2022年 山口大学 前期 共同獣医学 大問10

次の条件によって定まる数列$${\lbrace{a_n}\rbrace}$$がある.
 $${a_1=1,a_2=1,a_{n+2}=a_{n+1}+a_n}$$$${(n=1,2,3,\dots)}$$
次の問いに答えなさい.
(1) 漸化式$${a_{n+2}=a_{n+1}+a_n}$$を$${a_{n+2}-\alpha{a_{n+1}}=\beta(a_{n+1}-\alpha{a_n})}$$と変形したとき, 定数$${\alpha}$$と$${\beta}$$の値を求めなさい. ただし, $${\alpha\lt\beta}$$とする.
(2) $${b_n=a_{n+1}-\alpha{a_n} \space(n=1,2,3,\dots)}$$とおく. 数列$${\lbrace{b_n}\rbrace}$$の初項$${b_1}$$と一般項$${b_n}$$を求めなさい.
(3) 数列$${\lbrace{a_n}\rbrace}$$の一般項$${a_n}$$を求めなさい.

解答
(1)
$${a_{n+2}-\alpha{a_{n+1}}=\beta(a_{n+1}-\alpha{a_n})}$$を展開して整理すると
$${a_{n+2}=(\alpha+\beta)a_{n+1}-\alpha\beta{a_n}}$$となる.
これが$${a_{n+2}=a_{n+1}+a_n}$$と等しいから係数を比較して
$${\alpha+\beta=1, \alpha\beta=-1}$$を得る.
解と係数の関係から, これらは$${x}$$についての2次方程式$${x^2-x-1=0}$$の解であるから,
方程式の解$${x=\frac{1+\sqrt{5}}{2}}$$と$${\alpha\lt\beta}$$より
$${\alpha=\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}, \beta=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}}$$である.

(2)
$${b_1=a_2-\alpha{a_1}}$$だから
$${b_1=1-\frac{1-\sqrt{5}}{2}=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}}$$
また, (1)より数列$${\lbrace{a_{n+1}-\alpha{a_n}}\rbrace}$$, すなわち$${\lbrace{b_n}\rbrace}$$は公比$${\frac{1+\sqrt{5}}{2}}$$の等比数列であるから,
$${b_n=\frac{1+\sqrt{5}}{2}(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^{n-1}=\Big(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}\Big)^n}$$である.

(3)
(1)で求めた$${\alpha, \beta}$$について,
$${a_{n+2}=(\alpha+\beta)a_{n+1}-\alpha\beta{a_n}=a_{n+2}-\beta{a_{n+1}}=\alpha(a_{n+1}-\beta{a_n})}$$とも変形できるから,
(2)と同様に$${c_n=a_{n+1}-\beta{a_n}}$$とすると,
$${c_1=1-\frac{1+\sqrt{5}}{2}=\frac{1-\sqrt{5}}{2}}$$
$${c_n=\frac{1-\sqrt{5}}{2}(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^{n-1}=(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n}$$
を得る.
よって, (2)と合わせると
$${b_n-c_n=(\beta-\alpha)a_n}$$となるから
$${\sqrt{5}a_n=(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n}$$
$${\therefore a_n=\dfrac{\sqrt{5}}{5}\lbrace{(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\dfrac{1-\sqrt{5}}{2})^n}\rbrace}$$

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