2022年 横浜市立大学 前期 データサイエンス 大問1

以下の各問いに答えなさい.
(1) 自然数の集合
 $${A=\{n^5+1 | n=1,2,\dots,1000\}}$$
を考えるときに, この集合$${A}$$の要素であり, かつ$${3}$$の倍数となるものの個数を求めなさい.
(2) 複素数$${\alpha}$$を$${\alpha=\dfrac{-1+\sqrt{3}}{2}}$$とおくとき, $${{\alpha}^{18}+{\alpha}^6+{\alpha}^4+{\alpha}^2}$$の値を求めなさい.
(3) 円$${x^2+y^2-2x-4y=0}$$の中心を$${C}$$とおき, この円と直線$${y=x+2}$$の交点を$${A,B}$$とおくとき, 三角形$${ABC}$$の面積を求めなさい.
(4) 何人かで次のゲームを行うことにしました. 53枚のカードのうち, 1枚だけ「あたり」と書かれたカードを用意します. このカードをよく混ぜて, 1つの山に重ねて置きます. 次に, 参加者各自が1~6の目が出る公平なサイコロを1回だけ投げ, カードを見ないようにして出た目の数だけ山の上から順に取っていきます. なお, 一度取ったカードは再度山には戻さないこととします. このとき, 手にしたカードの中に「あたり」のカードが入っていたら, そのカードを取った参加者を勝者と決定してゲームは終了します. また, いずれの参加者も「あたり」のカードを取ることができなければ, このゲームは引き分けで終了するものとします.
参加者が6人のとき, このゲームが引き分けで終了する確率を求めなさい.

解答
(1)
以下合同式は$${mod 3}$$とする.
$${n\equiv{0,1,2}}$$のとき, それぞれ$${n^5\equiv{0,1,2}}$$だから,
$${n^5+1\equiv{0}}$$となるのは, $${n^5\equiv{2}}$$, すなわち$${n\equiv{2}}$$のときである.
このような$${n}$$で条件を満たすものは$${n=2,5,8,\dots,998}$$であり,
$${2=3\times{0}+2,998=3\times{332}+2}$$だから, その個数は$${333}$$個である.

(2)
$${\alpha}$$を極形式であらわすと,
$${\alpha=\cos{\frac{2}{3}\pi}+i\sin{\frac{2}{3}\pi}}$$だから,
$${{\alpha}^2=\cos{\frac{4}{3}\pi}+i\sin{\frac{4}{3}\pi}=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$$
$${{\alpha}^3=1}$$
となる. よって,
$${{\alpha}^{18}=1, {\alpha}^6=1, {\alpha}^4=\alpha}$$だから
$${{\alpha}^{18}+{\alpha}^6+{\alpha}^4+{\alpha}^2=1+1+(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2})+(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2})=1}$$

(3)
$${x^2+y^2-2x-4y=0 \Leftrightarrow (x-1)^2+(y-2)^2=5}$$だから,
$${C(1,2)}$$である.
この円と直線$${y=x+2}$$の共有点$${x}$$座標は,
$${x^2+(x+2)^2-2x-4(x+2)=0}$$
$${\Leftrightarrow 2x^2-2x-4=0}$$
$${\Leftrightarrow 2(x-2)(x+1)=0}$$
$${\therefore x=1,-2}$$
$${x=2}$$のとき, $${y=2+2=4}$$
$${x=-1}$$のとき, $${y=-1+2=1}$$
$${B,C}$$は三角形の頂点だから, $${B(2,4),C(-1,1)}$$としてよい.
ここで, 点$${C}$$が原点$${(0,0)}$$となるように各点を平行移動し, 移動後の点をそれぞれ$${A^{\prime},B^{\prime},C^{\prime}}$$とすると,
$${A^{\prime}(2,1),B^{\prime}(3,3),C^{\prime}(0,0)}$$となる.
各点を平行移動しているから, $${\triangle{ABC}}$$と$${\triangle{A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}}}$$の面積は等しいゆえ, $${\triangle{A^{\prime}B^{\prime}C^{\prime}}}$$の面積を考えればよい.
これは原点を含む3点からなる三角形だから, その面積を$${S}$$とすると
$${S=\frac{1}{2}|6-3|=\frac{3}{2}}$$
したがって, 求める面積は$${\dfrac{3}{2}}$$である.

(4)
ゲームが引き分けで終了するのは, $${(}$$6人の出た目の和$${)\lt(}$$あたりのカードが積まれている位置$${)}$$となるときである.
ここで, 6人の出た目の和を$${k}$$, あたりのカードが積まれている位置を$${l}$$とする.
ただし, $${k,l}$$は$${6\le{k}\le{36}, 1\le{l}\le{53}}$$を満たす整数である.
また, 6人の出た目が$${6}$$である確率を$${P(6)}$$のように表し, 求める確率を$${P}$$とすると,
$${P=P(6)\times{\frac{53-6}{53}}+P(7)\times{\frac{53-7}{53}}+\dots+P(36)\times{\frac{53-36}{53}}}$$
$${=\sum_{k=6}^{36} \{P(k)\frac{53-k}{53} \}}$$
$${=\sum_{k=6}^{36} \{P(k)-\frac{k}{53}P(k) \}}$$
$${=\sum_{k=6}^{36}P(k)-\frac{1}{53}\sum_{k=6}^{36}kP(k)}$$
ここで,
$${\sum_{k=6}^{36}P(k)}$$は, 6人の出た目の和について, 起こりうるすべての確率を足したものだから,
$${\sum_{k=6}^{36}P(k)=1}$$がいえる.
また, $${\sum_{k=6}^{36}kP(k)}$$は, 「6人の出た目の和$${\times}$$その確率」の総和だから, これは6人の出た目の和の期待値を表している.
期待値について, 「6人の出た目の和の期待値」は「6人の出た目の期待値の和」とできるから,
1人あたりの期待値を考えればよく, これは$${\frac{1+2+3+4+5+6}{6}=\frac{21}{6}}$$である.
よって, $${\sum_{k=6}^{36}kP(k)=6\times{\frac{21}{6}}=21}$$がいえる.
したがって, 求める確率は
$${P=1-\frac{21}{53}= \dfrac{32}{53}}$$である.

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