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豆袋の野鳥印(その20)8月『キジバト』

「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の8月は「キジバト」です。

キジバト

子どもの時分、野鳥にまったく興味のなかった私の耳にも届き、ものすごく印象に残っていた、ある鳥の声――「デーデポッポポー、デーデポッポポー」

なんとのんきで、魅力的で、ノスタルジックな声でしょう。長いあいだ、その声の主の姿を見ることもなく、名前すら知らなかったのですが、それが「キジバト」でした。

身近で見られるハトといえば、大きく2種がいます。

公園や駅前、海辺で群れているのは「ドバト」です。どこかのおじさんが、ドバトにパンくずをやっているような風景は、誰もが一度は目にしたことがあるかと思います。

ドバトは原種カワラバトを、いろいろな国でいろいろな人が、いろいろに改良して飼いならしていたもの(いわゆる「伝書鳩」)が、逃げ出したりして再び野生化したもので、日本では外来種にあたります。

一方、古くから山の鳥として存在し、地域によっては「ヤマバト」という呼び名で伝わっているハト、こちらが「キジバト」です。現在では、住宅地や都市部にも定着しており、すっかり身近なハトですが、電線や電柱にいることも多いため、「声は聞いたことがあるけれど、姿をきちんと見たことはないかも」という人も少なくないかもしれません。

キジバトは、群れずに1羽、あるいはつがいで行動します。のんびりとした声とは裏腹に、電線を大きく揺らしながら、身体を上下に振る求愛ダンスを見たことがありますが、その迫力は、さながらヘヴィ・メタルのライブのようでした。

ほかにも面白い行動の多いキジバトですが、個人的には何より、その見た目の美しさに惹かれます。翼のうろこ模様や色(青・灰・オレンジ・ピンクなどのグラデーション)、鳴くときにふくらむ様子、そして首もとにある青い線。何度も聞いた懐かしい声の主は、何度見ても飽きないほどに、こまやかで素敵な装いでした。

たとえばスズメもそうですが、身近な存在の美しさというのは、見過ごしてしまっていた時間も相まって、なんだか特別なものがあります。ぜひ改めて、ご覧くださいませ~

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