005「曾根崎心中」稽古場レポート①
みなさん、風邪ひいてないですか。どうも。臼杵です。
卒業制作だった004「わが町」の論文も提出し、大学を去る日が次第に近づいてくる今日この頃です。
さて、005「曾根崎心中」の稽古、着々と進んでいます。先日第一回通しを行いました。そして、私の信頼する演出家の一人であり、今回は演出助手として参加してくれている上野寿々に稽古場レポートを書いてもらいました。読み応えのあるレポートになっています。ぜひ、ご覧ください。
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ヨハクノート005「曾根崎心中」 稽古場レポート(2016.12.10)
2016年12月10日。この日北海道では空の便が止まるほどの大雪が降り、その寒波は東京まで届いていた。そのとき私たちは新宿区にいた。
私たちがいま、ここで何をしているかと言うと、臼杵遥志が主宰する演劇プロジェクト「ヨハクノート」の五回目に当たる公演の、第一回目の通し稽古である。
物語の舞台は1703年の大坂。季節は春ごろ。今日と違って、天候だけでなく気温にも恵まれた日であったろう。その夜、露天神の森で若い男女が情死した。日本史の授業で習った覚えがある方も多いのではないだろうか。
近松門左衛門の代表作「曾根崎心中」である。
<あらすじ>(ヨハクノート「曾根崎心中」 フライヤー裏面より)
「天満屋」に勤めるお初は心に決めた恋人である醤油問屋の手代・徳兵衛と添い遂げられる未来を願っていた。ある日徳兵衛は店の主人に提案された見合い話を断り、追い出されてしまう。そして親友である九平次との諍いにより財産を失ってしまう。金も居場所も失った徳兵衛はお初と共に逃亡を図る。
その先に待っている結末は果たして悲劇か、幸福か。
稽古場に来た俳優は、勝手知ったるという風に各々好きなように体を温める。一通りのアップゲームが終われば、台本の出番。演出家の指示を、ああでもないこうでもないと組み立てる。一幕返せば、言われずとも自分たちの弱点を反復し、練習を始める。
その舞台の真ん中で苛烈な心中を遂げて見せるのは、主人公・初を演じる森山景と、徳兵衛を演じる岡本セキユ。愛とは、死とは、相手とは、演劇的な見え方とは。徹底的に演出家の意図を逃さじとする森山の視線が熱い。その隣で、自身も演出家として演劇ユニットを率いる岡本が、独自の視点からモーションをかける。通しが始まるまで、二人は何度も何度も確認を続ける。台詞も。動作も。
長い年月、脈々と受け継がれた台詞たちだけがこの舞台の見どころではない。演出家・臼杵遥志は立教大学映像身体学科の現役生で、学内外で勉強を続けていただけあり、台詞やト書きの「余白」にも、点と点を繋ぐあやとりの糸のような、技巧を凝らした演出プランを次々と投じる。俳優たちはそのプランを、試行錯誤しながら自分たちに当てはめていく。
体を動かす表現技法、に関して殊自信ありげな笑みを浮かべるのは津田颯哉。たをやめのような肉体を駆使して、縦横無尽に舞台を駆ける。座組最年少の武村理子も、先輩俳優の思考や技巧に学ぶ反面、持ち前の存在感で他に引けをとらない。そこに割って入るのは、ひときわ大きく目立つ男、黒川知樹。何を考えているのか表情からは読み取りづらいが、ひとたび前に出るととんでもない。どうも憎めないキャラクターの持ち主だ。
五人ともが違った魅力を備えて、一つの舞台に臨む。そこに一刀ぶち込むような通し稽古が始まる。演出の妙に唸るシーンがあるかと思うと、俳優の茶目っ気に思わず声をあげて笑ってしまうシーンもあり。音響や衣装といった要素も、演出家の世界観が強く反映されている。土台は非常に強固だ。これから完成形を目指す俳優たちにとって、安心して自分の身を投じるにうってつけの地面ではないだろうか。この上で、この日本の真ん中で、俳優たちは、いま、恋の手本となる。
次回の通し稽古は一週間後。彼らがどのような進化を遂げているのか、とても楽しみだ。
(上野寿々)
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ヨハクノート005「曾根崎心中」
原作:近松門左衛門『曾根崎心中』
潤色・演出:臼杵遥志
◆出演
森山景
岡本セキユ(くらやみダンス)
津田颯哉(実験劇場)
黒川知樹(蝸牛公社)
武村理子(劇団木霊)
◆タイムテーブル
12月
23日[金]14:00/19:00
24日[土]14:00/19:00
25日[日]14:00
全ステージ終演後イベント【観劇のヨハク】を開催!
24日[土]19時の回「トーク」
ゲスト:山本健介氏(ジエン社 主宰)
25日[日]14時の回「トーク」
ゲスト:森田ゆい氏(NPO法人日本伝統芸能教育普及協会 むすびの会 事務局長)
◆会場
新宿眼科画廊スペース地下
http://www.gankagarou.com/
◆料金
一般…1500円 学生…1000円 高校生以下…無料
※当日券は+300円
◆ご予約
http://ticket.corich.jp/apply/78838/
◆詳細
公演情報はこちら
→http://yohakunote.com/works/sonezaki/
残席やチケット情報はこちら
→https://twitter.com/yohakunote
◆お問い合わせ
yohakunote@gmail.com
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