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本屋さんで 心は冬

読もうと思った本が平積みになってた
手にとって頁をめくり
本文の始まりを読んだ
吐き気と涙が眼鏡に溢れた
これは健全なひと向けだ
得られなかったことが
高らかに述べられている
汚さない様に
出始めた手汗
震える手
ハンカチでそっと拭い
棚に戻した
暗い暗い本が読みたい
どうしてあの本を手放してしまったのだろう
急いで探すが本屋さんにもKindleに無かった
救いのない暗い暗い本も
私に必要だと強く思った
明るくて健全さは目がつぶれてしまう
深海の奥深くで眠る日々

怪我で引きこもりに戻ってしまった
夫が居ないと外出出来ない
用事があって支度をして
玄関を開けようとすると
過呼吸と全身が震え
一歩も動けなくなる
性被害や虐待やいじめや貧困や両親の不仲…
私は人間を信じていない
突き付けられる現実
繰り返すうつ病
私は立ち上がっても立ち上がっても
足元をすくわれ転ぶ
もう立ち上がりたくない
もう転びたくない
誰にも会わず知られず
ひっそりと静かに
辛うじて細く息をしている
生きていると言えないのではないか

フラッシュバックから逃げる様に
イヤホンをし爆音で脳を音で満たす
ずっと冬に居たい

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