$のときも成り立つ
(i),(ii),(iii)より, すべての自然数$${n}$$について, $${f_n(2\cos{\theta})=\dfrac{\sin{n\theta}}{\sin{\theta}}}$$が成り立つ.

(3)
$${x=2\cos{\theta} (0\lt{\theta}\lt{\pi})}$$とおくと, (2)より
$${f_n(x)=f_n(2\cos{\theta})=\frac{\sin{n\theta}}{\sin{\theta}}}$$
$${0\lt{\theta}\lt{\pi}}$$より$${\sin{\theta}\not=0}$$だから,
$${f_n(2\cos{\theta})=0}$$は$${\sin{n\theta}=0}$$となる.
ここで, $${0\lt{n\theta}\lt{n\pi}}$$だから, $${1}$$以上$${n-1}$$以下の整数$${k}$$を用いて,
$${n\theta=k\pi}$$, すなわち$${\theta=\frac{k}{n}\pi}$$である.
関数$${y=2\cos{\theta}}$$は$${0\lt{\theta}\lt{\pi}}$$で単調減少ゆえ,
$${\cos{\frac{k}{n}\pi}}$$は相異なる$${n-1}$$個の実数である.
よって, $${f_n(2\cos{\theta})=0}$$は, 相異なる$${n-1}$$個の実数解
$${\theta=\frac{k}{n}\pi}$$をもつ.
一方, $${f_n(x)=xf_{n-1}(x)-f_{n-2}}$$で, $${f_1(x)}$$が$${0}$$次式, $${f_2(x)}$$が$${1}$$次式であることから,
$${f_n(x)}$$は$${n-1}$$次式となる.
ゆえに, $${f_n(x)=0}$$の実数解は最大で$${n-1}$$個である.
以上より, $${f_n(x)=0}$$の実数解は,
$${x=2\cos{\frac{k}{n}\pi} \space(k=1,2,3,\dots,n-1)}$$である.

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