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書を飾る

作家さん同士の会話を聞きながら
生まれて初めて書を見てみたいと思った

私にとって書と言えば
物々しい額に入り
恭しく掲げられ
校長室に飾ってあったり
床の間に鎮座ましましている
暮らしと遠い掛け軸の印象しかなかった


足を運んだギャラリーで
真っ先に目に入った
「咄咄咄」
禅語で
「おや!あら!まあ!」といった感嘆を現す言葉

正に「おや!あら!まあ!」といった並びの
正方形の手作りの木枠の中に世界が広がっていた

私はその書を見た瞬間
書そのものの咄咄咄に出会った

既にその書はお迎え先が決まっており
名残惜しく何度も何度も眺めた


それから足繁く展示に通い
特別気に入ったものを
三つお迎えした


立春から飾る
「且緩々」
しゃかんかんと読む
作家さんの説明は
“あわてるな。あせるな。肩に力が入り過ぎ。
落ち着きなさい。呼吸をととのえて。
人生も時にはふと立ち止まりこれでいいのかと
ゆっくり考える時間も必要である。”
そう書いてある

春の芽吹きに
置いていかれるように感じる私にぴったりで
ふと目に入ると深呼吸をする


遠い存在だった書を飾ることは
今では欠かせない日々の一呼吸
10cm四方の小さな書から
ふわっと香る春
もう二つは機会があったらお披露目したい

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