2022年 公立はこだて未来大学 前期 大問3

$${a,b}$$は実数とする.
実数$${x}$$に対し, $${P(x)=\lbrace{\log_2(x^2+4)}\rbrace^2-2(a+b)\log_2(x^2+4)+2ab+4}$$とする.
以下の問いに答えよ.
(1) $${\log_2(x^2+4)}$$の最小値を求めよ. また, $${P(x)}$$の最小値を$${a}$$と$${b}$$を用いて表せ. ただし, いずれの場合もそれを満たす$${x}$$の値を求める必要はない.
(2) $${a=b=2}$$とする. このとき, $${P(x)=0}$$の実数解をすべて求めよ.
(3) 方程式$${P(x)=0}$$が相異なる4つの実数解をもつとき, 点$${(a,b)}$$が存在する領域を座標平面上に図示せよ.

解答
(1)
$${\log_2(x^2+4)}$$の底が$${1}$$より大きいから, 関数$${y=\log_2{x}}$$は単調増加である.
よって, $${x^2+4}$$の最小値を考えればよい.
この最小値は$${4}$$だから, 求める最小値は$${\log_2{4}=2}$$である.

$${\log_2(x^2+4)=t}$$とおく.
$${t}$$は$${t\gt{2}}$$を満たす実数である.
このとき, 与式は$${P(t)=t^2-2(a+b)t+2ab+4}$$と表せる.
この式を平方完成すると$${P(t)=\{t-(a+b)\}^2-(a+b)^2+2ab+4=\{t-(a+b)\}^2-a^2-b^2+4}$$となる.
$${t}$$が実数全体を動くとき頂点で最小値をとるが, いま$${t\gt{2}}$$であるから,
頂点を通る$${2\le{a+b}}$$のとき最小値$${-a^2-b^2+4}$$である.
また, 頂点を通らない$${a+b\lt{2}}$$のとき, 最小値をとるのは$${t=2}$$のときだから,
$${P(2)=4-4(a+b)+2ab+4=2ab-4a-4b+8}$$
以上より, 求める最小値は
$${a+b\ge{2}}$$のとき, 最小値$${-a^2-b^2+4}$$
$${a+b\lt{2}}$$の時, 最小値$${2ab-4a-4b+8}$$である.

(2)
$${a=b=2}$$のとき, 与式は
$${P(x)=\{\log_2(x^2+4)\}^2-8\log_2(x^2+4)+12}$$
$${=\{\log_2(x^2+4)-2\}\{\log_2(x^2+4)-6\}}$$
となるから, $${P(x)=0}$$は
$${\log_2(x^2+4)=2,6}$$より, $${x^2+4=4,64}$$, すなわち$${x^2=0,60}$$だから
$${\therefore x=0,\pm{2}\sqrt{15}}$$

(3)
$${\log_2(x^2+4)=t}$$とおいたとき, $${t}$$の値により
 $${t\lt{2}}$$のとき, 解なし
 $${t=2}$$のとき, 解は$${x=0}$$の1個のみ
 $${t\gt{2}}$$のとき, 2つの相異なる実数解$${x=\pm{\sqrt{2^t-4}}}$$をもつ.
また, $${2\lt{s,t}}$$をみたす実数$${s,t}$$に対して,
$${\pm{\sqrt{2^t-4}}=\pm{\sqrt{2^s-4}}}$$が成り立つ組が存在する場合は$${s=t}$$であるから,
$${P(x)=0}$$が相異なる4つの実数解をもつのは, $${t=\log_2(x^2+4)}$$とおいたときの$${P(t)=0}$$が, $${t\gt{2}}$$で相異なる2つの実数解をもつことと同等である.
$${P(t)=t^2-2(a+b)t+2ab+4=\{t-(a+b)\}^2-a^2-b^2+4}$$が$${t\gt{2}}$$で相異なる2つの実数解を持つのは,
・軸$${t=a+b\gt{2}}$$・・・①
・判別式$${\frac{D}{4}=(a+b)^2-(2ab+4)\gt{0}}$$・・・②
・$${t=2}$$における値$${P(2)=4-4(a+b)+2ab+4\gt{0}}$$・・・③
をすべて満たすときである.
①より, $${a+b\gt{2}}$$
これは, 直線$${b=-a+2}$$の上方である.
②より, $${a^2+b^2-4\gt{0} \Leftrightarrow a^2+b^2\gt{4}}$$
これは, 原点を中心とした半径$${2}$$の円の外側である.
③より, $${2ab-4a-4b+8\gt{0} \Leftrightarrow (a-2)(b-2)\gt{0}}$$
これは, 直線$${a=2,b=2}$$で区切られた領域の$${a\gt{2}}$$かつ$${b\gt{2}}$$を満たす部分, または$${a\lt{2}}$$かつ$${b\lt{2}}$$を満たす部分である.
以上を座標平面上に重ねると, 求める領域は下図の斜線部分となる.
ただし, 境界はすべて含まない.

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